「櫓三年に棹八年」とは?意味!例文や使い方!
日本には色々なことわざや慣用句がありますが、その中でも「櫓三年に棹八年」は、見聞きすることの多い言葉です。
目次
- 「櫓三年に棹八年」の意味とは?
- 「櫓三年に棹八年」について詳しく解釈
- 「櫓三年に棹八年」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「櫓三年に棹八年」の類語や言い換え表現
「櫓三年に棹八年」の意味とは?
「櫓三年に棹八年」とは、どんなことでも一人前になるには、それなりの時間が掛かるという意味で使われる言葉です。
もっと細かく言えば、ある程度のレベルにもっていくだけでも結構な時間が掛かり、それより上のレベルを目指すなら、更に長い時間が必要だという解釈になります。
何かの技術を学んだり、取得しようとする際によく聞く言葉で、「そう簡単なこと(短時間で終えられるもの)ではない」ということの表す為に用いられます。
- 読み方
読み方
「櫓三年に棹八年」は、「ろさんねんにさおはちねん」と読みます。
「櫓」(ろ)とは、押し引きによって和舟を動かす為の道具で、「棹」(さお)も同様に利用する棒状の道具です。
和舟の操縦には、この2つが使われることが多く、これらの使い方をマスターしないことには一人前になれません。
最近では「櫂」(かい、西洋の「オール」)の方が見掛けるようになり、こちらを使えば比較的簡単に操縦できますが、本格的な和舟では、未だに「櫓」や「棹」が使われてことが多いです。
「櫓三年に棹八年」について詳しく解釈
「櫓」と「棹」については上で説明しましたが、この2つは素人目にはよく似た道具です。
しかし、「櫓」より「棹」の方が操るのが難しく、「櫓」をうまく使えるようになるだけでも三年は掛かり、それより難しい「棹」になると、こちらは八年は掛けないと一人前に使いこなせるようにはなれないと言われています。
「櫓三年に棹八年」は、この「櫓」や「棹」をうまく使えるようになることに例えて、どんなことでも一人前になるのは簡単ではない、時間が掛かるものだという意味の言葉となっています。
「櫓三年に棹八年」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「櫓三年に棹八年」を使った例文や短文と、その意味の解釈です。
意味が分かると簡単な言葉なので、使い方に困ることはないでしょう。
- 「櫓三年に棹八年」を使った例文1
- 「櫓三年に棹八年」を使った例文2
「櫓三年に棹八年」を使った例文1
「櫓三年に棹八年の気持ちで努力しないと、一人前の自動車修理工になるのは難しいだろう」
自動車の修理には「自動車整備士」という専門の資格があり、その中にも一級小型自動車整備士、二級ガソリン自動車整備士、ディーゼル自動車整備士など色々な種類があります。
一人前の自動車修理工になるには、これらの資格を取得するだけでなく、実際の腕前も当然大切です。
資格だけを取得すればいいというものでもないので、それこそ「櫓三年に棹八年」の世界です。
「櫓三年に棹八年」を使った例文2
「和食の修行は、正に櫓三年に棹八年だ」
様々な職人の世界でも、この和食はかなり厳しい部類に入ると言われています。
一般的には最初の数年は「追い回し」と呼ばれる雑用係から始まり、次に「盛り付け」をさせてもらえるようになり、更に「焼き場」、「蒸し場」といった上の係に昇進していきます。
一人前と呼ばれるようになるには20年は掛かると言われている世界で、「櫓三年に棹八年」の表現では足らないくらいです(ですが、これはこれで1つの言葉なので、対象によって無理に年数を増やして使うようなことはしません)。
「櫓三年に棹八年」の類語や言い換え表現
「櫓三年に棹八年」と同様の意味のある言葉や表現を挙げていきます。
代わりにこれらが使われることも多いです。
- 「首振り三年ころ八年」【くびふりさんねんころはちねん】
- 「ぽつぽつ三年波八年」【ぽつぽつさんねんなみはちねん】
「首振り三年ころ八年」【くびふりさんねんころはちねん】
尺八の演奏に、首を使って吹けるようになるまでに三年は掛かり、指がうまく使えるようになるにはもう八年は必要だということから例えて、「櫓三年に棹八年」と同様の意味で使う言葉です。
「ぽつぽつ三年波八年」【ぽつぽつさんねんなみはちねん】
こちらは日本画において、ぽつぽつと細かい線による苔(こけ)を描けるようになるまでに三年、波ともなると八年は掛けないとうまくは掛けないことから、「櫓三年に棹八年」と同じ意味の言葉となっています。
「櫓三年に棹八年」は、何かを学ぶ際の教訓だと言っていいでしょう。
同じ意味のある類語と共に、どんなことでも一人前になるのは甘くはないという意味で、時代を問わず使われて続けている言葉です。