「根回し」とは?意味と類語!例文と使い方!
ビジネスでは「根回し」という言葉が良く使われます。
どの様な意味なのか、「根回し」のスキルを身に付ける方法などについて詳しく紹介します。
目次
- 「根回し」とは?読み方
- 「根回し」のビジネスでの具体的な例
- 「根回し」の類語や言い換え
- 「根回し」が上手な人とは?
- 「根回し」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「根回し」のビジネスなどの使用での英語
- 「根回し」と「ゴマすり」の違い
- 根回し力と気配り力とフォロー力を身につけるには?
「根回し」とは?読み方
「根回し」の意味と語源について紹介します。
- 「根回し」の意味1
- 「根回し」の意味2
- 「根回し」の語源
「根回し」の意味1
「樹木の根を整えること」という意味です。
林業では、大きな木を育てる時に移植を行います。
樹木は地中に広く根を張っているので、すぐには掘りだせません。
その為に移植をする1年〜2年程前に根元の中心部を残して根切りをして、そこから細い根が伸びてくる様にするのです。
この作業を「根回し」と読んでいます。
「根回し」の意味2
「ものごとを上手く進めるためにあらかじめ手を打っておくこと」という意味です。
こちらは一般的に最も使われている意味です。
大きな会議や大切な交渉がある時に、意見がまとまらずに決裂する事態は防ぎたいものです。
その為に、その会議や交渉の前から相手に接触して大体の意見を訊き出して対策を練っておいたり、更には関係部署にお願いして相手を説得したりなど、ものごとを良い結果に導く為に目立たない様に行動しておくことを言います。
ビジネスでは「根回上手な人」は優秀な人材と言われていて、あらゆる難しい局面でも「根回し」次第でスムーズに乗り越えられるのです。
「根回し」の語源
「根回し」の語源は、最初の「根回しの意味1」で紹介した林業の用語から来ています。
樹木には様々な特性があり、大木でも植え替えをするとすぐに枯れてしまうこともあります。
その為に、移植の1年〜2年位前に根切りをするという準備が必要でした。
細い根が出来た時点で移植をすれば根付きが良くなり、養分を吸収し易くなるので立ち枯れを防げるのです。
林業に従事する人達にとって「根回し」という言葉は植え替えの準備作業を意味していましたが、それが段々と一般に広まり、「事前に準備をしておいた上で本番を迎えること」というビジネス目的として使われる様になったのです。
「根回し」のビジネスでの具体的な例
ビジネスで「根回し」が使われるが具体的なシーンを紹介します。
- 「根回し」のビジネスでの具体的な例1
- 「根回し」のビジネスでの具体的な例2
- 「根回し」のビジネスでの具体的な例3
「根回し」のビジネスでの具体的な例1
「事前に相手と接触して話を通しておく」という例があります。
これは「根回し」の基本と言われていて、そのものごとの決定に大きく影響を与える人に、事前に接触してこちらの意図を伝えておくのです。
その時に「何故この話をまとめたいのか」「相手にとってのメリット」「自分の熱意」などを盛り込み、相手の心を動かす様にするのです。
反対意見を出すと思われる人には丁寧に説明をすることで「この人にならできる」と思わせます。
最初から賛成してくれると思われる人には、反対意見が出た時に援護して貰える様に、会議以外の場面でもやんわりと説得して貰える様にお願いするのです。
これをすることで、関係者は全く知らなくても上層部があっという間に賛成してくれて交渉が成立することもあるのです。
「根回し」のビジネスでの具体的な例2
「接待」もビジネスの「根回し」の効果的な方法です。
接待は、取引先を高級なお店に招待して飲食をすることで良い気分にさせて、交渉を有利に持ち込むテクニックです。
相手が満足する接待ができれば、その場の口約束ですが「契約しますよ」と言って貰える可能性もあります。
食べ物で釣るのはずるいと思う人もいますが、ビジネスでは非常に重要なシーンです。
接待のポイントは、最初から商談をしないことです。
あくまで相手を楽しませて気持ち良くさせて、自発的に「こんなに良くしてくれるのだから、これからもいい関係を続けたい」と相手に思わせることが目的です。
お店選びも非常に重要になり、相手が好きなメニューを出し、しかもスタッフのサービスが行き届いていること、手土産から配車まで手を抜けません。
大企業の大きな契約は接待で保たれていると言っても過言ではないのです。
「根回し」のビジネスでの具体的な例3
「問題点を事前に解決しておくこと」も「根回し」として大切です。
会議や交渉の前に「問題点」や「相手に指摘されそうで心配なこと」、「弱み」などがあれば、先に解決しておくことも「根回し」になります。
専門知識のある人にお願いしてノウハウを訊き出しておいたり、いざという時には直接説明して貰える様にお願いしておきます。
人手や設備などの環境的な問題も先に解決しておき、何か言われても「大丈夫です、安心して下さい」と自信を持って説明出来る様にしておくことです。
「根回し」の類語や言い換え
「根回し」の類語は以下の通りです。
- 「手を回す」【てをまわす】
- 「お膳立て」【おぜんだて】
- 「裏工作」【うらこうさく】
- 「水面下」【すいめんか】
- 「地固め」【じがため】
「手を回す」【てをまわす】
ものごとが上手くいく様に密かに働きかけることです。
良い意味でも悪い意味でも「裏で手を回す」と使われることがあります。
「お膳立て」【おぜんだて】
すぐにものごとに取り組めるように、あらかじめ準備を整えておくことです。
お膳に食器や料理を並べてすぐに食べられる様にすることから来ています。
「裏工作」【うらこうさく】
人に見られない様に陰でこっそりと働きかけることで、一般的には良い意味では使われません。
「水面下」【すいめんか】
表立って見えない部分でものごとが進められることを言います。
水の上には何も見えないけれども、実は水の中では既にものごとが動いているという意味です。
「地固め」【じがため】
ものごとの基本となる部分をしっかりと固めておくことです。
ビジネスでは重要な部分を抑えておき、相手に突っ込まれた時に芯がブレない様にする時に使います。
「根回し」が上手な人とは?
