「義を尽くす」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
日本語には色々な言葉がありますが、その中で昔から現代社会まで継承されている言葉も数多く残っています。
しかし、私達はその言葉の意味を正しく理解して使いこなすことができているでしょうか?
例えば、「義を尽くす」という言葉などは、時代劇や小説の中で目にすることがあっても、実際に日常生活の中やビジネスシーンの中では、使いこなすことができる人がそんなに多くはないかと思います。
ここでは、この「義を尽くす」という言葉に注目して、意味や使い方の知識を深めていこうと思います。
目次
- 「義を尽くす」の意味とは?
- 「義を尽くす」の読み方
- 「義を尽くす」の英語(解釈)
- 「仁をもって義をなす。義によって仁を尽くす」の意味
- 「義を尽くす」の言葉の使い方
- 「義を尽くす」を使った例文や短文(解釈)
- 「義を尽くす」の類語や類義表現
「義を尽くす」の意味とは?
「義を尽くす」という言葉には、「人や物事に対して徹底して誠実に対処する」といったような意味があります。
「義を尽くす」に含まれている「義」という言葉が非常に重要な意味合いを持っており、「人間の行動や思想、道徳で、善い、正しい」という観念的な意味があります。
儒教において、この「義」には、儒教の中心となるな思想があり、「五常」と称される「仁」、「義」、「礼」、「智」、「信」の重要な1つを占めている観念と言えるでしょう。
「正しい行いを守ること」であり、人間の欲望の1つに「利益」を追求することと相反する概念として捉えられています。
「義を尽くす」の読み方
「義を尽くす」とは、「ぎをつくす」という読み方になります。
「義を尽くす」の英語(解釈)
「義を尽くす」を英語で表現すると、“Do my righteousness”という英訳になりますが、“righteousness”とは、「正しさ」、「公正」、「正義」、「実直」という意味があることから、「義」を表現する適切な言葉かもしれません。
「仁をもって義をなす。義によって仁を尽くす」の意味
「義」が使われている言葉に「仁をもって義をなす。義によって仁を尽くす」というものがありますが、この言葉は、紀元前300年頃の中国の孔子の考え方を受け継ぎ、孟子が記したものと言われています。
「仁」とは「礼に基づく自己の管理力と他人を思いやる心」のことで、「義」は「物事の理にかなった正しい行動」ということを指しています。
人は「仁」と「義」という2つの観念を生まれながらに持っているとして、「人間の性質は元々善にあり、仁と義という精神が宿っている」という考え方を説いています。
このことは、現代社会のビジネス業界でも、「コンプライアンスを遵守する」ということを大前提にしている多くの企業の根幹と言えるかもしれません。
「義を尽くす」の言葉の使い方
「義を尽くす」という言葉は、かなり古いイメージをある表現ですが、現代社会の中でも、当てはめることができるシーンが結構あるでしょう。
お世話になった上司や取引先に誠意も持って対応すること場面で使えるフレーズです。
「義を尽くす」を使った例文や短文(解釈)
では、ここから「義を尽くす」を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「義を尽くす」の例文1
- 「義を尽くす」の例文2
- 「義を尽くす」の例文3
「義を尽くす」の例文1
「入社当時から指導して頂いた上司に義を尽くすことを忘れないようにしている」
この例文のように「義を尽くす」という言葉の使い方には、最も基本的なケースとして、人に対して使うことが挙げられます。
相手に、最大限の礼儀を払うことや、真摯に接するという意味合いになってきますし、相手への敬意も併せて表現することができますので、ある意味、尊敬の気持ちを持っていることと心を込めて接していることが理解できるかと思います。
新入社員の頃にお世話になった元上司や、取引先の人達を自分の一生の糧とて、決して忘れることがない、素晴らしい心構えと言えます。
「義を尽くす」の例文2
「お客さんに義を尽くすことで相手の心意気に応えることができた」
この例文の場合、相手から丁重に扱われたことや、尊敬の念を持って相対してくれた際に、さらにその気持ちに「義を尽くして返礼する」といったような「義」のやり取りのニュアンスが伝わってきます。
相手から「正しく好意を持って扱ってもらえた喜び」に対して、こちらもそのお返しの気持ちとして、その気持ちに応えたということになります。
心ある相手に対しては、「義を尽くす」ことこそ、本当の人付き合いであり、良好な人間関係を構築する基本となります。
「義を尽くす」の例文3
「御世話になったお客さんに対しては義を尽くして迎えることが大切だ」
この場合、最大限の礼儀、敬意を払って来客を迎えるという意味を笑わしています。
「義を尽くす」使い方の1つでもあり、言い換えると、「丁重におもてなしをする」、「丁寧な接客を心掛ける」という理解もできるでしょう。
営業の仕事をされている人であれば、このような姿勢を持ち続けることが、多くの顧客からの信頼を得ることになりますね。
「義を尽くす」の類語や類義表現
では、ここで「義を尽くす」と同じような意味を持つ類義語を見ていくことにしましょう。
- 「手厚く遇する」
- 「重んじる」
「手厚く遇する」
「てあつくぐうする」という読み方になる「手厚く遇する」とは、「人を丁寧にもてなす」、「高待遇で迎える」という意味を持っています。
「遇する」とは、「人をもてなすこと」を意味していますが、お客様に丁寧に接するということは、「義を尽くす」という言葉と同じニュアンスを持っています。
但し、この言葉を使う場合、迎える側(=自分側)が目上のイメージとなるので、相手の人が目上の場合は、「手厚く遇する」は失礼に当る場合もあるので、使うことを避けた方がいいこともあります。
「重んじる」
「重んじる」という表現もありますが、これには「価値を大切にする」という意味で使われたり、「評価する」といった意味で使う人もいます。
人に使う場面では、「来客を重んじる」、「上司を重んじる」という「義を尽くす」という意味に近い使い方ができますが、「義を重んじる」という表現も可能でしょう。
但し、「重んじる」は色々な場面で使えるのですが、「義を尽くす」の対象の多くは人となっていくので、使うシチュエーションで使い分けに注意が必要です。
「義を尽くす」とは、本来、人として守るべき心構えとして、重要視されてきた概念かもしれません。
しかし、現代社会におけるビジネス社会では、このような姿勢がかなり薄れてしまい、利益追求が最優先されてしまう風潮になっているので、今一度改めて、この精神を見つめ直すことが必要だと思うのです。