「自明の理」とは?意味・類語・英語【使い方や例文】
「自明の理」という言葉の意味や類語を紹介します。
さらに「自明の理」の使い方や、「自明の理」を使った例文を紹介していきます。
目次
- 「自明の理」の意味とは?
- 「自明の理」の意味
- 「自明の理」の英語
- 「自明の理」の類語
- 「自明の理」の言葉の使い方
- 「自明の理」を使った例文
- 「自明の理」と「自然の理」の違い
「自明の理」の意味とは?
みなさんは「自明の理」という言葉を耳にした事があるでしょうか。
「自明の理」は「じめいのり」と読みます。
新聞を読む習慣がある人など、活字に慣れ親しんでいる人は「自明の理」という言葉と普段から触れ合っているかもしれません。
「自明の理」という言葉を使ったレポートを提出した経験がある社会人のみなさんもいるでしょう。
一方で学生のみなさんや若い世代の人は、「自明の理」という言葉を、今回初めて目にしたかもしれません。
そこで「自明の理」という言葉の意味や使い方を紹介します。
「自明の理」という言葉を使いこなせるようになると、語彙の多い知的な人という印象を与える事ができるかもしれません。
「自明の理」の意味
「自明の理」にはどのような意味があるでしょうか。
「自明の理」には、「説明する必要がないほど、当たり前の論理や道理」という意味があります。
「自明」には、「証明の必要がないほど明らかな事」という意味があります。
「理」には「法則」や「ルール」「道理」などの意味があります。
社会的に常識とされているくらい浸透している道理や論理を指し、ことさら議論になる事もないような、当たり前な事を「自明の理」と言います。
例えば、高齢者を大切にする事は、誰かと議論するような事例ではなく当たり前のこととされています。
「高齢者を大切にするのは『自明の理』だ」という文章を作る事ができます。
このように、「自明の理」には、議論の余地なく、すでに分かり切っている当たり前の事という意味があります。
「自明の理」の英語
「自明の理」という言葉を英語にするとどのような表現になるでしょうか。
「自明の理」を英語にすると、“truism”(ツルーイズム)になります。
“truism”には「真実」や「分かり切った事」「自明の理」という意味があります。
さらに“self-evident truth”(セルフエビデントツルース)という言い回しでも「自明の理」という言葉を表現する事ができます。
“self-evident”には「自明の」という意味があり、“truth”には「真実」という意味があります。
このように「自明の理」という言葉は、英語にする事ができます。
英語を使う機会がある時のため、これらの英語を覚えておきましょう。
「自明の理」の類語
「自明の理」の類語や類義表現を紹介します。
「自明の理」と似た意味の言葉を知る事で、「自明の理」を他の言葉に言い換えられるようになります。
ボキャブラリーが増えるため、コミュニケーション能力が高くなるかもしれません。
- 「事理明白」【じりめいはく】
- 「分かり切った」【わかりきった】
- 「火を見るより明らか」【ひをみるよりあきらか】
- 「歴然」【れきぜん】
「事理明白」【じりめいはく】
「事理明白」という四文字熟語があります。
「事理明白」は、「物事や筋道がはっきりしている事」という意味があります。
「事理」には「物事の道理や筋道」という意味があり、「明白」という言葉には「分かりやすくハッキリした様子」という意味があります。
- 「事理明白」【じりめいはく】
- 「分かり切った」【わかりきった】
- 「火を見るより明らか」【ひをみるよりあきらか】
- 「歴然」【れきぜん】
「分かり切った」【わかりきった】
「分かり切った」というフレーズは、日常的に良く使います。
「分かり切った問題」「分かり切った意見」などという言い回しをします。
「分かり切った」には、「すっかりわかっている」「当たり前の」という意味があります。
「分かり切った意見」という場合は、「当たり前の意見」という意味があり、「当たり前の事を言うな」という否定の意味も少し含まれています。
「火を見るより明らか」【ひをみるよりあきらか】
「火を見るより明らか」という言葉があります。
この言葉は、「書経」の「惟汝含レ徳、不レ惕二予一人一、予若レ観レ火」というフレーズが語源になっている言葉です。
「火を見るより明らか」には、「きわめて明らかで、疑う余地がない事」という意味があります。
例えば、「このような不景気の中で増税を発表したら、国民の不満を買う事は『火を見るより明らか』だ」という使い方をします。
「歴然」【れきぜん】
