「厭わない」の意味とは?敬語?類語や言い換えを紹介!
「厭わない」という表現を聞いたことがあるでしょうか。
ワ行五段活用の動詞、「厭う」の未然形である「厭わず」に打消しの助動詞「ない」を加えた形になります。
ここでは、この「厭わない」という表現について解説します。
目次
- 「厭わない」の意味とは?
- 「厭わない」の類語や言い換え
- 「厭わない」を使った例文
- 「厭」という漢字について
- 「厭わない」と「構わない」
- 「厭わない」の対義語・反対語
「厭わない」の意味とは?
- 「厭わない」の意味
- 「厭わない」の読み方
「厭わない」の意味
「厭わない」とは「厭う」の否定形であり、「嫌がらない」、「嫌わない」という意味です。
行動するのをためらわない、と言った意味がある、「厭う」を否定した表現です。
ちなみに「厭う」というのは「嫌に思う」、「嫌に思って避ける」という意味を持ちます。
「厭わない」の読み方
「厭わない」とは「いとわない」と読みます。
「厭」という感じは「飽きる」という意味と同じ意味を持ち、音読みは「エン」、慣用音が「オン」、訓読みは「いや」「いと(う)」「あ(きる)」になります。
「厭わない」の類語や言い換え
- 嫌がらない【いやがらない】
- 面倒くさがらない【めんどうくさがらない】
- 敬遠しない【けいえんしない】
- 避けない【さけない】
嫌がらない【いやがらない】
「厭わない」の類語や言いかえの一つに「嫌がらない」という表現があります。
そもそも「厭う」という言葉が「嫌がる」という意味を持ちますので、「厭わない」となれば「嫌がらない」という意味になるのです。
物事を後ろ向きでない様、ということで、真っ先に浮かぶ類語が「嫌がらない」という人も多いかもしれませんね。
面倒くさがらない【めんどうくさがらない】
「仕事を厭わずにこなす」などという表現をする場合、面倒くさがらない、という類語を使うこともできます。
仕事によってはとにかく面倒くさいものもありますよね。
しかし、どんな仕事も「厭わずに」こなすということは、嫌がらないとも言えますが、面倒くさがらない、と言い換えることも可能です。
「嫌な顔一つしない」、「避けようとしない」という意味ですね。
敬遠しない【けいえんしない】
面倒くさい作業などを頼まれたら、誰もが「嫌だなぁ」と思うでしょう。
しかし、最初からそのような顔をせず、嫌がらない、避けない、という時には「敬遠しない」という表現を使うことも可能です。
「敬遠するというのは関わりを避ける」、「関わりを持たないようにする」という意味があります。
避けない【さけない】
敬遠しない、と似た表現に避けない、というものがあります。
快く引き受ける、嫌がらずに引き受ける、などというときには避けないという表現も適切ですね。
「厭わない」を使った例文
- 「厭わない」の例文1
- 「厭わない」の例文2
- 「厭わない」の例文3
- 「厭わない」の例文4
- 「厭わない」の例文5
「厭わない」の例文1
「苦労を厭わない」
苦労を「厭わない」、というのは「目的を達成するためには手段を択ばない」、「目的を達成するために何事も避けず、嫌がらずにやる」という意味を持ちます。
これ以外にも手段を選ばない、苦労を惜しまない、苦労を嫌がらない、やり方を問わない、やり方を「厭わない」、などといった言いかえが可能です。
「厭わない」の例文2
「お金を厭わない」
お金を「厭わない」、というのはお金を惜しまないということです。
目的を達成するためにはいくらかかっても構わない、という状態であり、例えば家族の病気を治すためならお金を「厭わない」、学業のためならお金を惜しまない、などと使うことが可能です。
「厭わない」の例文3
「努力を厭わない」
努力を「厭わない」というのは言うまでもなく「努力する」という意味であり、これ以外にも「頑張る、力を注ぐ、一生懸命取り組む」という意味を指します。
物事に懸命に取り組むことを差し、これ以外にも尽力する、奮闘する、奔走する、精を出す、励む、精励する、怠らない、最大限の努力を払う、力を尽くす、全開で取り組む、粉骨砕身する、力を振り絞る、等と言い換えることが可能です。
「厭わない」の例文4
「犠牲を厭わない」
犠牲を「厭わない」と言う場合、多くは「自己犠牲を厭わない」と言います。
これは「目的を達成するためには何でもする」という意味で、例えば会社のために自己犠牲を「厭わない」、などという文脈で使われることがあります。
「厭わない」の例文5
「火も水も厭わない」
火も水も「厭わない」というのは、「どのような苦しみも嫌がらないということであり、なんにでも立ち向かう」という意味があります。
火も水も「厭わない」という言い方をすることもあれば、火水も「厭わない」という言い方をする場合もあります。
「厭」という漢字について
- 「厭」は常用漢字?
- ビジネスにおける「厭わない」
- 「厭わない」の丁寧語
「厭」は常用漢字?
