「邯鄲の夢」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
人生には、色々なドラマが起こってきますが、その流れは人によって様々です。
悲しいことがあれば、楽しいこと、嬉しいこともあります。
できれば、いつも楽しいことや嬉しいばかりが続けばありがたいのですが、中々そうもいきません。
その一方で社会的にも名声を得る人々も数多くいますが、このような人達が、周りがうらやむほどに、経済的に裕福であったり、高い地位を得ているかもしれません。
しかし、その勢いも永遠ではありません。
何かのきっかけで奈落の底に突き落とされるようにこともありますが、このような時に当てはまる言葉が、「邯鄲の夢」という言葉ではないでしょうか?
ここでは、この「邯鄲の夢」について説明をしていきます。
目次
- 「邯鄲の夢」の意味とは?
- 「邯鄲の夢」の語源
- 「邯鄲の夢」の言葉の使い方
- 「邯鄲の夢」を使った例文・短文(解釈)
- 「邯鄲の夢」の英語と解釈
- 「邯鄲の夢」の類語や類義語
「邯鄲の夢」の意味とは?
「邯鄲の夢」とは「人の世の栄枯盛衰がはかない」という意味を持つ言葉です。
人の一生の中でも、栄る時期もあれば、廃れていく時期もあるようなことを言っています。
また、人のことを指していうだけでなく、社会的な動きや企業、団体などを相手に使うこともできる言葉です。
但し、「邯鄲の夢」という言葉を知っている人がどれほどいるかが難しいところではありますが。
- 「邯鄲の夢」の読み方
「邯鄲の夢」の読み方
「邯鄲の夢」は、「かんたんのゆめ」という読み方になりますが、「邯鄲」を「かんたん」と読むことができる人もかなり少ないのではと思いますので、ここでこの言葉をしっかりと言えるように、チェックしておきましょう。
「邯鄲の夢」の語源
「栄枯盛衰のはかなさ」を例えた「邯鄲の夢」ということわざは、中国の趙の都であった「邯鄲」から来ている言葉で、盧生(ろせい)という若者が、呂翁(りょおう)という道士から不思議な枕を借りて寝たことから来ています。
このことから、「邯鄲の夢」や「邯鄲の歩み」などの言い方もあります。
「邯鄲の夢」の言葉の使い方
「邯鄲の夢」は、現代における日常的な会話の中で使ったり、ビジネスの場面でも使うようなシーンはかなりありそうですが、比喩的な表現で、「成長と鈍化」をしている状態の人や企業を指して使えるかもしれません。
ただ、この言葉を使っても、意味を理解することができる人は、そんなに多くはないかもしれませんね。
「邯鄲の夢」を使った例文・短文(解釈)
では、ここから「邯鄲の夢」を使った例文を見ていくことにしましょう。
普段、めったに使われる表現ではありませんので、どのような場面で疲れるかを理解する意味で眺めてください。
- 「邯鄲の夢」の例文1
- 「邯鄲の夢」の例文2
- 「邯鄲の夢」の例文3
「邯鄲の夢」の例文1
「どんなに素晴らしい功績を残したつもりでいても、人の一生なんかは邯鄲の夢でしかありません」
社会人になって仕事に慣れてきて次に考えることは、大きな実績を作ることや、昇進・昇格ではないでしょうか?
誰もが認めるような大きな功績を作ることで、自分も満足するでしょうし、それで収入も増えていくのであれば、これほど嬉しいことはないでしょう。
しかし、数十年後、自分の人生を振り返ってみた時に、心に去来することは、満足感か虚しい気持ちかもしれません。
それが「邯鄲の夢」というのでしょうが、地位や名声が欲しいために、大事なことを忘れているような気がしてなりません。
「邯鄲の夢」の例文2
「栄華を極めたと思っていても、人生とは邯鄲の夢のようにはかなく終わってしまうものだ」
これも例文1と似たような内容ですが、栄華とは決して永遠なものではありません。
人生80年という長いように想える年月も、長い歴史からすると、ほんの一瞬のことなのです。
「おごれる平氏、久しからず」という言葉がありますが、日本の最高権力を手にした平氏でさえ哀れな末路を辿っています。
意義のある人生とは、必ずしも、「栄華」だけではないのでしょう。
「邯鄲の夢」の例文3
「一世を風靡しても、それは邯鄲の夢でしかない」
一世を風靡するとは、「その時代に大変広く知られ流行する」という意味ですが、その時代の中心となった事柄や人でも、時代が変わるにつれて、次第に風化していくものです。
人の記憶は、時間が経つとともに薄れていくことを考えると、はかない夢でしかないということです。
「邯鄲の夢」の英語と解釈
「邯鄲の夢」を英語で表現するなら、“vain dream of wealth and splendour”という表現が当てはまると思います。
“vain dream”とは「無駄の夢」、“wealth”は「富」、“splendour”は「栄華」という意味で、「富や栄華を手にできたとしても、それははかない夢でしかない」とおいう解釈です。
「邯鄲の夢」の類語や類義語
では、ここで「邯鄲の夢」と似ている類義語を見ていくことにしましょう。
- 「栄枯盛衰」【えいこせいすい】
- 「有為転変」【ういてんぺん】
- 「長夜の夢を覚ます」【ちょうやのゆめをさます】
「栄枯盛衰」【えいこせいすい】
「邯鄲の夢」の意味で出てきた「栄枯盛衰」ですが、これも「はかない夢」のことを指しています。
「栄えることと衰えること」、「栄えたり衰えたりを繰り返す人の世のはかなさ」の意味を持つ四字熟語です。
元々「栄枯」は、「草木が茂り盛んなことと枯れしぼむこと」を指していましたが、そこから転じて、「人や家などの繁栄や衰退」を言うようになったのです。
人の成功の後には、必ずと言っていいくらいに、「栄枯盛衰」がつきまとっているような感じがあります。
「有為転変」【ういてんぺん】
「ういてんぺん」と読む「有為転変」とは、「万物が常に変化して止やまないこと」という意味がありますが、「世の中が激しく移り変わって一定の状態ではないこと」を表現する場合に「有為転変」が使われます。
特に「有為転変」は、人生や人の生活を表す時に使うことが多く、「少し前まであれほど生き生きと走り回っていた彼が今では、全く元気を失ったことで有為転変を思い知ったのです」とおうような使い方ができます。
「長夜の夢を覚ます」【ちょうやのゆめをさます】
「長夜の夢を覚ます」という表現もありますが、「衝撃的な出来事が起こったりして、平和に慣れ切った人々を驚かす」という意味があることわざです。
これも幸福な時間は永遠ではないことを言っています。
「邯鄲の夢」という言葉は普段ではあまり使うことがない言葉ですが、私達の周りでは、このような人や企業が数多く存在しているのではないでしょうか?
何が幸せで、何が不幸なのかは、人の価値観で大きく変わってきますが、心の平穏だけは、いつも保ち続けたいと思います。