「小家から火を出す」の意味とは?どんな状況?対義語や具体例を紹介!
「小家から火を出す」とは、なんとも物騒なことわざです。
家から火を出すという意味のこの言葉には、一体、どのような意味が込められているのでしょうか。
目次
- 「小家から火を出す」の意味とは?
- 「小家から火を出す」の似たことわざや四文字熟語
- 「小家から火を出す」の使い方
- 「小家から火を出す」の反対語や似た対義語
- 「小家から火を出す」のことわざを分解して解釈
- 「小家から火を出す」の具体例
「小家から火を出す」の意味とは?
さて、この家から火を出すという意味のことわざには、一体、どのような意味が込められているのでしょう。
放火にでも遭ったのでしょうか。
それともボーっとしていて火が出ていることに気付かなかったのでしょうか。
このことわざが表している状況は、「小さい家ほど火が出やすい」という意味です。
つまり、小さい争いや物事、つまらない人間ほど、大きな事件を起こしてしまうという意味です。
世の中においても、小さな喧嘩が殺人事件に発展したニュースを見聞きすることがよくあります。
まさに「小家から火を出す」状態。
大事件の裏には、どうしてこんなに喧嘩が大きくなってしまったのかと思うほどの、つまらないきっかけが潜んでいるものです。
- 「小家から火を出す」の読み方
「小家から火を出す」の読み方
「小家から火を出す」は「こいえからひをだす」と読みます。
小家とは、規模の小さい家のことです。
小さい家のことを「こいえ」と呼ぶことは日常ではあまりありませんが、このことわざにおいては、このように読むようです。
また「火を出す」とは文字通り、「火事を起こす」という意味です。
日常においても、火事になることを「火を出す」などと言ったりします。
「小家から火を出す」の似たことわざや四文字熟語
「小家から火を出す」の似たことわざや四文字熟語について見ていきます。
- 「大事は小事より起こる」【だいじはしょうじよりおこる】
- 「大事の前の小事」【だいじのまえのしょうじ】
- 「小の虫を殺して大の虫を助ける」【しょうのむしをころしてだいのむしをたすける】
「大事は小事より起こる」【だいじはしょうじよりおこる】
このことわざも、「小家から火を出す」と同様、小さくてつまらない事ほど、とてつもなく大きな事件になってしまうという意味です。
小さすぎて気に留めていなかったことが、いつの間にかとんでもない問題を招いているということは、よくありそうです。
ちょっとした油断が、とんでもない問題を引き起こすことを表しています。
例文としては、「友達の消しゴムを取ったからって見過ごしてはいけないよ。
大事は小事より起こるんだから、小さい問題のうちにしっかりと説教をしておかなくては。」などです。
大きな事件になるまでには、いくつもの小さい事件が積み重なっているものです。
何も事件を起こしたことがない人は、いきなり大きな事件を引き起こすことは考えにくいもの。
何事も物事が大きくなる前に手をちたいものです。
「大事の前の小事」【だいじのまえのしょうじ】
「大事の前の小事」とは、「大きなことを扱うときは小さなことにも目を配らなくてはいけない」という意味です。
小さなトラブルだからといって見過ごしてしまうと、後でとんでもないトラブルを招くことがあります。
だから、どんなに小さなことでもしっかりと対処した方がよいことを、この言葉は教えてくれています。
また、小さなことの積み重ねがあってこそ、大きなものが出来上がるもの。
例えば、旅館に客がきたとき、部屋にスリッパが見当たらない、部屋に置いてあるお菓子が賞味期限切れなどの、ちょっとしたことが命とりになって、「もう二度と、この旅館には泊まりたくない」などと客に思わせてしまうかもしれません。
小さなミスが後に大きなミスに繋がるという訳です。
例文としては、「このミスをこのままにしておいてはいけない。大事の前の小事だから、直せるうちに直しておこう。」などです。
「小の虫を殺して大の虫を助ける」【しょうのむしをころしてだいのむしをたすける】
この言葉は、「小さい虫を殺して大きな虫を生かす」という意味になっています。
つまり、「全てのものを助けることは不可能。だから、大きなもののために、小さなものを犠牲にする必要がある」ということです。
大きな火事があるときなどは、火を消すときに、やむなくその周りの建物を潰すことがあります。
建物に火が次々と乗り移っては、いつまでも鎮火することができないからです。
まだ、火が移っていない建物であっても、火事の恐怖から逃れるために仕方なくいくつかの建物を犠牲することがあるようです。
まさにこの状況は「小の虫を殺して大の虫を助ける」だと言えます。
例文としては、「勿体ないが、火事になる前にこの建物を潰しておこう。このままでは、全てのものに火が回り、街中が焼き尽くされてしまう。」などです。
「小家から火を出す」の使い方
「小家から火を出す」の使い方について見ていきましょう。
- 「小家から火を出す」を使った例文1
- 「小家から火を出す」を使った例文2
「小家から火を出す」を使った例文1
「あの夫婦、もともと仲が悪かったけど、夫のいびきがうるさいだけで旦那を殴るなんて。子家から火を出すとはこのことだね。警察がくるほどの大騒動になってしまって恥ずかしくないのかしら。」
