「失脚」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
何時の時代でも、自分の住む国を全国統一して治めたいという人物がいなくなることはありません。
アメリカでは大統領が強大な権力を握りますし、日本では総理大臣が行政のトップであることは誰もが知っていることです。
しかし、そんな権力が永遠に続くことがないことは、数千年にも及ぶ歴史が物語っています。
その時に出てくる言葉が「失脚」です。
「失脚」という言葉は、私達の日常生活においては、ほぼ使われる場面はほとんどありませんし、大河ドラマ、政治関連のニュースで、時々用いられる言葉のために、その意味さえ知らなかったり、聞いたこともないような人もいることがあるようです。
ここで、この「失脚」という言葉の意味や使い方を見ていくことにしますので、よく理解してもらえばと思います。
目次
- 「失脚」の意味とは?
- 「失脚」の類語や言い換え・似た言葉
- 「失脚」の言葉の使い方
- 「失脚」を使った例文
- 「失脚」の英語
- 「失脚」の語源や由来
- 「失脚」の対義語
- 仕事で「失脚」する時に多い原因
「失脚」の意味とは?
「失脚」とは「社会的な地位を追われること」や「それによって権力を失うこと」を意味しています。
具体的には、指導者や王族のような高い地位にいる人や強大な権力を握っている大物政治家が、その地位を失うことを意味していることが多いです。
似たような言葉には「失墜」、「解任」などが言葉も挙げられますが、人からの信頼や役職を失うことを指すこととは異なり、「失脚」は、権力そのものを失われることを指し示す言葉になっています。
- 「失脚」は身近なところでも
- 「失脚」の読み方
「失脚」は身近なところでも
また、私達の身近な場面では、企業の場合に、社長や役員といった経営上層部の役職のみならず、部長・課長などの管理職層が権力を奪われる時も、同様に言われることがあります。
不祥事によって部署や勤務地を地方へ異動させられる「左遷」も似たようなイメージかありますが、「左遷」は単なる異動のことだけで、「失脚」となると地位も失うことになるので、社会的に抹殺されたと言っても過言ではありません。
「失脚」の読み方
「失脚」とは、「しっきゃく」と読むことになります。
「失脚」の類語や言い換え・似た言葉
では、「失脚」に似ている意味を持つ類義語としては、どのような言葉が使われているでしょうか?
ここでは「失脚」に値する類義語・動機語を見ていこうと思います。
- 「権威が損なわれる」
- 「権力を失う」
- 「地位から転落する」
「権威が損なわれる」
「権威」とは、「優れた者として、他の人を威圧して自分に従わせる力」や「誰もが認めて従わなければならないような価値の力」という意味がありますが、その「権威を失う」という意味があります。
「権力を失う」
この言葉は、まさに「他人を支配して服従させる力」を失うことになりますが、為政者は、1度権力を手にすると、手放したくなくなるのでしょうか。
「地位から転落する」
これも「失脚」と同じ意味を持っており、高い地位まで昇りつめることができても、何かしらの失敗で人心が離れて、坂を転げ落ちるように立場を失ってしまうのです。
「失脚」の言葉の使い方
「失脚」は、大きな権力を集中的に持っている高い地位の人間が、その力を失ってしまう場合に使います。
それは前述の通り国の元首であったり、会社のトップでも当てはまります。
「失脚」を使った例文
では、ここで、「失脚」を使った言葉を見ていくことにしましょう。
- 「失脚」の例文1
- 「失脚」の例文2
- 「失脚」の例文3
「失脚」の例文1
「実力が全くない今現在の会長が失脚しない限り、会社を黒字に転換させることはとても難しいことです」
企業経営においては、経営トップが有能でないと、拡大はおろか安定させることもできません。
また、高い能力とセンスを持ち合わせている会長や社長でも、長らくその座に留まることもよくありません。
しかし、全く無能な社長となると、会社の黒字を期待することは、到底無理でしょう。
「失脚」の例文2
「巨額の横領が明るみになってしまった社長は、検察の手が回ると同時に社長の地位からも失脚することになります」
いくら組織の長であっても、企業は社長の個人資産ではありません。
しかし、公私混同して、横領してしまう謝った認識をしているオーナーも少なくありません。
「失脚」の例文3
「監督は有能な指導力をいたのですが、先月、パワハラ事件によって失脚したため、一時は練習も満足に行われなかったのです。しかし、コーチ陣の献身な努力によって再び練習環境が整った」
このような事件が、最近、スポーツ界でも騒がれています。
いくら指導力を持っていた監督でも、行き過ぎた指導は、何れは問題視されることになります。
「失脚」の英語
「失脚」を英語で表現すると、“a downfall”や“a fall”となります。
「失脚」の語源や由来
「失脚」とは、色々な解釈ができそうな言葉に感じるのですが、「足を踏み外す」という解釈が素直な理解かもしれません。
しかし、それは、自分の犯した失敗や誤った行いが原因である側面もあります。
そのために自ら「脚を失う」羽目になり。
それまで握っていた権限をなくしてしまうのです。
「脚」とは、本来、自分の身体を支えるものですが、その脚を壊してしまったことから、立つことも歩くこともできなくなることから、「失脚」が「権力を失ってしまうこと」になるのではないかと思うのです。
「失脚」の対義語
「失脚」の対義語としては、「権力を掌握する」という表現になるでしょう。
「権力を掌握する」とは、「世の中を動かす力を手に入れること」でもありますし、自分のライバルを蹴落として、あらゆる権力を自分1人に集中させるという意味もあります。
しかし、あまりにも1人に集中することで、間違った方向に行ってしまったなら、最悪なことになります。
仕事で「失脚」する時に多い原因
大企業の社長が仕事で「失脚」するニュースがよくテレビの報道やネット上でも騒がれていますが、その原因はどこにあるのでしょうか?
いくつかの原因が挙げられます。
- 「業務横領」
- 8-2「ワンマン経営」
「業務横領」
会社の経費をプライベートな目的で使ってしまうことで、背任罪に問われることがあります。
株購入などで出してしまった損失を会社経費で補てんしたり、悪質になると、所得隠しによる巨額の脱税と言うのも、ケースもあります。
このようなケースで「失脚」することになります。
8-2「ワンマン経営」
有能な社長に権力が集まり過ぎたことによって「ワンマン経営」になったことから、「失脚」する場合もあります。
会社の経営が厳しい時に、「ワンマン経営」でも、正しい判断で経営が良くなることもありますが、長年経営トップに君臨したことで、「ワンマン経営」が、「放漫経営」に陥り、誤った方向に行ってしまいます。
その結果、社長側近からも裏地られて、足元をすくわれてしまうのですが、まさに「失脚」と言えます。
高い地位にあった人間が1度失脚すると、人どのような人であっても、再び指導的な立場に返り咲くことは非常に難しいと言われています。
ましてや、復帰したとしても、さらに何回も失脚を経験した人は、より稀と言えるでしょう。
その理由は、それまで掌握していた既存の権力を1度放棄してしまったことで、それまでその人が持っていた人脈、情報源などが一気になくなってしまうからとされています。
しかも、失脚した後は新たな政権や権力者によって、社会的に抹殺されてしまうこともあります。
このようなことから、権力者は、1度掴んだ力を失ってしまうことが、とても恐ろしくなってくるのかもしれません。
その結果、「失脚」しないようにあらゆる手だてをして、自分の地位を守ろうとするのです。
地位を得た当所は、高い志を持っていたとしても、長年に渡る権力集中により、おかしく成っていくのです。
やはり組織や国家を正しく機能させるためには、世代交代も含めて、定期的な交代が必要でしょう。