「栄枯盛衰」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
栄枯盛衰という表現は、歴史小説の中などでよく見掛けます。
歴史上の人物に対して使うことが多い言葉ですが、日常会話でも使うことができます。
目次
- 「栄枯盛衰」の意味とは?
- 「栄枯盛衰」を分解して解釈
- 「栄枯盛衰」の使い方
- 「栄枯盛衰」を使った例文と解釈
- 「栄枯盛衰」と「諸行無常」の違い
- 「栄枯盛衰」の類義語や置き換えられる表現
- 「栄枯盛衰」を英語にすると?
「栄枯盛衰」の意味とは?
栄枯盛衰とは、「栄えたり衰えたりすること」を表す四字熟語です。
同様の解釈として、「いい時もあれば悪い時もある」と多少砕いて使うこともあります。
同様の意味をもつ言葉や慣用句は結構ありますが、その中でも使われることが多い言葉だと言っていいでしょう。
ただし、現代的な表現ではないので、使われる場面はある程度限定されてしまいます。
- 「栄枯盛衰」の読み方
「栄枯盛衰」の読み方
「栄枯盛衰」は、「えいこせいすい」と読みます。
読み間違うとすれば、「盛衰」の部分だと思います。
「盛」は「じょう」とも読めるので、「じょうすい」と読んでしまうかも知れませんが、栄えている様子を盛況(せいきょう)と表現するように、この「栄枯盛衰」では「せい」と読んでください。
「栄枯盛衰」を分解して解釈
「栄枯」と「盛衰」は別の言葉で、それぞれによく似た意味があります。
似た意味をもつ言葉2つがくっ付いて、より強い意味の言葉となっています。
このような作りの言葉は他にも多く、ニ字の言葉ですが、「堅固」や「創造」がそれに当たります。
どちらもほとんど同じ意味の言葉(「堅」と「固」、「創」と「造」)がくっ付くことで、「栄枯盛衰」と同様により意味が強くなっています。
- 「栄枯」【えいこ】
- 「盛衰」【せいすい】
「栄枯」【えいこ】
「栄枯」は、草木が茂ること、そして、枯れることを表す言葉です。
草木はそのサイクルがあってこそなので、当たり前のこととも言うことができます。
ここから転じて、人間にはどうしようもできないということも表しています。
「盛衰」【せいすい】
「盛衰」もまた同様に、栄えることもあれば、衰えることもあるという意味の言葉となっています。
こちらも人間でどうにかできるレベルを超越した事柄を表しており、「栄枯」と解釈的にはほぼ一緒だと考えて構いません。
先の説明のように、似た言葉を2つ繋げることで、意味を強調している訳です。
「栄枯盛衰」の使い方
栄枯盛衰は、その昔から世の常だと言われています。
よって、世の中、「いい時もあれば悪い時もある」のが当たり前だという意味で使います。
既に起こってしまった(悪い)結果に対して、慰めの意味で使うことも多く、「悪いことばかりではない」と暗に意味しているところにも注目です。
「栄枯盛衰」を使った例文と解釈
栄枯盛衰を使った例文を挙げていきますが、どれも似たような形なのは否めません。
それだけ使えるケースが限定されている言葉だと考えてください。
ですが、歴史を対象にしたものから、現代の日常で使っているものまで、バラエティには富んでいます。
- 「どれだけ強かった武将でも、その家系が続くとは限らないところに栄枯盛衰を感じる」
- 「あれだけの規模の会社が倒産してしまうとは… 栄枯盛衰とはこのことかも知れない」
- 「栄枯盛衰は世の常だと言うけど、ずっと安定していい時が続くこともあるのでは?」
「どれだけ強かった武将でも、その家系が続くとは限らないところに栄枯盛衰を感じる」
この言葉は元々、平氏の栄華とその後の没落を描いた「平家物語」から生まれたと言われています。
どれだけ栄華を極めたとしても、延々とそれを誇れることはないという教えです。
「あれだけの規模の会社が倒産してしまうとは… 栄枯盛衰とはこのことかも知れない」
栄枯盛衰は、現代でもこのように使うことができる言葉です。
いい時もあれば〜という意味のある言葉なので、その悪い時がきてしまったということになりますが、もちろん悪い時だけでもないので、今後の再建を願って止みません。
「栄枯盛衰は世の常だと言うけど、ずっと安定していい時が続くこともあるのでは?」
これは、その通りです。
いい時があると、必ず悪いことがあるという訳ではありません。
この栄枯盛衰という言葉は、「例え悪いことがあっても、それも道理の1つだ」と解釈してください。
定期的にいい時と悪い時のサイクルがあるという意味ではありません。
「栄枯盛衰」と「諸行無常」の違い
「栄枯盛衰」という言葉の語源とも言える、平家物語の冒頭の一文に、この「諸行無常」という言葉が出てきます。
「諸行無常」は、「世の中は無常なものである」という意味の四字熟語です。
何が起ころうとも、それが世の中だということを表す為に使い、「栄枯盛衰」と似ている言葉ですが、「世の中で常に一定のものなどない」という意味合いが強く、「世の中はいい時と悪い時の繰り返し」だという「諸行無常」とは多少違う言葉です。
「栄枯盛衰」の類義語や置き換えられる表現
「栄枯盛衰」と同様の意味をもつ言葉をいくつか見ていきましょう。
上の「諸行無常」もその中の1つです。
- 「盛者必衰」【じょうしゃひっすい】
- 「生者必滅」【しょうじゃひつめつ】
「盛者必衰」【じょうしゃひっすい】
この言葉は、まず読み方が「じょうしゃひっすい」だという点に注目です。
「栄枯盛衰」が「えいこせいすい」と読むように、「せいじゃひっすい」と読んでしまいがちですが、それは誤りなので注意してください。
「どれだけ勢いがある者も、必ずそのうち衰える時が来る」という意味の言葉で、「栄枯盛衰」と似た意味となっていますが、違いはその「必ず衰える時が来る」という部分です。
「栄枯盛衰」は、「いいことや悪いことがあっても、それが世の中だ」という意味なので、栄えているものが必ず衰えるということではありません。
「生者必滅」【しょうじゃひつめつ】
「生きている者は、必ず滅する(死んでしまう)ものだ」という意味の言葉です。
「栄枯盛衰」の類義語となりますが、意味としては上の「盛者必衰」に近いと言っていいでしょう。
また、こちらも読み方には注意してください。
「生者」を「しょうじゃ」と発音するところがポイントとなっています。
ここまでに紹介した四字熟語は、どれも読み方を覚えるところから始めないといけないかも知れません。
「栄枯盛衰」を英語にすると?
栄枯盛衰は英語では、“the rise and fall”と表現します。
最初のtheを付けずに“rise and fall”でも構いませんが、この表記だと「(物事や人物などの)浮き沈み」という意味になり、栄枯盛衰まで強い表現とはなりません。
“the rise and fall”と表記することで、「栄枯盛衰」そのものの意味となります。
この固定の形で使うと覚えておいてください。
栄枯盛衰は現代であまり使う場面はない言葉ですが、詩的で堅い表現なことから、そのような文章中であれば、遭えて使ってもいいでしょう。
ただし、あまり頻繁に使う言葉でもないので、ここぞという一文にこそ使ってください。