「下賎」とは?意味や使い方!例文や解釈
時代劇や小説などで「下賎」という言葉を見かけます。
一体どの様な意味なのか、使い方や例文なども併せて紹介します。
目次
- 「下賎」とは?
- 「下賎」の表現の使い方
- 「下賎」の類語や類似表現や似た言葉
- 「下賎」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「下賎」の反対語
- 「下賎」の英語と解釈
「下賎」とは?
「下賎」の概要について紹介します。
- 「下賎」の読み方
- 「生まれや育ちが卑しいこと」の意味
- 「身分や地位が低いこと」の意味
- 「卑しい人」の意味
- 「下賎」の語源や由来
- 「貴賎」との違い
「下賎」の読み方
「下賎」は「げせん」と読みます。
同じ読み方で「下賤」という言葉がありますが「下賎」は「下賤」の異体字であり、意味は同じです。
「生まれや育ちが卑しいこと」の意味
現在ではあまり貧富の差はなくなりましたが、昔は貴族と農民との貧富の差は非常に大きく差別されていました。
昔の日本には世襲制があった為に、元々貴族に生まれた人は一生貴族で、農民に生まれたら一生農民で過ごさなければならなかったのです。
生まれた家や育ちが卑しいことに対して「下賤」と言います。
「身分や地位が低いこと」の意味
こちらは力のある人からの視点を表す言葉です。
権力を手にして高い地位に上り詰めた人から見れば、誰もが自分よりも目下の人間です。
自分よりも身分が低く劣っていると思う人に対して「下賤」と言うのです。
「卑しい人」の意味
生まれや育ち、現在の身分にかかわらず、人となりが卑しい人のことを言います。
言動が非常に下品な人や、食べ物やお金に対して非常に執着している人など、一緒にいると恥ずかしい様な粗末な身なりをしている人などに対して「下賤」と言います。
「下賎」の語源や由来
「下賎」の語源は言葉の意味から来ています。
「下」には「場所・身分・程度が低い」という意味があります。
「賎」にも「いやしい・身分が低い」という意味があります。
同じ様な意味を持つ言葉が重なり、「身分が低い・いやしい」という意味を強調しているのです。
「貴賎」との違い
「下賎」と響きが似ている言葉に「貴賎」がありますが、この2つは全く意味が違います。
「下賎」は「生まれや育ち、身分が低い人・卑しい人」という意味です。
「貴賎」は「身分の高い人と低い人」「尊いことと卑しいこと」という意味です。
つまり「貴賎」には「下賎」という意味も含まれるのです。
「職業に貴賎はない」という言葉がありますが、「職業には尊い・卑しいという区別はない」という意味です。
「下賎」の表現の使い方
「下賎」の使い方を紹介します。
- 「下賎の魚」
- 「下賎の輩」
- 自虐ネタとして
- 人に対して口にしないこと
「下賎の魚」
「下賎の魚」と言われるのは「いわし(鰯)」のことです。
いわしは「さかなへん」に「弱い」と書きますが、この語源は「すぐに傷んでしまう程弱い魚」という説の他に、「いやし(賎し)」が変化したという説もあります。
平安時代にはいわしは身分の低い人達が食べる「下賎の魚」とされていました。
「源氏物語」で有名な「紫式部」が詠んだ歌の中に「日の本にはやらせ給う岩清水・まいらぬ人はあらじとぞ思う」という一句があります。
これは紫式部がいわしを食べたことに対して夫から「下賎の魚」と文句を言われたことに対して「おいしくて人気のいわしをなぜ食べないのか」と反論したものと言われています。
「下賎の輩」
古い映画やドラマ、時代劇などで使われる言葉です。
「輩」とは「同じ血を引く一族」「仲間・同類」という意味です。
「身分の低い・卑しい」人達をひとまとめにする時に使われる悪い意味の言葉です。
自虐ネタとして
冗談で自分達のことを「下賎の民だから」等と言うことがあります。
これはあくまで自虐ギャグであり、本当に身分が低いわけではなく「一般庶民」という意味で使います。
人に対して口にしないこと
「下賎」は人を卑しめる言葉ですので、人に対して口にするべきではありません。
例え陰口でも、言った自分の方が悪く思われる可能性があります。
「下賎」はあくまで映画やドラマ、小説の中で使われる言葉であり、意味を理解できる様にしておけば良いでしょう。
「下賎」の類語や類似表現や似た言葉
「下賎」の類語は以下の通りです。
- 「俗悪」【ぞくあく】
- 「低俗」【ていぞく】
- 「下劣」【げれつ】
「俗悪」【ぞくあく】
意味は「世の中のあらゆる事情に通じていて、下品であること」という意味です。
人の言動や趣味に対して使われるネガティブな言葉です。
「低俗」【ていぞく】
意味は「趣向が悪くてレベルが低いこと」です。
以前はサブカルチャーに対して悪い意味で使われていました。
「下劣」【げれつ】
「げれつ」と読みます。
意味は「性格が卑しく、言動が下品なこと」という意味です。
「下賎」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「下賎」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「下賎」を使った例文1
- 「下賎」を使った例文2
「下賎」を使った例文1
「彼はセレブの家庭に育ったので、我々下賎の者達とは話が合わないと思っているだろう」
裕福な家庭で育った人が何かの集まりに出席したのですが、それを普通の人達が妬んでわざとこの様に表現しています。
決して自分達は卑しい身分ではないのですが、相手に対して嫌味で言っているのです。
「下賎」を使った例文2
「彼は下賎の生まれだと言っているが、優秀だし性格も良いので気にならない」
自分で貧乏な家庭に生まれたと言っている人がいるのですが、仕事はできるし性格もいいので人気があり、友達が多いことを表しています。
「下賎」の反対語
「下賎」の反対語を紹介します。
- 「高貴」【こうき】
- 「気高い」【けだかい】
「高貴」【こうき】
意味は「身分が高いこと」で、昔の貴族や財閥の家系に生まれた人のことを言います。
「気高い」【けだかい】
意味は「身分が高く、上品な様子」です。
ただ身分が高いだけではなく、身のこなしから気品が漂っているというニュアンスがあります。
「下賎」の英語と解釈
“As he says I am low birth.”
「彼の言う通り私は下賎の生まれだよ」になります。
“low birth”で「身分が低い育ち=下賎」という意味になります。
他にもさまざまな表現があるのですが、日本人にとってはこれが一番覚え易いでしょう。
「下賎」は「生まれや育ち、身分が低いこと」「態度が卑しいこと」という意味があります。
人を卑しめる表現ですので慎重に使う様にしましょう。
自分のことを言う時にもあまり卑屈にならない様にしましょう。