「晩節を汚す」の意味とは?反対語、英語や使い方、例文を紹介!
「晩節を汚す」という言葉は聞いたことがないが、なんとなくよくない印象を持つ、という方が多いでしょう。
「汚す」という言葉からも、ネガティブイメージを持つのではないでしょうか。
ここでは、「晩節を汚す」という言葉についてご紹介していますので、ぜひ一読ください。

目次
- 「晩節を汚す」の意味とは?
- 「晩節を汚す」の読み方
- 「晩節を汚す」の英語
- 「晩節を汚す」の反対語
- 「晩節を汚す」の言葉の使い方
- 「晩節を汚す」を使った例文や短文など
- 「晩節を汚す」の類語や類義表現など
「晩節を汚す」の意味とは?

「晩節を汚す」の「晩節」とは、人生の終わりがけ、つまり大抵の人にとっての老年期を意味し、「晩節を汚す」とは、その時期に失態を起こすことを言います。
どんなに素晴らしい青年期、壮年期を過ごしてきた人でも、一つ大罪を犯すとそれまでのよいことも水泡と帰すこともあります。
しかし、芸人として大成した人が、人として恥ずかしい姿を晒すことなどは、むしろ芸人としてよい終わり方と言われることもあるため、かならずしも「晩節を汚す」ことが悪いことと言えないケースもあるようです。
「晩節を汚す」の読み方

「晩節を汚す」は、「ばんせつ(を)けが(す)」と読みます。
「汚す」は「よご(す)」とも読みますし、「よご(す)」の方が一般的ですが、ここでは「けが(す)」ですので、間違えないように留意しましょう。
「晩」とは終わりに近いこと、「節」とはそのころを意味し、「晩節」で人生の終わりのころ、また、晩年の節操、という意味で使われています。
「晩節を汚す」の英語

「晩節を汚す」は英語で、“tarnish one's twilight years”ということができます。
“tarnish”とは汚れることや曇らせること、錆びなどを意味します。
“twilight”とはたそがれのことで、“twilight years”で晩年、という意味になります。
晩年になって汚れること、ということからも、「晩節を汚す」という意味を伝えられることがわかります。
「晩節を汚す」の反対語

「晩節を汚す」の逆の意味の言葉というと、物事の終わり、締めくくりに素晴らしい功績を残すこと、という意味の言葉が挙げられます。
具体的なものを見ておきましょう。
- 「有終の美を飾る」【ゆうしゅうのびをかざる】
- 「立つ鳥跡を濁さず」【たつとりあとをにごさず】
「有終の美を飾る」【ゆうしゅうのびをかざる】
「ゆうしゅう(の)び(を)かざ(る)」と読み、物事を最後までしっかりとやり遂げ、素晴らしい成果をあげることを言います。
「優秀の美」とするのは間違いですので気をつけましょう。
引退、卒業などの場面でよく使われる言葉ですので、覚えておくとここぞというときに役に立ちます。
「家族やチームのみんな、コーチのおかげで、最後の試合で勝利をおさめ、有終の美を飾ることができました」
「立つ鳥跡を濁さず」【たつとりあとをにごさず】
「た(つ)とりあと(を)にご(さず)」と読み、あとに残されたもののことを考え、自分がある期間過ごした場所を去るときには、美しい状態で去ろう、とする心を意味する言葉です。
「濁さず」を「よご(さず)」と読むのは間違いですので留意してください。
「ガンとわかってから父は、立つ鳥跡を濁さずとでもいうように、生前整理を始めた」
「晩節を汚す」の言葉の使い方

「○○して晩節を汚す」や「晩節を汚すことになる」「晩節を汚すことのないよう」のように使われます。
一時は高名だったが没落した人に対して言われるほか、心に留めておく言葉、戒めの言葉として、「晩節を汚すことがないように」という使い方もされています。
「晩節を汚す」を使った例文や短文など

では、「晩節を汚す」を使用した例文を見ていきましょう。
具体例の中で見ておくことで、いっそう理解が深まります。
- 「晩節を汚す」の例文1
- 「晩節を汚す」の例文2
「晩節を汚す」の例文1
「祖父は経営者としては豪腕だったが、愛する妻を亡くしたあとは認知症が進み、晩節を汚すような言動が目立つようになった」
年を重ねてから認知能力が衰え、徘徊や妄言が目立つようになり、若かりし頃のよい部分が失われていくことが多くあります。
本人にはまだ自分はしっかりしている、という自負心がある場合には余計に面倒なこともあり、本人も周囲の人もわかりあえず、疲弊することにもなります。
それでも、残してきた功績に変わりはないため、亡くなってからもありがたがられる人も多くいます。
「晩節を汚す」の例文2
「アスリートとしては後輩にも慕われ、ファンも多かったが、引退後に婦女暴行の罪に問われ、晩節を汚すこととなった」
有名な人こそ、罪を犯したときには世間から多くの批判を受けることになります。
いいことを千も行った人であっても、たった一つの人道を外れた行為によって、人生の晩年を寂しく過ごすことになりますので、どんなに徳を積んできたとしても、人の道を外れるようなことはしてはいけません。
「晩節を汚す」の類語や類義表現など

「晩節を汚す」にはどのような類語があるでしょう。
晩年に限らず、よい行いをして名声を得たにもかかわらず、よくない行いによって名を落とすこと全般についての類語をご紹介します。
- 「失脚」【しっきゃく】
- 「転落」【てんらく】
- 「没落」【ぼつらく】
「失脚」【しっきゃく】
「しっきゃく」と読み、物事に失敗したり、だれかの画策によって陥れられ、もとの立場を追われ、名声や地位を失うことを言います。
「失脚」の場合には、悪事がばれるといった、本人の悪い行いが暴露される場合と、無実の罪を着せられ、やってもいないことをでっちあげられて地位を失う場合とがあります。
「女性に対する心ない一言で失脚した政治家がいる」
「転落」【てんらく】
「てんらく」と読み、転がり落ちることを意味します。
物理的に高いところから低いところへと落ちることも意味しますが、そのように、高い地位にあった人が、坂を転がるように急激に落ちぶれることを言うこともあります。
ここでは後者の意味で取り扱います。
「司会としても買われていたが、薬物所持で転落した」
「没落」【ぼつらく】
「ぼつらく」と読み、栄えていた人やものごとが衰え、滅びていくことや、城などが攻められ敵に討たれることを言います。
盛者必衰、という言葉も似た言葉として挙げておきます。
一度は栄えたものが、よくない状態に変わっていくことは、別のなにかが立ち表れてくることも意味しており、時の流れを感じさせます。
「没落するまで、貴族としていい夢をたくさん見ただろう」
「晩節を汚す」とは、人生の終わりになって失態を起こすことを意味する言葉でした。
「晩節」を全うし、美しく死にたいと望む人も多いでしょうが、「晩節を汚す」ことで、人々の心に爪痕を残す人もまた、たくさんいるようです。