この漢字は日常的に見かける感じではありませんね。
常用漢字ではありませんが、漢字検定準1級に指定されており、「畏怖倦厭(いふけんえん)」や「厭離穢土(おんりえど)」など、四字熟語も存在します。
ちなみに畏怖倦厭は恐れて怖がることであり、厭離穢土はこの世は汚れているものであり、離れると言う意味を持ちます。
これ以外にも「厭厭(えんえん)」は状態などが安らかな状態を指します。
ビジネスにおける「厭わない」
「厭わない」という表現はあまり口語で使われることはありません。
日常的に使うのであれば、「厭わない」ではなく、「嫌がらない」という表現を使うことが多いです。
しかしビジネスにおいて使っても何の問題もなく、「厭いません」「厭わないです」と敬語に直すことが可能です。
どちらも目上に人に対して使っても失礼にはなりません。
「厭いません」という言い方が一般的です。
「厭わない」の丁寧語
かつては「厭いません」という表現しか存在しませんでしたが、徐々に「厭わないです」という表現が生まれませ板。
今では「厭わないです」という言い回しも問題なく使われています。
もちろん、丁寧語にするためには「です」を付ければ良いわけですから、「厭わない」の丁寧語は「厭わないです」となるわけですね。
「厭わない」と「構わない」
- ニュアンスが違う
- シチュエーション別にみる「厭わない」と「構わない」
- ビジネスにおける「厭わない」
- 苦労は「厭わない」
- 責任の度合いで判断できる!
- 好きな人に対して
- 強い意識を伝えたい時は「厭わない」
ニュアンスが違う
「厭わない」という表現に近い意味を持つ言葉に「構わない」というものがあります。
どちらも「躊躇しない」、「嫌がらない」、「避けない」という意味ですが、これらには若干ニュアンスの違いがあります。
シチュエーション別にみる「厭わない」と「構わない」
例えば、日常生活においてもビジネスにおいてもお金に関する交渉をすることがありますよね。
集金に対して承諾をする際、例えば「厭わないよ」とは言いません。
「いくら集金します」と言われたら、「構わないよ」と答えますよね。
「厭わない」とは確かに敬語ではありませんが、硬い表現ですから、友達など気心が知れた間に使うことはありません。
同時に、「いいよ」「大丈夫だよ」「分かった」などとフランクな言葉が飛び交う中で「厭わない」という表現を使ったら、空気が変わってしまいます。
ビジネスにおける「厭わない」
「厭わない」という表現には「犠牲になっても躊躇しない」という意味が含まれています。
そのため、ビジネスにおいてお金の話になったら「構わない」よりも「厭わない」の方が正確です。
プロジェクトなどを成立させたい、成功させたい、と強く思うのであれば、いくら犠牲があっても躊躇しない、問題ない、という気持ちを相手に伝えなければいけません。
そのためには「厭わない」という表現の方が適切と言えます。
苦労は「厭わない」
また、何か物事をするにあたってそれにかかる労力と成果を比べ、試す価値があるのかどうか考えることがありますよね、例えば試験勉強や就職活動、仕事など、努力をしなければ得られないものが世の中にはたくさんあります。
例えば大学受験をする際、偏差値が足りていない、それでも勉強してその大学に入りたい、と考える場合、それは「厭わない」のでしょうか、「構わない」のでしょうか。
この場合は「どんな大きな困難でも厭わない」と言う方が適切ですね。
頑張りたい、取り組みたい、という気持ちが強い場合は「構わない」よりも「厭わない」の方が適切だと言えます。
責任の度合いで判断できる!
私生活においては「構わない」を使っても問題はありませんが、ビジネスにおいては「構わない」では責任感がないように見えてしまうこともありますし、他人事に聞こえてしまうこともあります。
「構わない」という表現はそのことを軽視しているようなニュアンスが含まれますので、ビジネスにおいてはむしろ避けた方が無難な表現でもあります。
ビジネスにおいてはそのプロジェクトなどに関して熱意やどれだけの自己犠牲が問われるか、という事が大切になります。
そのため、例えば「残業も構わない」と言えば残業することに本気度が感じられませんが、「残業も厭わない」と言えば本気度が伝わりますね。
好きな人に対して
誰か好きな人ができたとしましょう。
しかしその人に恋人がいたとします。
「あの人には恋人がいるよ。
それでも好きなの?」と聞かれた時、「それでも構わない」と答えることができますね。
むしろ「そんなことは厭わない」と言ってしまうと、なんだかその人を恋人から奪おうとしているような強すぎる思いを相手に与えてしまいます。
強い意識を伝えたい時は「厭わない」
最近では、自分の意見を相手にはっきりと伝えることができなかったり、強い思いを相手に伝えると逆に冷めた目で見られてしまったり、ということがあります。
「どっちでもいいよ」「微妙」などと、責任感のない言葉が増えていますね。
そんな世の中だからこそ、「厭わない」という強い姿勢で臨むことが場合によっては大切です。
特にビジネスにおいて「厭わない」という表現を使うと、難しい言葉を知っているという印象と共に、強い意識を相手に感じさせることができ、良い印象を与えることが可能になるかもしれません。
「厭わない」の対義語・反対語
「厭わない」は「嫌がらない」という意味を持ちますが、その対義語としては「厭う」があります。
また、それ以外にも「毛嫌いする」「虫唾が走る」「おぞましい」「避ける」「忌避する」「忌み嫌う」なども対義語になります。
いかがでしょうか。
「厭わない」という言葉は聞いたことはある、読むことはできる、でも書くことはできない、という表現かもしれません。
漢字検定1級レベルの字ですから書けなければいけないというわけではありませんが、ぜひ使うことはできるようにしておきたいものです。
特に大切なプロジェクトなどを抱えている場合に上司に対して使ったら、そのプロジェクトを任せてもらえるかもしれませんよ!しかしこの言葉を使ったからには、実際に責任感のある態度を取ることも大切です。