「的を得る」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
この「的を得る」は、誤用から誕生した言葉だというのが最大の特徴です。
その昔には、ただの誤用だったのが、今では辞書にも掲載されている場合もあるくらいです。
目次
- 「的を得る」の意味とは?
- 「的を得る」の読み方
- 「的を得る」の由来や語源
- 「的を得る」の言葉の使い方
- 「的を得る」を使った例文と解釈
- 「的を得る」を英語にすると?
- 「的を得る」の類義語や置き換えられる表現
「的を得る」の意味とは?
的を得るとは、「核心を突く」、「物事を正しく捉える」という意味で使う言葉です。
実際に使われる際には、「的を得ている」という形が多く、「核心を突いている」と意味になります。
そして、冒頭に誤用から生まれたと書きましたが、この言葉の元は、意味が全く同じ「的を射る」という言葉です。
これが間違った形で「的を得る」として広まってしまい、本来の言葉以上に使われるようになったという経緯があります。
「的を得る」の読み方
「的を得る」は、「まとをえる」と読みます。
元の言葉の「的を射る」は、「まとをいる」と読みますが、この読み方が「まとをえる」と間違えられることが多く、そこから「的を得る」という言葉が新たに誕生してしまいました。
その為、この「的を得る」は「的を射る」の誤用で、単なる間違いだという解釈が一般的でしたが、いつしかこちらの言葉の方が市民権を得てしまったと言えるほど、元の「的を射る」より使われるようになったことから、現在では「的を射る」と同様に使える言葉として認識されています。
「的を得る」の由来や語源
「的を得る」という言葉は、「的を射る」の誤用(読み方の間違い)から生まれた言葉なので、語源はその「的を射る」から考えないといけません。
その「的を射る」は、「的を射抜くほど正確だ」という由来からできた言葉です。
「的を射抜くほど」などと変化させて使うこともできますが、「的を得る」の方は、そう変化させてしまうとおかしくなってしまうので、あまり変化を付けられない言葉なのが違うところです。
「的を得る」の言葉の使い方
的を得るは、その通りだと感心した時や、解釈が素晴らしいと思った時に使う言葉です。
また、そうは考えていなかったが、話や説明によって、そちらの方が正しいと気付いた時にも、この言葉でそれを表現することがあります。
「的を得る」を使った例文と解釈
的を得るという言葉を、前項で説明したような色々な使い方で用いている例文です。
どれも実際に使うことが多い形なので、いずれかのケースと類似する例を見たり、聞いたことがある人も多いでしょう。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「あの人の発言は、いつも的を得ているので信用できる」
普段から核心を突くような発言が多い人たけに、この人の言うことなら信用できるという例文です。
的を得ている発言は、聞いている方にもそれだと分かることが多いと言えるでしょう。
例文2
「あのコンペで受けた指摘は確かに的を得ているので、少し考え直してみようと思う」
自分でもその通りだと思った指摘をされて、それを今後の改善課題にしようと思ったという例文です。
このように、人からの指摘が的を得ている(自分にとっては厳しい意見でも)と考えることができれば、今後の為に繋がることでしょう。
例文3
「それほど的を得ているとは思わなかったが、後で考えてみるとそうなのかも知れない」
その時にはそうとは思わなくても、後からそうだと気付いた例になります。
人間、痛いところを突かれると、その時には認めたくないと思うことも多いですが、後からでもそれが分かれば大したものです。
それができない(どうしても認めたくないと思ってしまう)ことで、後々損をすることも少なくないからです。
「的を得る」を英語にすると?
「的を得る」は、英語では“be to the point”と表現します。
このまま表記して、「的を得る」と訳せる表現です。
直訳では「要点を突いている」となり、日本語で「的を射抜く」様子と同様の解釈になります。
「的を得る」の類義語や置き換えられる表現
「的を得る」の一番の類義語は、もちろん元の「的を射る」ですが、その他の表現についても見ていきましょう。
これらもよく使われる表現です。
- 「正鵠を射る」【せいこくをいる】
- 「ツボを突く」【つぼをつく】
- 「本質を突く」【ほんしつをつく】
「正鵠を射る」【せいこくをいる】
「正鵠」とは、「的」を表現する言葉です。
この点から、「的を射る」と同等の言葉だということが分かります。
この言葉は今ではあまり使われることはありませんが、「的を射る」の昔の表現だと考えてください。
尚、「的を射る」に対する「的を得る」と同様に、「正鵠を得る」(せいこくをえる)と使うこともできます。
「ツボを突く」【つぼをつく】
人体の中でツボと呼ばれるポイントに刺激を受けると、何かしらの反応(効果)があることから、この言葉も「的を得る」と同じように使うことができます。
「ツボを突かれた」などと使われることが多く、「痛いところ(核心)を突かれた」という意味になります。
「本質を突く」【ほんしつをつく】
物事の本質を捉えることこそ、「的を得る」ことなので、この言葉も類義語、または置き換え表現だと考えていいでしょう。
「的を得る」や「的を射る」より使いやすい言葉ので、それらをより見掛ける機会が多いかも知れません。
「的を得る」は、今では誤用ではなく、同様の意味をもつ言葉として認識されています。
ですが、年配の人からは未だに誤用だと思われてしまうことがあるので、元となった「的を射る」の方も合わせて覚えておきましょう。