「静寂」の意味とは?類語、対義語や英語、使い方や例文を紹介!
「夜の静寂」なんていうと、とてもひっそりとして空気の澄み渡った夜を思い浮かべますが、「静寂」とはどのような状態を表すことばなのでしょうか。
なんとなくはわかるが、はっきりと説明できないという方も、実は「静寂」という言葉を聞いたことがない、という方もぜひこの機会に一読ください。
目次
- 「静寂」の意味とは?
- 「静寂」の対義語
- 「静寂」の英語
- 「静寂」の使い方
- 「静寂」を使った例文・短文
- 「静寂」の類語や類義の表現
「静寂」の意味とは?
「静寂」は、「静まりかえっていること」、「物音もせずひっそりとしていること」、「しんとして物寂しいこと」、またそのようなさまを意味する言葉です。
静かで寂しい、と書くことからも、ただ音が聞こえない状態でなく、そこにひっそりとした寂しさや、翻ってなにかが潜んでいるような感覚も含んでいる言葉と認識されています。
- 「静寂」の読み方
「静寂」の読み方
一般的には「せいじゃく」と読まれますが、雅語的には「しじま」とも読まれています。
また、小説などの創作のなかでは、「静寂」と書いて「しずけさ」と読むなど、高度な技術が使われていますが、これは試験などでは誤読となりますので、あくまでも創作の世界で扱われる読み方、と考えるといいでしょう。
「静」はほかに、「ジョウ」「しず-か」「しず-まる」「しず-める」といった読み、「寂」はほかに、「さび」「さび-しい」「さび-れる」「さ-びる」「しず-か」といった読みを持ちます。
「静寂」の対義語
「静寂」の対義語にあたるのは、「喧騒」などです。
「喧騒」とは、人の声や物音がして騒がしいことを意味します。
「都会の喧騒」などとよくいわれますがこれは、都会では人がたくさんいて、話し声、笑い声、怒鳴り声などが混ざりあい、また人々の歩く音や車や電車の走る音などが響き渡り、渾然一体となって耳に届くさまを表しています。
ほかに「騒然」など、大勢の人がおりざわざわしている様子を表す語句が、「静寂」の対義語といえます。
「静寂」の英語
「静か」を意味する英単語は大きく分けて四つあり、“tranquil”、“quiet”、“still”、“silent”となります。
“tranquil”は、穏やかで落ち着いている、という意味で、自然環境にも心情にも使われます。
“quiet”は、“be quiet”(静かにして)の熟語でよく知られます。
無音状態というよりは、騒がないで、という程度の静かさを表します。
“still”は「まだ」という意味で覚えた方が多いと思いますが、じっと動かないでいる、そのために静かである、という意味を持ちます。
最後に“silent”ですが、こちらが「静寂」にもっとも近い英単語といえます。
“be silent”というと日本語では「静粛に」などと訳され、かなり厳しく無音に近い状態を求められます。
「静寂」の使い方
「静寂」は、自然の様子に使われることや、心の様子を表すのに使われることが多い言葉です。
たとえば、しんとした神社の境内や、森のなかの様子を表すのに「静寂」という言葉を使うと、そこにはなにか目に見えないものや、茂みに隠れているものなど、潜んでいるなにかまでを表すこともありますし、人物の心の「静寂」を表すときには、その心が実に落ち着いており、波立っていない様子を表すことができます。
「静寂」を使った例文・短文
では具体的に「静寂」がどのような場面で使われるのかを見ていきましょう。
silentというととても狭義に感じられてしまいますが、「静寂」に含まれる日本的な感覚は美しいものですので、その部分をうまく表現できるように使えると良いでしょう。
- 「静寂」の例文1
- 「静寂」の例文2
- 「静寂」の例文3
「静寂」の例文1
「星の瞬きまで聞こえてきそうなほどの静寂が二人を包んでいる」
「静寂」という言葉にさらに、「星の瞬きまで聞こえてきそうな」という描写が加えられることにより、どれほどの静けさなのかがより如実に伝わる表現になっています。
恋人と二人きりのキャンプなどでは、このような「静寂」がよい雰囲気づくりをしてくれるかもしれません。
この例文からは「静寂」に含まれるロマンチックな部分が表れています。
「静寂」の例文2
「ひたひたと、凍てつくような静寂が忍び寄ってくるのがわかりました」
「静寂」は、その無音状態から、死をも連想させる言葉ともいえます。
同じように夜空の見える光景でも、たとえば肝試しの日のおどろおどろしい「静寂」もある、ということです。
同じ「静寂」でも、場所や心境によってどのように感じられるかが変わってくるところが重要なポイントになりますので、「静寂」を広く捉えておくと、さまざまな場面で効果的に使うことができそうです。
「静寂」の例文3
「瞑想を繰り返し行ううち、わずかながら心のなかに海の底のような静寂が訪れるようになった」
ここではある種の穏やかさの境地として、「海の底のような静寂」という形で心の静けさを表現しています。
人の心の中は絶えず寄せては返す波のようでもあり、その波の楽さが激しいほど、感情豊かであるともいえますが、そういった表面的なさざなみのない状態に近づけば近づくほど、心の「静寂」を得ることができるのでしょう。
「静寂」の類語や類義の表現
最後に「静寂」の類語表現を見ておきましょう。
「静寂」というのとはすこし違うのだ、というときに、ほかの表現を知っておくと役に立つ場面が多々あります。
- 「沈黙」【ちんもく】
- 「深閑・森閑」【しんかん】
- 「閑静」【かんせい】
「沈黙」【ちんもく】
黙り込むこと、という意味で使われる「沈黙」は、「静寂」とくらべるともうすこし硬い印象を与えます。
音を出さないこと、口をきかないこと、という意味からも意図的な、強い意思を感じさせます。
「夜は深く、朝など二度と来ることはないのだ、というように沈黙している」
「深閑・森閑」【しんかん】
することがなく暇にしていること、のんきでいること、といった意味でも使われる「閑」という漢字ですが、ここでは、しずかなこと、のどかなこと、といった意味で使われています。
「深閑」と「森閑」どちらの文字の場合にも、物音もせず、ひっそりと静まりかえっているさま、という意味になります。
「静寂」が穏やかさや寂しさをはらんでいるのであれば、「深閑・森閑」は多少ののんきさを含んでいるといえるかもしれません。
「休日の店内は日頃の喧騒をわすれ、深閑としている」
「閑静」【かんせい】
物静かで落ち着いている様子を表す「閑静」ですが、これは目に耳に、知っておられる方も多い言葉ではないでしょうか。
郊外にあるベッドタウンの広告などではよく「閑静な住宅街です」などと書かれ、住宅を選ぶ上での一つの指標ともなっているようです。
このように「静寂」とくらべ、環境が穏やかであるさま、といった意味を多分に含んでいるのが「閑静」であるといえるでしょう。
「はじめは同居に反対していたが、閑静な町並みに惹かれ結果的に承諾した」
「静寂」は、静まりかえっていること、という意味の言葉でした。
また、前後の文脈から、どのような静けさを意味する言葉になるかを読み取っていくことが大事、ということもわかりましたね。
都会の喧騒に揉まれ、家に帰っても耳に残る、という方は、穏やかな「静寂」を求める時間を作りたいものです。