「時宜」の意味とは?英語、類語や使い方、例文を紹介!
「時宜」という言葉は聞いたことがない、という方もおられるかと思います。
どんなシーンで使えばいいのかわからない方も多い「時宜」という言葉について、ここではご紹介していますので、ぜひこの機会に一読ください。
目次
- 「時宜」の意味とは?
- 「時宜」の読み方と漢字
- 「時宜」の英語
- 「時宜」の由来
- 「時宜」の言葉の使い方
- 「時宜」を使った言葉や熟語・関連
- 「時宜」を使った例文や短文など
- 「時宜」の類語や類義表現
- 「時宜」と「適宜」の違い
「時宜」の意味とは?
「時宜」には大きく分けて二つの意味があり、一つは、時期的にちょうどいいこと、適切な時期であること、もう一つは、その時にあう挨拶のことです。
どちらの意味でも、その時々に対し、ちょうどよいことを表す言葉、と覚えておくと、「時宜」という言葉が少しとっつきやすくなるでしょう。
「時宜」の読み方と漢字
「時宜」は「じぎ」と読みます。
「時」という漢字はほかに「とき」と読み、月日や季節の移ろいや時間の単位として使われるほか、そのとき、おり、といった意味で使われています。
「宜」という漢字はほかに「よろ-しい」「よ-い」「むべ」「よろ-しく〜べし」といった読みを持ち、当然である、○○するのがよい、といった意味のほかに、よろしい、都合がよい、という意味で使われています。
「時宜」の英語
「時宜」を表す英語としては、“in season”や“timely”、“opportune”、“right time”などが挙げられます。
“in season”は季節にあった、旬の、という意味で、“timely”は時にあった、ちょうどよい折の、という意味で使われます。
“opportune”は時期的な意味でのちょうどいい、適切な、といった意味で、“right time”は正しい時間というほかに、適切な時期、好機といった意味で使われています。
使いたい場面に見合った英語を使えるようになると、伝えたいことが伝わりやすくなります。
「時宜」の由来
「時宜」という言葉は、古代や中世の時代から使われてきた言葉で、もともとは政治的な意味あいを強く持っていました。
時に応じた政治をする、というような場合に使われ、臨機応変な対応を求められていたことを表す文書が残っていたり、権威、権力を持った人物の考えを示す言葉としても使われていたようです。
「時宜」の言葉の使い方
その時、その場面に応じて適切な行いや言動をするときに、「時宜」という言葉が使われています。
「時宜を得る」や「時宜にかなう」という言い方をすることも多く、情勢を読んだ上で、今必要なことをすることの大切さや、同じようによい行いでも、タイミングがあわなければうまくいかないことなどを示すのに使うことができるでしょう。
「時宜」を使った言葉や熟語・関連
では、「時宜」を使用した語句をいくつか挙げていきます。
関連のある言葉を知っていることで、そのフレーズごと覚えて応用することができます。
- 「時宜に沿った」
- 「時宜的」
「時宜に沿った」
好機を逃さず、そのタイミングにあわせて行動することを、「時宜に沿った」もしくは「時宜に沿う」などということができます。
相手が機嫌のよいときになにか言いづらいことを言ったり、自分の実力が目標に見合ってから試験を受けたりと、日常の中で「時宜」に沿った行動を取ることは少なからずあるのではないでしょうか。
「時宜に沿った発言をしなければ、彼女はすぐにへそを曲げる」
「時宜的」
「時宜」に接尾辞の「的」がついた形ですが、「的」には大きな意味あいはありませんので、「時宜」と同様に使うことができます。
「的」を使うことで少し柔らかい物腰になりますが、日本人らしく、物事を曖昧に伝える奥ゆかしさといえるでしょう。
「時宜的な効果が得られるのは桜が咲く頃だろう」
「時宜」を使った例文や短文など
次に、「時宜」を使用した例文を見ておきましょう。
フレーズのみでなく、具体的な例文を押さえておくことで、より理解が深まります。
- 「時宜」の例文1
- 「時宜」の例文2
「時宜」の例文1
「これまでの活動を踏まえると、時宜を得た企画だといえる」
季節的な意味での頃合と、情勢、状況的な意味での頃合とがありますが、こちらは状況を加味した上での「時宜」と言えます。
これまでの活動の流れや実績からすると、次はこのような企画を立てることが妥当である、ということです。
「時宜」の例文2
「彼が役員として抜擢されたのは非常に時宜にかなっている」
現在は通用しなくなってきているようですが、経済成長期ですと、年功序列に従って、これくらいの年になればこれくらいの役職が与えられるのも当然、という仕組みが成り立っていました。
現在ではできる人が上に立ち、できない者は切り捨てる風潮も色濃いようですが、どちらにせよ、実績や勤続年数に従い、ある役職に抜擢される時期が誰から見ても適切である場合、「時宜」にかなっている、ということになります。
「時宜」の類語や類義表現
「時宜」の類語表現も見ておきましょう。
類語を知っていることで、語彙の幅が広がり、さまざまな言い換えも可能になります。
- 「潮時」【しおどき】
- 「機宜」【きぎ】
「潮時」【しおどき】
「しおどき」と読み、潮の干満が起こるときや、出産、死亡の起こりやすい時間帯を表すこともありますが、ここでは、物事を始める、または終えるのにちょうどよいとき、という意味で扱います。
「潮時」というと、もうこれ以上よくならないと見越してやめる時期、と思われがちですが、なにかを始めるときや、もっともいい状態で終わるための引き際、ととらえるといいでしょう。
「彼女との交際も三年になったから、結婚を決断するにもいい潮時だ」
「機宜」【きぎ】
「きぎ」と読み、なにかをするのにちょうどよいとき、適切な時期、ふさわしい頃合、といった意味で使われていることからも、「時宜」と類語関係にあることがわかります。
機会、好機、などの関連語からも、「時宜」と「機宜」がよく似た場面で使われていることもわかります。
「患者には機宜に適した処置をしていかなくてはならない」
「時宜」と「適宜」の違い
「適宜」とは、その場その場でよいように行うことや、それぞれがよいと思う考えに従って言動を行うことをいいます。
「時宜」では、なにか目標があり、それにふさわしい時期を待つこともありますが、「適宜」とは、なにかの目標のために、そのときそのときで必要なことを行う、という意味です。
「時宜」とは、時期的にちょうどよいこと、という意味の言葉でした。
うまく「時宜」を得た仕事や言動ができれば、障壁を感じることなくさまざまな物事が潤滑に進みそうですね。
「時宜」にかなうかどうかを考えて行動するというのは、一つの処世術ともいえそうです。