これは、大きな騒動を招いた夫婦に向けられた言葉です。
警察が出動するほどの大喧嘩をした夫婦ですが、その喧嘩のきっかけは些細なことだったという状況です。
どうでもよい、小さなことほど、どんどん話が大きくなって、大喧嘩になるものなのかもしれません。
「小家から火を出す」を使った例文2
「あのお客、保険を解約したいって激怒してきたけど、外交員の笑顔が足りないっていう不満があるだけなんでしょ?こんなことに腹を立てるなんて、小家から火を出すだね。もっと小さなことにも気を配れば良かった。」
これは、小さなミスが命取りとなって大事なお客さんを逃してしまったときの言葉です。
小さなことだからと軽視していると、大きなミスを招いたり、誤解を招くという意味です。
ビジネスシーンで使えそうな言葉です。
「小家から火を出す」の反対語や似た対義語
「小家から火を出す」の反対語や似た対義語について見ていきましょう。
- 「角を矯めて牛を殺す」【つのをためてうしをころす】
- 「木を見て森を見ず」【きをみてもりをみず】
「角を矯めて牛を殺す」【つのをためてうしをころす】
この言葉は、「牛の格好悪い角の生え方が気になり、角をいじっているうちに謝って牛を殺してしまう」という意味です。
小さなことくらい気にするなという意味が込められており、「小家から火を出す」の言葉とは正反対の意味となります。
小さくてつまらないことは忘れて、肝心なことに目を向けようということです。
例文としては、「そんなにそこを直していると、建物が崩れてしまうよ。角を矯めて牛を殺す、気にしない方がいいよ。」などです。
ある一定の箇所が気になって直していると、それが原因で全ての建物が壊れてしまう可能性があることを示唆する文章です。
「木を見て森を見ず」【きをみてもりをみず】
言葉通り、「木そのものばかり見て、森をみていなかった」という意味です。
木という細かい部分にばかり気をとられ、森という全体の風景を見ていないことを指摘した文章です。
この言葉に出てくる「木」とは個人のことを表しています。
そして「森」とは組織や社会のことです。
つまり、どういうことかというと、「個人の利益ばかり優先して、組織全体のことを考えていないこと」を表しています。
例文としては、「あの人は本当に迷惑な人だ。自分のことばかり考えて、他人の迷惑を気にしていない。木を見て森を見ずな性格を直してほしいよ。」などです。
「小家から火を出す」のことわざを分解して解釈
「小家から火を出す」のことわざを分解して解釈します。
- 「小家から」の解釈
- 「火を出す」の解釈
「小家から」の解釈
「小家」とは物置小屋のような小さい家のことです。
そして、小さい家とは「小さくて些細な物事」を表すたとえとなっています。
小さくて些細な物事とは、全く気にしなくてもよいような、どうでもよいことを意味しています。
例えば、何人かが無人島に流されたという場合。
人間が無人島に流されて生きていくために食べることが大事であり、多少服が汚れていても、生命活動を維持する上でさほど大した話ではありません。
ですが、この無人島には綺麗な服が一枚だけあって、この服を巡って、人々が殺し合いの喧嘩を始めたといった状況です。
たかが一枚の服。
あってもなくてもどちらでもよいはずなのに、喧嘩をしているうちにヒートアップしてしまい、大ごとになることはよくあることです。
「火を出す」の解釈
「火を出す」とは「火事になること」を意味しています。
そして火事とはこのことわざにおいて「大きなトラブルや問題」を意味しています。
大きなトラブルや問題とは、命の危険が迫るほどの問題や今すぐ対処しなくては大変な事態を招くようなことです。
例えば、それをしなくては人が死んでしまったり、財産がなくなってしまうなどといった状況です。
この問題が起きることで、人生が困難になるようなものを指しています。
「小家から火を出す」の具体例
小さな事件が大きな事件を招くことがあります。
例えば、小さい頃から人の物を盗む癖あったA君。
自分の欲しい消しゴムを持っているお友達から、その消しゴムを借りて、そのまま何食わぬ顔で返さずに使っていたとします。
親が見たことのない消しゴムを見てA君に「どうしたの?」と聞いても答えてくれません。
親の方も「たかが消しゴムだし、落とし主が分からない消しゴムでも拾って使っているのだろう」と思い、そこまで問いただすこともしませんでした。
ところが、そのことに味をしめたA君。
今回のことをきっかけに、それから友達の物を頻繁に盗むようになりました。
とうとう他の保護者に指摘され、学校の先生にも呼び出される始末です。
A君の親としては、まさに「こんなことになるのなら、もっと早く行動を気にするべきだった。小家から火を出すだな」といった心境でしょう。
「小家から火を出す」という言葉通り、大きな問題の裏には小さなことが隠れているものかもしれません。
小さいことほど、人は油断をしてしまい対処が遅れる傾向にあるからです。
人生を順調に歩んでいくためには、小さなことほど気にして、対処できるうちに対処しておくことが大事なのかもしれません。
例えば、些細な喧嘩をしてしまっても、大きな喧嘩になる前に身を引く手段を身に着けたいものです。