「歴然」は、「まぎれもなくはっきりしている様子」という意味があります。
例えば「歴然たる証拠がある」という場合は、「はっきりした証拠がある」という意味になります。
また恋愛の場面では家柄や出自が違う二人に対して、「歴然とした家格の違いがある」などと「歴然」という言葉が使われます。
「自明の理」の言葉の使い方
「自明の理」という言葉をどのような場面で使えばいいでしょうか。
「自明の理」には「分かり切った、当たり前の道理や論理」という意味があります。
そこで「分かり切っている」という事をアピールしたい時に、「自明の理」という言葉を使ってみましょう。
ビジネスシーンでは、分かり切った論理を物知り顔で発言する人がいるかもしれません。
このような人の意見は「その意見は『自明の理』です」と言って、切り捨てる事ができます。
また「彼女は可愛い」という意見を強調したい時、「彼女が可愛いのは『自明の理』だ」と表現してみましょう。
本来、その女性が可愛い事が社会的常識だったり、分かり切った当たり前の事であるはずがないのですが、「自明の理」を使った言い回しをする事で、可愛いと思っている気持ちを強調する事ができます。
「自明の理」を使った例文
「自明の理」という言葉を使った例文を紹介します。
様々な場面における「自明の理」を使った文章を見て、この言葉の使い方のコツを覚えましょう。
- 「自明の理」の例文1
- 「自明の理」の例文2
- 「自明の理」の例文3
「自明の理」の例文1
「私の彼氏が素敵なのは『自明の理』だと思う」
この例文に登場する女性は、自分の彼氏が素敵な事を、社会常識のように思っています。
それくらい彼氏の事が好きで、彼氏の素敵さに自信を持っているという事です。
このようにのろけ話に「自明の理」を使うと、本気で好きな事、またはラブラブ期で周囲が見えていない事などを伝える事ができます。
他にも「私の彼氏が世界一イケメンなのは『自明の理』なわけだが…」などと、思い切った論理を世界的な常識や大前提のように使い、彼の素敵さをアピールしたり、自分がどれほど彼の事が好きかを周囲に伝える事もできます。
ただし、「痛い」と思われる可能性がありますので、覚悟が必要です。
「自明の理」の例文2
「山の頂上に近づくほど、空気が薄くなるのは『自明の理』だ」
この場合の「自明の理」は「分かり切った事だ」という意味合いが強いでしょう。
山の頂上に近づけば、標高が上がっていきます。
地球上のすべての場所で、標高が上がるほど酸素量が薄くなるのは常識で、登山をする人からすれば分かり切った事ですから、「自明の理」という言葉を使います。
他にも「北国の冬が寒いのは『自明の理』だ」とか、「火に触れたらやけどするのは「自明の理」だ」など、本当に当たり前の事を、常識を知らない人に対して伝えたい時に「自明の理」という言葉はインパクトがあり、印象に残りやすいでしょう。
「自明の理」の例文3
「都内の通勤時間にタクシーを使うと、時間が読めないのは『自明の理』だ」
この例文は都会での常識を、「自明の理」という言葉で表現したものです。
通勤時間など道が混雑する時間には、タクシーよりも電車や地下鉄を使った方が時間を読みやすい事は、都会で暮らしている人の常識です。
このような事を知らない人に伝えたい時に、「自明の理」という言葉を使います。
「常識だ」よりも「自明の理だ」の方が、相手の反論の余地がないイメージがあります。
「自明の理」と「自然の理」の違い
「自明の理」と似言葉に「自然の理」という言葉があります。
この場合の「理」は「ことわり」と読むため、「自然の理」は「しぜんのことわり」と読みます。
「自然の理」には、「法則」や「物事の筋道」という意味があります。
例えば、春に種を植えて育てたら、秋には実がなって収穫できます。
このような当たり前の事を「自然の理」と言います。
一方で秋に種を植えて春に収穫するような行為は、特別な栽培法でない限り、「自然の理に何する」と言われてしまいます。
自然の摂理に従って、何かをするのがいちばんだと言いたい時などに、「自然の理」という言葉を使います。
「自明の理」には、「あれこれ説明する必要のない明白な道理」という意味があります。
「自然の理」とよく似ていますが、「自然」という言葉を前面に押し出しているかどうかが、二つの言葉の違いでしょう。
「自明の理」という言葉の意味や使い方を見てきました。
「自明の理」という言葉は、一見難しそうに見えるのですが、意味さえ分かってしまえば使いやすい分かりやすい言葉です。
「これは常識だよ」とか「分かり切った事だよ」と誰かに言いたい時に、「自明の理」という言葉を使うと、より説得力が増すのではないでしょうか。