「目から鼻に抜ける」の意味とは?由来は「大仏」?読み方、類語や使い方、英語を紹介!
身の回りには様々な人がおり、一般的な考え方とは大きく離れた機転の利いた考え方や思い付きをする人がいます。
そういう人や考え方を表現するとしたら、何が思いつきますか?
一言に「頭が良い」といっても色々な頭の良さがあります。
今回ご紹介する言葉は、頭が良いという意味を表す表現の中でもあまり聞きなれない言葉です。
由来から使い方までしっかり理解して使いこなしましょう。
目次
- 「目から鼻に抜ける」の意味とは?
- 「目から鼻に抜ける」の類語
- 「目から鼻に抜ける」の使い方
- 「目から鼻に抜ける」の英語
- 目から鼻に抜けるの由来の説は2説ある?大仏?
「目から鼻に抜ける」の意味とは?
「目から鼻に抜ける」という言葉だけ聞くと、まるでからしやワサビのような香辛料がしみる様子を表しているようなイメージが湧きます。
この言葉の真の意味を知らない人が「ワサビが鼻にツンとくる様子」と誤用している例も少なくありません。
しかし、そういった意味は一切ありませんので、誤って使用しないようにしましょう。
正しい意味は「抜け目がなくとても賢い」や「物事の理解が素早く利口である」という意味です。
とても頭が良いことを意味している言葉であることを理解しておきましょう。
また、どちらかというと「計算高い」という意味合いが強い言葉でもあるため、賢さを「目から鼻に抜ける」とたとえられるのを嫌に感じる方もいます。
TPOを念頭に置いて使うべき言葉でもあります。
- 「目から鼻に抜ける」の語源
- 「目から鼻に抜ける」の読み方
「目から鼻に抜ける」の語源
「目から鼻に抜ける」という言葉ができたのには諸説あると言われていますが、由来になったとされる主な説はふたつあります。
ひとつは比喩表現から生まれた説、もうひとつは昔話から生まれた説です。
どちらの説も、転じて賢い事や理解が素早いことを示すことになった語源とされています。
詳しくは後述しますが、昔話とは奈良時代に遡ります。
観光地にもなっている「奈良の大仏」を建造中に起こったまさに「目から鼻に抜ける」珍事件がきっかけで、後世に語り継がれることわざとなりました。
「目から鼻に抜ける」の読み方
そのまま「めからはなにぬける」と読みます。
「鼻から目に抜ける」という風に逆になっても、「目から鼻が抜ける」と接続詞を間違っても意味が成り立ちませんので注意しましょう。
「目から鼻に抜ける」が正しい並びです。
「目から鼻に抜ける」の類語
「目から鼻に抜ける」と同様、賢さを表す表現はほかにもたくさんあります。
賢さにもいろいろと種類がありますが、類語にはどういったものがあるのか見てみましょう。
- 「生き馬の目を抜く」【いきうまのめをぬく】
- 「一を聞いて十を知る」【いちをきいてじゅうをしる】
- 「臨機応変」【りんきおうへん】
「生き馬の目を抜く」【いきうまのめをぬく】
とても恐ろしい表現に感じますが、故事成語ではありません。
「生き馬の目を抜く」とは、「生きて素早く動いている馬からも目を抜いてしまう程素早い」という、比喩表現です。
つまり「目から鼻に抜ける」という言葉の類語で、「素早く物事をする」「抜け目なく油断ならない」という意味です。
「馬」という動物を使っているのは、人間よりも素早い生き物で、太古より人間と深い関わりがある動物だからだと考えられています。
さらに類語として「生き牛の目を抉る」という表現もあります。
「牛」を使っているのは馬と同じ理由からでしょう。
「一を聞いて十を知る」【いちをきいてじゅうをしる】
これは有名なことわざですが、「物事の一部を聞いただけで全体を瞬時に理解できる」という非常に賢い様子を表すたとえです。
また、1だけで10までわかるというたとえから、理解がとても早いことも示しています。
知識だけではなく頭の回転が速く機転が利いているという部分が、「目から鼻に抜ける」という言葉と似ています。
「臨機応変」【りんきおうへん】
この四字熟語は日常生活のあらゆる場面で頻繁に使用されていますので、実際に使ったことのある人がほとんどでしょう。
会話でもよく耳にする機会が多い、ポピュラーな言葉です。
