「義を重んじる」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
日本には、昔から素晴らしい言葉がいくつも残り、現代社会まで脈々と受け継がれてきたものが数多くあります。
しかし、その言葉の存在が知られているももの、今ではすでに風化してしまったようなものまであります。
その1つに「義を重んじる」という言葉があります。
時代劇などでもよく出てくるこの言葉の奥には、どのような意味がこめられているのでしょうか?
今回は、この「気を付けて重んじる」にフォーカスを当ててみることにしました。
目次
- 「義を重んじる」の意味とは?
- 「義を重んじる」の読み方
- 「義を重んじる」の英語(解釈)
- 「義を重んじる」心理
- 「義を重んじる」の言葉の使い方
- 「義を重んじる」を使った例文や短文(解釈)
- 「義を重んじる」の類語や類義表現
「義を重んじる」の意味とは?
「義を重んじる」の意味を理解するためには、まず「義」について触れなければなりません。
「義」とは、「打算や損得のない人間としての正しい道」、「正義」のことを言っており、「義」を使った言葉には、「大義」、「道義」、「忠義」、「仁義」、「恩義」など実にたくさんあります。
特に武士は、この「義」を「武士道精神」の中心軸に据えて、これを無視したり外れ人間を卑怯者として避難することになったのです。
「義を重んじる」とは、この「武士道精神の中心軸とも言える精神を重視することや、心の拠り所とする」という意味合いを持つようになってきました。
「義を重んじる」の読み方
「義を重んじる」は、「義を重んじる」という読み方になります。
「義を重んじる」の英語(解釈)
「義を重んじる」を英語で訳すと、“respect justice”という証言になります。
「義を重んじる」心理
「義」という精神には、「正しい行い」という意味を持つとともに、併せて「打算や損得という考えとは全く無縁な」という意味が含まれています。
人の根源となるエネルギーが欲望と見なされることがあるのですが、この力の根源を上手にコントロールしていく必要があります。
しかし、現代に生きて活動している私達の行動原理の基準は、合理的な精神に基づいるために、「損か得か」という価値判断に終始している感じがしてなりません。
このような現代の社会通念と異なり、武士道における「義」は、「正義の心」に基づた絶対的価値観を根幹としています。
そのようなことから、「義」を中心とした生活をすることは、人間として最もあるべき姿を見出だすことという心理状態にあるのではないでしょうか?
「義を重んじる」の言葉の使い方
「義を重んじる」とという言葉には古めかしいフレーズがありますので、現代社会の場面ではあまり使う人がいないことでしょう。
しかし、ビジネスシーンでも、この言葉がよく当てはまる場面が少なからずあります。
例えば、仕事を教えてくれた上司・先輩の恩を忘れてしまい、仕事を適当に済ませたり、効率性だけを追求した仕事をするようになってしまい、自分の意見が認められなくなると、自分の非を認めることなく、相手を恨んだり、感謝する気持ちが次第に薄れていくのです。
このような気持ちが芽生えるくることで、仕事はおろか職場にも魅力を感じなくなるのです。
社会人としての「義を重んじる」を使うなら、「常に自分を律する心を保つ」時に使いたいものです。
長らく同じ仕事に携わっていると、いつの間にか、自分本位に物事を考えてしまうようなっていきます。
自分のモノサシで勝手に物事を計り、自己都合を優先させてしまう状態に陥ってしまいます。
その結果、自分の行動が私的なことと、公的なこととの見境がなくなってしまうために、人の道から外れることになってしまうのです。
ビジネスで「義を重んじる」ことは、会社生活において、ある程度の緊張感を保つことにもなるの思われるのです。
「義を重んじる」を使った例文や短文(解釈)
「義を重んじる」例文を見ていきましょう。
- 「義を重んじる」の例文1
- 「義を重んじる」の例文2
- 「義を重んじる」の例文3
「義を重んじる」の例文1
「上杉謙信は越後の龍と呼ばれ義を重んじる人であった」
上杉謙信は甲斐の虎と呼ばれた武田信玄とともに強力な戦国大名で有名な人物でした。
かつて、この2人は天下統一を果たして国を安定させながら勢力を拡大していきますが、隣国同士の大名として雌雄を決する者として、何度もぶつかり合うこととなったのです。
かの有名な川中島で5度に渡る戦いが行われたのですが、両者は譲らずに結果的には双方とも大きな損害を出したのです。
しかし、武田側に塩が不足した時には、塩を送り、併せて、越後と甲斐で取引された塩が高い値段にならないようにしたとも言われています。
このように上杉謙信は、決して私利私欲で戦う武将ではなかったために、「義を重んじる」人はとして有名でした。
「義を重んじる」の例文2
「直江兼続は、義を重んじることで、徳川家康に最後まで抵抗をした武士です」
天下統一を果たした豊臣秀吉か亡くなって以降、徳川家康の力を恐れて豊臣に恩のある大名の多くが、手のひらを返したように徳川側にすり寄るようになったことは、歴史が物語っています。
そのような状況の中で、直江兼続とその主君である上杉景勝は、筋が通らない家康の行動に挑むことを決めました。
ここで家康に挑戦する書状を書いたのが、兼続で世に有名な「直江状」です。
直江兼続と上杉景勝は、自己の利益を捨てて、義の道を選んだわけです。
「義を重んじる」の例文3
「現代社会においては、利益を追求することが重視されるために、義を重んじる精神が失われつつあります」
現代社会のビジネス世界では、倫理観が崩壊するような事件や犯罪が後を絶ちません。
「バレなければ不正をやっても構わない」という心理が働くのか、企業などの不祥事も続いて起こっています。
アメリカでも世界経済を揺るがすレベルの金融危機が起こっています。
これは、利益を最優先させた金融商品が暴走してしまい、破綻したためです。
倫理観のない金融政策が利益のみを追求した結果で、不自然な金融商品が作られて、世界の投資家からお金が集まってきたわけです。
このようなケースも「義を重んじる」精神からかけ離れたもので、不自然な経済活動が破綻を起こしたことで、健全な経済が立ち行かなくなったのです。
「義を重んじる」の類語や類義表現
「義を重んじる」という言葉は、他に次のような類義語が挙げられます。
- 「義を通す」
- 「正義を守る」
「義を通す」
「義を通す」という言葉が類義語としてありますが、「信義を貫く」という表現でも使われることがあり、「心を曲げないこと」、「心を変えないこと」という意味があります。
「正義を守る」
これも類義語の1つで、「正しい心や行いを守る」ということになります。
「義」とは、簡単に言うと「正義の道理」のことで「人として必ず守らなければならない道」ということになるでしょう。
大切なことは、例え会社の利益に反したとしても、「義を重んじる」ことを忘れてはならないということではないでしょうか?
今叫ばれている「コンプライアンスの遵守」は「義を重んじる」ことであり、長期的に見ればビジネスを有利にすることにもつながるのです。