「根回し」が上手な人の特徴を紹介します。
- コミュニケーション力がある
- 情報収集能力がある
- 行動力がある
コミュニケーション力がある
「根回し」が上手な人は、社内だけではなく社外にも多くの人を味方に付けています。
いざという時に「この人の為ならば協力してあげてもいい」と思わせられるのです。
普段から挨拶をしっかりとして、短い会話を交わしたり、飲みに誘われたらなるべく参加する様にしています。
メールやラインで近況報告をするなど、人との交流を大切にしているのです。
情報収集能力がある
何かあった時に「どこに連絡すればいいか」「何が必要か」「どれくらいかかるか」などの情報がすぐに分ります。
これはほとんどがインターネットによるものですが、キーワードの設定能力が他の人とは違うので、必要な情報がすぐにまとまって手に入るのです。
情報がすぐに入手できればそれだけ早く行動が取れて「根回し」が速くなります。
行動力がある
「根回し」が上手な人は、何と言っても行動力があります。
「これをやっておこう」と思った時に「ついでにあれもやっておこう」「それもやっておこう」と幾つか並行して思い立ち、それを一気にやってしまうのです。
思っても中々やらない人も多いのですが「根回し」が上手な人はダメ元でも行動します。
「根回し」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「根回し」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「根回し」を使った例文1
- 「根回し」を使った例文2
- 「根回し」を使った例文3
「根回し」を使った例文1
「彼の根回しのお蔭で相手の怒りが治まった」
仕事でミスやトラブルがあり、相手が非常に怒ってしまいました。
そんな時に要領のいい人がすぐに関係部署に連絡をして最短で代替え品が届く様にしたり、エンジニアを送ってすぐにセッティング出来る様にしたお蔭で、ほとんど顧客に損失を与えずに済んだのです。
顧客もその対応の速さに満足して返って信頼関係を築ける様になりました。
「根回し」を使った例文2
「相手の部長に根回ししておくと話が早い」
少しハードルが高い交渉をする時には、担当者だけではなく相手の企業の部長に先に話を通しておいた方がスムーズに進むこともあります。
特に今迄担当していた人が昇進して部長になった場合、こちらのことを良く知っている分理解してもらい易く、担当者に口添えして貰える可能性も高いのです。
「根回し」を使った例文3
「根回しが足りなくてプロジェクトが機能しない」
新しいプロジェクトを進める時には、発注部署や工場との連携が必要です。
事前に顔を見せて友好関係を築き、注意点についてお願いしたり、何かあったらすぐに連絡を取れる様にしておくなどの細かい準備をしておく必要があったのですが、それを怠った為にいざプロジェクトがスタートした時に混乱してしまった様子を表しています。
「根回し」のビジネスなどの使用での英語
“She is used to lay the groundwork at anytime.”
「彼女はいつでも根回しに馴れている」です。
「lay the groundwork」は「根回し」の英訳です。
「根回し」と「ゴマすり」の違い
「根回し」と「ゴマすり」は似ている様で違います。
「根回し」は、「会議や交渉をスムーズに進める為に、事前にさまざまな対策を施しておくこと」です。
なるべく大勢の人の手間をかけないで済む様に、出来ることはしておこうという考え方です。
「ごますり」は、「自分の私欲の為に、有益だと思われる人に対して気に入られる様にふるまうこと」です。
自分が得をしたり有利になる為だけを考えて行動するのです。
「誰の為にしているのか」という点が大きく違うと言えます。
根回し力と気配り力とフォロー力を身につけるには?
「根回し力」「気配り力」「フォロー力」を身に付けるコツについて紹介します。
- 一歩先のことを考える
- 臨機応変に対応する
- 人間関係を大切にする
一歩先のことを考える
今目の前のことをこなすだけではなく、「このままだとどうなるか」「それをすればどうなるか」という一歩先のことを考える様にします。
理想の未来にする為には今のうちに何をしておくべきかが分る様になるでしょう。
臨機応変に対応する
状況が変化する中で「こうだったらこれをしておこう」「ああだったらあれをしておこう」と、臨機応変に考えることも大切です。
ものごとは思い通りには進まないことが多いので、すぐに発想を切り替えて行動できる様にしましょう。
人間関係を大切にする
会社は人で成り立っていて、「根回し」をするには人間関係が最重要になります。
普段から協力してくれ人や知恵を貸してくれる人を味方に付けておくことが大切なのです。
関連部署だけではなく総務や人事、社外にも交友関係があると、いざという時に頼れます。
大勢の人と知り合い、つながりを維持しておきましょう。
「根回し」は「ビジネスがスムーズに進む様にあらかじめ手を打っておくこと」です。
その方法は様々で、相手と事前に接触したり、自分ができることはやっておくなどがあります。
ビジネスの場では誰もが自然に「根回し」をしていることも多いのです。