その時その時の状況や場面に合わせて適切で柔軟な対応をすること、情勢の移り変わりに合わせ素早く判断し適切な方法を考えることという意味があります。
「目から鼻に抜ける」の使い方
「目から鼻に抜ける」が素早く理解でき抜け目ない賢さを表現していることはわかりましたが、実際どうやって使うのでしょうか。
例文をもとに見ていきましょう。
- 「目から鼻に抜ける」の例文1
- 「目から鼻に抜ける」の例文2
「目から鼻に抜ける」の例文1
「会議での先輩の指摘は、まさに目から鼻に抜ける意見だった。」
人間誰しも見落としや、先の見通しの甘さが出てしまうものです。
そこにいち早く気づけることや、見落とさず抜け目なく策を練ることができるという様子を表現しています。
「抜け目がない」というのは一般的に「ずる賢さ」を差していることが多く、あまり良くない響きに聞こえますが、裏を返せば「甘さや手加減がない」という事です。
手抜きを良しとしない作業や、仕事関連に活用できる言葉です。
「目から鼻に抜ける」の例文2
「あの人は、目から鼻に抜けるような考えをいつも思いつく。」
物事を素早く理解し抜け目のない様子が「目から鼻に抜ける」という表現ですが、例文1でも示したように「計算高い」という意味も込められています。
普通の考えでは及ばないような、深い考えができるということでもあります。
常人には簡単に思いつかない賢い考えができる様子も、こうして表現することができます。
「目から鼻に抜ける」の英語
ことわざをそのまま英語にしたような文章はありませんが、単語としては賢さを表す“clever”や“smart”、抜け目がないことや非常に利口であることを表す“as sharp as a needle”という言葉で表すことができます。
“as sharp as a needle”はそのまま直訳すると「針のように鋭い」という訳となります。
日本語でも的を射たような聡明な様子を「鋭い」とたとえることがありますが、英語でも賢さを鋭さにたとえる傾向があります。
目から鼻に抜けるの由来の説は2説ある?大仏?
はじめの方でも少し触れましたが、「目から鼻に抜ける」という言葉の由来は主に2説あると考えられています。
詳しくご紹介しましょう。
- 「目から鼻に抜けるの由来」の説1
- 「目から鼻に抜けるの由来」の説2
「目から鼻に抜けるの由来」の説1
ひとつめは、その言葉通り、目で見て物事を正確に理解し鼻でにおいを嗅ぎ分けるように情報を判断するというたとえです。
ただ頭で理解するだけでなく、五感のうち2つを活用して物事を素早く判断できる様子から、抜け目がなく機知に富んでいる事を表しているという事です。
特に何かエピソードがあるわけではなく、「生き馬の目を抜く」と同様に、たとえから成り立った比喩表現という説です。
「目から鼻に抜けるの由来」の説2
ふたつめは、先述していた奈良時代の珍事件がきっかけだとする説です。
その昔話は、奈良の大仏が建造された時のことです。
やっと大仏が完成目前だというところで、建造に関わっていた一人の職人が大仏の片目がないことに気づきます。
そのままにするわけにも、また初めからやり直すわけにもいかず、はまっていなかった片目を持って職人が大仏の目を埋めようと動きました。
足場を伝って大仏の目の中に入り無事にはめ込むことができますが、目に入ってから目玉をはめ込んだため閉じ込められる形となり、その職人は出られなくなってしまいます。
心配して見守ることしかできなかった他の職人たちの不安をよそに、はめ込みに行った職人は大仏の目の中から鼻に伝うことで大仏の鼻から脱出して見せ、見守っていた他の職人たちはその機転の利いた脱出に拍手喝采でたたえたのでした。
この、一見ドジを踏んだだけのようにも思える珍事件。
とっさに「目から鼻が繋がっている」という知識を活かしてピンチを脱出した判断の素早さと賢さがよく表れており、後にそれを職人の行動の通り「鼻から目に抜ける」ということわざにしたとされています。
「賢さ」にも色々あります。
勉強がよくでき知識が多い賢さ、生きる上での知恵に富んでいて応用が利く賢さ…使う相手や物事に合わせて、賢さも色々と表現できるように語彙力を高めておけば、普段の会話や人間関係に深みを出せるかもしれません。