「莞爾」とは?意味・読み方・英語【使い方や例文】
莞爾という言葉は、名詞や動詞、形容詞、副詞などのいずれの品詞にも属しておらず、「置き字」と呼ばれている存在です。
目次
- 「莞爾」の意味とは?
- 「莞爾」の語源や由来
- 「莞爾」の使い方
- 「莞爾」を使った例文と解釈
- 「莞爾」の英語と解釈
- 「莞爾」の類義語や置き換えられる表現
「莞爾」の意味とは?
莞爾は、「にっこりと微笑む」様子を表す言葉です。
冒頭に書いたように、日本語の品詞のいずれにも該当せず、漢文における「助字」を現代文に適用させたもので、それだけでは使うことができない言葉です。
このように書くと、何やら難しい存在だと思ってしまうかも知れませんが、決してそのようなものでもなく、「特定の言葉と組み合わせることで使える」言葉だと考えてください。
この「莞爾」を使う時には、必ず後ろに「として」が付きます。
この言葉と組み合わせることで、初めて使えるようになると覚えてください。
- 「莞爾」の読み方
- 「莞爾」のような他の置き字
「莞爾」の読み方
「莞爾」は「かんじ」と発音します。
後ろに「として」を付けないと使うことができない言葉なので、それと合わせて「かんじとして」と覚えてしまっても構いません。
尚、元日本陸軍の軍人で、晩年はその体験から綴った書籍を著していた「石原莞爾」という人物の名前の読みも同じく「〜かんじ」ですが、ここで紹介している言葉の「莞爾」とは何も関係ありません。
(由来でもありません)
「莞爾」のような他の置き字
「莞爾」より使われることが多い置き字として、「於」(お)が挙げられます。
この使い方は「莞爾」とは違い、「於○○○」という形で、後に場所を表す名詞が付きます。
例として、「於東京ホテル」なら、「東京ホテルにおいて(行う)」という意味になり、このように必ず後ろに場所を付けて用いる置き字です。
「莞爾」の語源や由来
莞爾は、漢文では「助字」と言われる「置き字」で、このような言葉の語源は、その漢文からのことがほとんどです。
莞爾の語源と言われている漢文は、中国の「論語」で、この論語の中に「夫子莞爾而笑曰」という一節があります。
日本語にすると、「夫子莞爾として笑ひて曰く」となり、「夫子(先生や教養の高い人物のこと)がにっこりと微笑みを浮かべ、笑いながらおっしゃった」という意味になります。
「莞爾」の使い方
莞爾は、必ず「莞爾として」と使われる為、用いられ方が決まっています。
「莞爾」で既に「微笑む様子」を表現していますが、それに「笑う」を加え、「莞爾として笑う」で1つの表現だと覚えてください。
微笑みながら何かを行う様子に、「莞爾として○○した」などと使えそうなものですが、原則的にそのような使い方はせず、「莞爾として笑う(笑った)」の形のみで使われます。
「莞爾」を使った例文と解釈
莞爾は、使われ方がかなり限定されている言葉の為、例文も似たようなものばかりになってしまいますが、なるべく違った形で使っている例を挙げていきます。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「論文を提出したら、教授が莞爾として笑いながらそれを読んでいた」
なかなか面白い論文だと思って、そのような様子になったのだと推測されます。
ただ、この例文を見ても分かるように、かなり堅い表現になっています。
「論語」から引用された言葉なだけに、この言葉を使うと、どうしても堅くなってしまう点が否めず、日常会話ではもちろん、文章中にもそれほど使う機会はないでしょう。
例文2
「小さな子供が莞爾として笑った様子は、何物にも代え難い宝だ」
無邪気な子供が微笑む様子を、この言葉で表現している例になります。
この「莞爾」は、このように小さな子供や、比較的年配の人のそのような様子を表現する時に使うことが多いと言えるでしょう。
例文3
「彼は莞爾として、少し間を空けてから笑い始めた」
使い方として、ギリギリのラインだと言える例文です。
「莞爾として」と「笑い」の間に他の文言を挟んでおり、本来はこのような使い方はしませんが、使おうと思えば、何とかこのようにも使えるという例です。
後ろを「笑い始めた」としているので、「莞爾」の使い方として一応成り立っていますが、この部分が「笑う」以外の行為だと、おかしい使い方になるので注意してください。
これは、応用例の1つだと言えるのと同時に、あまりよくない使い方だと解釈してください。
「莞爾」の英語と解釈
「莞爾」をそのまま英語で表現するのは不可能だと言えるでしょう。
それは、独特の「置き字」だということと、必ず笑う行為と結び付けて使わないといけない点から、英語にはそういった言葉がない為です。
そこで、「莞爾」が意味する「微笑みを浮かべて笑う」と解釈できる英語表現では、“innocently smile”と使うのがいいでしょう。
意味は「(他意のない)無邪気な笑い」となり、「莞爾として笑う」にかなり近いと言うことができます。
「莞爾」の類義語や置き換えられる表現
「莞爾」と似た意味で使える言葉や表現ですが、置き字という点は考えず、意味だけで挙げています。
そのまま後ろに「として」を付け、更に「笑う(笑った)」とまで使える言葉はさすがに皆無です。
- 「嫣然」【えんぜん】
- 「天真な」【てんしんな】
「嫣然」【えんぜん】
「〜と笑う」などと、後ろに「笑う(笑った)」と繋げて使うことが多い言葉です。
その点からも、「莞爾」に近いと言うことができ、意味も「にっこり微笑む」ことで、女性がその対象になります。
よって、男性に対しては使うことができないので、その点には注意してください。
尚、同じ読みで「艶然」という言葉もあり、こちらは「色っぽい女性が微笑む」、「色っぽい微笑み方」という意味で、同じく女性に対してのみ使うことができます。
「天真な」【てんしんな】
「天真な様子で」と使うことが多く、「無邪気で他意のない」様子を表現する言葉です。
この後に「笑う(笑った)」と付け加えれば、莞爾とよく似た意味で使うことができるでしょう。
ただし、年配に人に対して使える表現ではないので、対象は小さな子供にほぼ限られてしまいます。
「無邪気」と表現できる年齢までだと考えてください。
どちらも対象が「莞爾」と比較して限定されている為、置き換えにそのまま使うことはできませんが、覚えておくと知識の幅が広がるのは間違いありません。
ここまでの内容から、莞爾という言葉は、かなり特殊だということが分かります。
その為、実際に使うことはないかも知れませんが、このような言葉もあるということだけでも覚えておきましょう。