「講釈を垂れる」とは?使い方や例文!「能書き垂れる」との違い
「講釈を垂れる」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
あまり若い人は使わないかもしれませんが、年配の人は日常会話の中でもわりと使うことがあるかもしれません。
ここでは「講釈を垂れる」という言葉の意味、使い方、例文など詳しく解説しています。
では一緒に言葉の理解を深めていきましょう。
目次
- 「講釈を垂れる」の意味とは?
- 「講釈を垂れる」の表現の使い方
- 「講釈を垂れる」の具体例
- 「講釈を垂れる」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「講釈」を使った言葉と意味を解釈
- 「講釈を垂れる」の類語や類義語
- 「講釈を垂れる」の英語表現(meaning)
「講釈を垂れる」の意味とは?
「講釈を垂れる」という言葉の意味は、物事の意味、性格などを勿体ぶって説明すること、目下の人に教訓、模範を示すといったことになります。
本来はこのような意味ですが、実際の生活上では上から目線で話が長い、くどくど言う、偉そうといった時に「講釈を垂れる」という言葉を使って表します。
- 「講釈を垂れる」の読み方
- 「講釈を垂れる」の語源
「講釈を垂れる」の読み方
「講釈を垂れる」と書いて「こうしゃくをたれる」と読みます。
「講釈を垂れる」の語源
「講釈を垂れる」の「講釈」とは江戸時代の「講談」のことでもあります。
これは寄席演芸で、座って前に置いた釈台を張り扇などで打ちながら調子をつけて語る話芸のことです。
この意味がわかっていれば「講釈師」「講釈場」といった言葉の意味も理解できることでしょう。
話を面白おかしくする、惹きつけるには勿体ぶって話すこともテクニックの一つです。
その為か、講釈という言葉には物事の意味、性格などを勿体ぶって説明するという意味もあります。
「垂れる」という言葉は上から下に説き聞かせるという意味もありますが、排泄物など汚いものが上から下に落ちてくるという意味もあります。
「講釈を垂れる」は現在では上から目線でだらだらと話す、どうでもいい口数が多い、口が達者で憎たらしいといった時に相手に「講釈を垂れるな」と使うことがほとんどで、あまりいい意味はない言葉、そのような印象が強いのです。
「講釈を垂れる」の表現の使い方
「講釈を垂れる」の「講釈」は書物、文章の意味などを解き明かすといった意味があり「垂れる」は目下の者に言い聞かせるといった意味がありますので本来ならばそう悪い意味の言葉ではありません。
しかし勿体ぶって話すとか、排泄物など汚いものが落ちてくるといった意味もそれぞれの言葉にはありますので「講釈を垂れる」はどちらかと言えば、相手のことを悪く言う時に使う言葉というイメージの方が強いのではないでしょうか。
上から目線で話がくどい、説明が長くて嫌味な口調、なかなか教えてくれずに勿体ぶるといった人に対して「つまらない講釈を垂れるな」「講釈を垂れる暇があったら行動で示せ」など使うことで聞く機会の方が多いかと思います。
- 「講釈を垂れる」と「能書きを垂れる」の違い
「講釈を垂れる」と「能書きを垂れる」の違い
「講釈を垂れる」と似たような印象がある「能書きを垂れる」という言葉ですが、意味を確認していきましょう。
「能書き」とは二つの意味合いがあります。
まず一つめは薬など、効能を書いた文章、効能書きというものです。
そしてもう一つは自分のいいところ、優れたところを並べ立てた言葉という意味です。
「能書きを垂れる」の「能書き」はこちらの意味合いとなります。
自分のことばかり言う、自己宣伝の言葉に対して「能書きを垂れる」と言うのです。
聞きたくないようなこと、どうでもいいことを得意げに話す人に対して、悪い意味で使われることが多いですのでそれは「講釈を垂れる」と同じです。
「講釈」は勿体ぶって説明する、お説教のような意味です。
「能書き」は自分の優れた点を並べ立てる、自己宣伝という意味です。
どちらも聞かされる側からすれば迷惑、うんざりであるという点は同じでしょう。
「講釈を垂れる」の具体例
「講釈を垂れる」の具体的な例をあげていきましょう。
例えば、家のトイレが流れなくなった、水があふれて困ったとします。
修理の業者を呼んだ時、早くトイレを使いたいので修理して欲しいのに対し、トイレの構造はこうであるとか、どうやって修理をするか、など説明をダラダラと続けて、なかなか作業を始めてくれないとします。
このような場合「講釈を垂れるより、さっさと直してくれ」という気持ちになるでしょう。
「講釈を垂れる」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「講釈を垂れる」の意味が理解できましたところで、例文をいくつか紹介していきます。
