「身を窶す」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
「身を窶す」という言葉を耳にしたことはあっても、「窶」という漢字を目にしたことのある方はすくないかもしれません。
なんて読むの?どういう言葉?聞いたことはあるけどよく知らない、という方のために、ここでは「身を窶す」についてご紹介していますので、ぜひ一読ください。
目次
- 「身を窶す」の意味とは?
- 「身を窶す」の読み方
- 「身を窶す」の英語
- 「身を窶す」の言葉の使い方
- 「身を窶す」の例文・短文
- 「身を窶す」を使うときの注意点
- 「身を窶す」の類語や類義表現
「身を窶す」の意味とは?
「身を窶す」には大きく分けてふたつの意味があり、ひとつ目は、やせ細ってしまうほど、ひとつの物事に集中しているさまを表し、ふたつ目は、落ちぶれること、身なりをみすぼらくすることを意味します。
ふたつ目の意味では、みすぼらしい身なりをする、というところから、出家をする、という意味で使われることもあります。
どちらの意味の場合にも、外見的に痩せたりやつれたりしているさまを表す、ということになります。
「身を窶す」の読み方
「身を窶す」は「み(を)やつ(す)」と読みます。
「窶」という漢字はほかに、「ク」「ロウ」「やつ-れる」「まず-しい」といった読みを持っています。
「ク」の読みで使われる場合には、「貧窶(ひんく)」のように、やつれること、また、まずしいことや、まずしいことによるくるしみを指します。
「ロウ」の読みで使われる場合には、塚やちいさな丘を指します。
「窶す」という言葉に、形相が変わるほど熱中することや、悩みのあまりやせること、目立たないようみすぼらしい装いをすること、出家すること、といった意味が含まれます。
「身を窶す」の英語
英語では、熱中すること、魅了されること、といった意味で使われる“enthrall”を使用し、“to be enthralled by”や、“absorb”を使って、“to be absorbed in”などが適しています。
また、みすぼらしい身なりに変える、は変装することを意味する、“disguise”を使って、“to be disguised as”のかたちで使うといいでしょう。
「身を窶す」の言葉の使い方
「身を窶す」は、先述した二つの意味で使われるほか、「憂き身を窶す」というかたちでもよく使われます。
「憂き身を窶す」とは、やせ細るほど熱中する、という「身を窶す」と同じような意味のほかに、非生産的なことに心血を注ぐことをいいます。
たとえば禁断の恋や賭け事に興じるときなどに使われ、「浮き身」と表現されることもあります。
「身を窶す」の例文・短文
それでは「身を窶す」が実際にどのように使われる言葉なのか、例文の中で見ておきましょう。
文章の中で見ておくことにより、文脈を読み解くことができるようになり、理解が深まります。
- 「身を窶す」の例文1
- 「身を窶す」の例文2
- 「身を窶す」の例文3
「身を窶す」の例文1
「母自身、七十をこえており、身を窶して父の介護をしている」
昨今よく聞かれるようになってしまった老老介護の実情を表す例文です。
ここでは母が、父の介護に気を揉み、心を砕き、心身ともに疲れ、体までやせ細ってきていることが分かります。
悔いのないように、と思う気もちも大切ですが、自分を労い、周囲にサポートを依頼することが必要なときもあるかもしれません。
「身を窶す」の例文2
「若いころビジネスで大きな勝負に出て時の人となったが、不祥事で身を窶してからはめっきり姿を見なくなった」
ここでは「身を窶す」は、落ちぶれること、という意味で使われています。
配偶者が病気になったのをきっかけに生活が破綻してしまったり、職や家を失うということが、予期せず起こりえます。
災害でなにかを失う、ということもあるかもしれません。
日頃からリスクマネージをしておくことで「身を窶す」ほどの状況を防げる場合もありそうです。
「身を窶す」の例文3
「天真爛漫で、いつも言動に驚かされる女性との恋に、身を窶す」
他人、それもとくに異性とは、思いがけない行動をとることが多々あります。
世慣れた人であれば、だいたいの予測がつくようになり、驚くような行動も受け入れられるだけの知識や度量があるかもしれませんが、若いうちの恋愛というのは驚きの連続です。
振り回されてやせ細ってしまったり、人相が変わるほど熱中してしまう、という人も、身の回りにいたのではないでしょうか。
また、この場合の「身を窶す」は、「憂き身を窶す」ととらえてもかまいません。
「身を窶す」を使うときの注意点
「身を窶す」には出家する、という意味もあることをすでに述べましたが、特殊な使い方ですので、「身を窶す」イコール出家する、と思ってしまうと意味が通らなくなります。
また、どの意味で使われる「身を窶す」なのかをきちんととらえ、身なりのことをいっているのか、翻弄されたり熱中しすぎることで顔の造形や体格に影響が出るほどであることをいっているのか、きちんとおさえておくことが必要です。
「身を窶す」の類語や類義表現
では最後に、「身を窶す」の類語表現を見ておきましょう。
ひとつの言葉を調べたときには、その類義語、もしくは対義語などをあわせて調べてみることで、着実に語彙力があがります。
- 「落ちぶれる」【おちぶれる】
- 「虜になる」【とりこになる】
「落ちぶれる」【おちぶれる】
みすぼらしい身なりになることを、別の言い方では「落ちぶれる」といいます。
ここで気をつけておきたいのは、「落ちぶれる」では、その本人が「落ちぶれた」ことをよしをしていないことです。
「身を窶す」には、自ら望んだ出家によりみすぼらしさや、自ら望んだ物事への熱中により、身なりまで気が回らなくなったみすぼらしさが含まれ、かならずしも本人が不幸とはいえない、というところが重要なポイントになります。
また、「落ちぶれる」はほかに、「堕落する」や「落魄する」「零落する」といった言い換えが可能です。
「虜になる」【とりこになる】
ある物事に心を奪われ、ほかのことが考えられないことを意味しています。
これは、やせ細るほど熱中する、という「身を窶す」の意味に似ている言葉となり、ほかに、「腐心する」や「耽溺する」が類語に当たります。
「身を窶す」とは、やせ細るほど熱中することや、みすぼらしい身なりになることなどを意味する言葉だとわかりました。
「身を窶す」ほどの恋、というと、傍目には心配になりますが、当人が幸せであればいいのかもしれません。
恋だけでなく、「身を窶す」ほどに熱中できることがあると、人生が輝いて見えそうですね。