「過たず」とは?意味や使い方や例文!
「過たず」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
なかなか会話で使う機会は少なく、意味もわからないという人もいるかもしれません。
それでは「過たず」について、意味や使い方などを詳しく説明していきましょう。
目次
- 「過たず」とは?
- 「過たず」の言葉の使い方
- 「過たず」の類語や類似表現や似た言葉
- 「過たず」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「過たず」の反対語
- 「過たず」の英語と解釈
「過たず」とは?
「過たず」の意味は「狙った通りに」「思った通りに」「案の定」というもので、副詞的に使います。
また普段の会話で使う機会がないことからも想像がつくかとは思いますが、今風の言葉ではありません。
- 「過たず」の語源や由来
- 「過たず」の読み方
「過たず」の語源や由来
「過たず」の語源や由来はどのようなものがあるのでしょうか。
日本の昔の有名な書物の中に「過たず」はいくつか使われています。
例えば「今昔物語集」では「夢の告げをあやまたず」とあります。
意味は「夢のお告げのとおり」となります。
これは「・・・のとおり」「たがわず」とそのままの意味として使っています。
また副詞的に使っているものもあります。
一つ目は「平家物語」から紹介します。
弓の名手、那須与一の場面で「あやまたず扇のかなめぎは一寸ばかりおいて」とあります。
訳しますと「狙い、たがわず扇のかなめぎのきわから約三センチくらい離れて」となります。
もう一つは「徒然草」の89段にあります「あやまたず足もとへふと寄り来て」という部分です。
こちらの訳は「案の定、足元へ素早く寄ってきて」となります。
いかがでしたでしょうか。
このように「過たず」という言葉は古くから使われてきたことがわかります。
動詞「あやまつ」の未然形プラス打消の助動詞「ず」で「あやまたず」となります。
「過たず」の読み方
「過たず」は「あやまたず」と読みます。
「過たず」の言葉の使い方
「過たず」という言葉はそれほど一般的に会話で使われる機会はないかもしれません。
会話においては「過たず」を使うよりは「狙った通り」「思った通り」「案の定」という言葉をそのまま使った方がわかりやすいというのもあります。
「徒然草」「平家物語」などに使われている言葉ということで古文、昔の言葉というイメージもあります。
とは言え、全く現代において使わない言葉というわけでもありません。
かしこまった物言いをしたい時、文章で使いたい時など「過たず」と使ってもいいでしょう。
「過たず」の類語や類似表現や似た言葉
「過たず」の意味がおわかりいただけたでしょうか。
「過たず」の類語、言い換えた言葉などいくつか紹介しましょう。
- 「的確」【てきかく】
- 「狙いを外さない」【ねらいをはずさない】
- 「思った通り」【おもったとおり】
- 「案の定」【あんのじょう】
- 「間違えない」【まちがえない】
「的確」【てきかく】
「的確」とは非常に大事なことを確実にとらえていること、確かな様子のことを言います。
「的確な判断」「的確な指示」などと使います。
何事も「的確」であるということは相手に安心感を与えますので仕事などにおいても褒め言葉として使われることも多い言葉です。
「狙いを外さない」【ねらいをはずさない】
「狙いを外さない」の「狙い」とは目指す意図、目当てのことを言います。
それを外さないということですから、確実で失敗がないという意味になります。
「思った通り」【おもったとおり】
「思った通り」「思い通り」とは、言葉のままで、自分が思ったことがそのまま現実になる、思ったようにすること、またその様子のことを言います。
「案の定」【あんのじょう】
「案の定」とは意味としては「思った通り」となりますが、どちらかと言えば好ましくないことに使います。
例えば「案の定、あいつの仕業だった」「案の定、上手くいかなかった」など、ネガティブなことを言い表す時に使います。
「間違えない」【まちがえない】
「過たず」を今風にごく簡単に言い換えるならば「間違えず」「間違えない」ではないでしょうか。
「間違える」を否定していますので要するに「間違えず」とは「正しい」という意味になります。
「過たず」を使った例文や短文など(意味を解釈)
それでは「過たず」を実際に使った例文をいくつか紹介しながら、意味を見ていきましょう。
「過たず」の使い方のイメージを掴んでみてください。
- 「過たず」を使った例文1
- 「過たず」を使った例文2
「過たず」を使った例文1
「過たず、矢は的に刺さった」
この言葉の意味としては「狙った通りに、矢は的に刺さった」となります。
少し古めかしい言葉ですが、古文などに出てきますので意味を覚えておくようにしましょう。
「過たず」を使った例文2
「今度は狙い過たず、しっかりと命中させた」
この例文の意味としては、狙いを外さず、思った通り、狙った通りといったことになります。
訳しますと「今度は狙いを外さず、しっかりと命中させた」となります。
「過たず」の反対語
「過たず」の反対語はどのような言葉になるのでしょうか。
それでは言葉と、その意味を見ていきましょう。
- 「過つ」
「過つ」
「過たず」とはもともと動詞「過(あやま)つ」に打ち消しの助動詞である「ず」がついた言葉です。
というわけで「過たず」の反対語は「過つ」となるのです。
「過つ」の意味はやりそこなう、しくじる、うっかりして良くないことをする、見間違える、取り違えるといったものになります。
また悪事をする、罪を犯すという意味でもあります。
「過たず」と「過つ」はセットで覚えておくといいでしょう。
「過たず」の英語と解釈
「過たず」を英語で表す時には「的確」という意味を持つ“Accurate”、“precise”があります。
“Accurate”は正確、正しい、的確という意味です。
“precise”は的確、入念、几帳面といった意味を持つ言葉です。
他には正しいという意味では“correct”、“right”などもあります。
また完全、絶好、良い、正しいという意味の“perfect”も便利な言葉と言えるでしょう。
「過たず」にもいくつかの意味合いがありますので、状況に合わせて英単語を選ぶようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
「過たず」という言葉の意味、使い方など詳しく説明しました。
古くからある言葉ですし、現在会話で使うと言う人は少ないかもしれません。
しかし、まったく使われていないというわけでもありませんので、知識として意味を理解しておきましょう。
「過たず」とは「過つ」の反対語であることから「過つ」と「過たず」、この二つをセットにして覚えておくことをおすすめします。