意味の解釈もつけていますので参考にしてみてください。
- 「講釈を垂れる」を使った例文1
- 「講釈を垂れる」を使った例文2
- 「講釈を垂れる」を使った例文3
「講釈を垂れる」を使った例文1
「講釈を垂れるだけで、あいつは何もしてくれない」
口ばかり、説明だけは立派でも行動は伴わない人がいます。
特に仕事においては偉そうにダメ出ししたり、指示をするだけで、自分は何もしないという先輩や上司は嫌な存在でもあることでしょう。
そのような相手に対して例文のようなセリフが出てくるのは気持ちとしては理解できます。
「講釈を垂れる」を使った例文2
「つまらない講釈を垂れるより、さっさと仕事を片付けてください」
仕事や物事で、あれこれと理由、言い訳をして実際に動かない人がいます。
これは周りの人は迷惑なのですが、本人は自分は仕事ができるとか、行動しないのは正当な理由があると自信を持っていることすらあります。
そのような相手にはまともに向き合っても仕方がないと諦めの口調で例文のような言い方をすることがあります。
これは「はいはい、わかりました」といったようなニュアンスです。
あなたの話すことは聞き飽きましたとか、いつも通りの言い訳ですねといった意味合いも含んでいます。
とはいえ「つまらない講釈」とはっきり言えるような仲ですからそこまで険悪ではありません。
言いたいことを言い合える仲だからこそ言えるセリフでもあります。
「講釈を垂れる」を使った例文3
「彼は経験していないのに、いつも偉そうに講釈を垂れる」
自分は経験がないのに、知識だけはある場合、なぜか実際に行動している人に上から目線であれこれ言いたがる人がいます。
一般的にはそのような性格は人から嫌われやすいので、例文のように冷静に悪口を言われる羽目になります。
「講釈」を使った言葉と意味を解釈
「講釈」を使った言葉の意味を詳しく見ていきましょう。
- 「講釈師」
- 「講釈たれ」
「講釈師」
「講釈師」とは「講談師」のことでもあります。
講釈を口演する人のことをいう言葉です。
また講釈を興行する寄席のことを講釈場(こうしゃくば)と言います。
「講釈たれ」
「講釈たれ」とは悪口のようなものです。
大人が子供に対して屁理屈が多い時に「この講釈たれ」などと叱ったりします。
意味は口ばかり、偉そうに、屁理屈を言うといったことになります。
しかしこの言葉で相手をやり込めるというのも、品がいいわけではありません。
いい意味で使うことはありませんので注意をしましょう。
「講釈を垂れる」の類語や類義語
「講釈を垂れる」の類語、似た言葉をいくつか紹介します。
こちらも併せて覚えておくといいでしょう。
- 「講釈をぶつ」【こうしゃくをぶつ】
- 「長広舌をふるう」【ちょうこうぜつをふるう】
- 「長々と話す」【ながながとはなす】
「講釈をぶつ」【こうしゃくをぶつ】
「講釈をぶつ」の「ぶつ」とは語る、演説するといった意味を強めていう言葉となります。
つまり「講釈を語る」を強調して言っている言葉となります。
印象としては話しがくどい、熱すぎる、うざいといった感じになります。
「長広舌をふるう」【ちょうこうぜつをふるう】
「長広舌」(ちょうこうぜつ)とは長々としゃべりたてることを言います。
「ふるう」は勢いが盛んになる、能力を十分に表すといった意味ですから元気よく長々としゃべっているといったことが想像できます。
「長々と話す」【ながながとはなす】
「講釈を垂れる」をごく簡単でわかりやすい言葉に直すならば「長々と話す」となります。
いいことであっても、あまりにも長々と話されますと聞く側もげんなりとしてしまいます。
何事も程々に切り上げる方がいいのです。
「講釈を垂れる」の英語表現(meaning)
「講釈を垂れる」を英語ではどのように言い表すのでしょうか。
英語では「講釈」は“a lecture”となります。
ちなみに「講談」の場合は“storytelling”です。
また説明というタイプの「講釈」の場合は“explanation”を使います。
例文は“give boring lectures about this and that.”(講釈を並べる)となります。
いかがでしたでしょうか。
「講釈を垂れる」の意味、使い方、例文などまとめてお伝えしました。
もともとの意味はそれほど悪いとも思えませんが、言葉の使い方としては話が長い人、くどい人、屁理屈、偉そうといった人に対して使うことが多いですのでどうしてもネガティブな印象になりがちです。
しかし「講釈」というのは「講談」のことでもあります。
悪い意味ばかりではありませんので言葉の意味をしっかり理解して、その上で使いこなしていくようにしましょう。