「業を煮やす」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
普段日常でさり気無く使ってしまう慣用句ですが、ふと思い返してみると、その語源や正しい使い方など、知らないことも多いのではないでしょうか?この記事では「業を煮やす」という慣用句について詳しくご紹介していきます。
目次
- 「業を煮やす」の意味とは?
- 「業を煮やす」を分解して解釈
- 「業を煮やす」の使い方
- 「業を煮やす」を使った例文・短文(解釈)
- 「業を煮やす」の英語と解釈
- 「業を煮やす」の類語や類義表現
「業を煮やす」の意味とは?
まずは「業を煮やす」という慣用句の意味についてご紹介します。
意味は、「思うようにならず、苛立ち腹を立てる」、という意味があります。
- 「業を煮やす」の読み方
「業を煮やす」の読み方
「業を煮やす」の読み方は、「ごうをにやす」です。
「業」は「ギョウ」と読むことも出来ますが、この場合は仏教用語の業であるため、読み方は「ゴウ」となります。
「ぎょうをにやす」等と読んでしまわない様に注意しましょう。
「業を煮やす」を分解して解釈
「業を煮やす」という言葉の意味をざっくりと理解していただいた上で、次に単語ごとに分解してその意味と語源について深く迫りたいと思います。
- 「業」
- 「煮やす」
「業」
「業」とは、仏教用語で、人間の行いや、所作、意志による心身の活動、また人間に担われた運命をも言い表します。
別名「カルマ Karma」とも言います。
今回ご紹介している「業を煮やす」という慣用句では、人の心や感情について言い表しています。
「煮やす」
「煮やす」には二つの意味があります。
まず一つ目は、水や料理を煮たり沸かしたりする意味。
そして二つ目には、人の感情を煮る、つまり怒りの気持ちなどを激しくする、という意味があります。
「業を煮やす」という慣用句においては、「煮やす」とは二つ目の感情に関わる意味合いで用いられています。
「業を煮やす」の使い方
「業を煮やす」は一つの表現方法として、慣用句として使われています。
文章に適宜あわせて、「煮やす」という動詞を活用させて用います。
たとえば、過去形であれば「業を煮やした」、誰かが腹を立てている様子を表すならば「業を煮やしている様」、など多様に使うことが出来ます。
「業を煮やす」を使った例文・短文(解釈)
それでは、実際に「業を煮やす」を使った例文を用いて、どのようにこの慣用句が使われているのか詳しく見ていきましょう。
- 「業を煮やす」の例文1
- 「業を煮やす」の例文2
「業を煮やす」の例文1
「部下のぞんざいな仕事ぶりに、私は業を煮やした」
上司の立場からみた例文です。
部下の仕事ぶりが自分の期待を下回り、怒りを抱いている様子が伺えます。
「業を煮やす」に含まれる「思うようにいかない」という意味合いが強く現れている例文ですね。
期待する仕事の仕方・仕事量が得られないために、上司は怒りを表しています。
一方、期待する働きをしてくれない上司に対し、部下が業を煮やす、といったように逆のパターンで使用することも可能ですね。
「業を煮やす」の例文2
「マリコは交際相手の煮え切らない態度に業を煮やし、別れを決意した」このマリコという女性はある男性と交際していますが、どうやらこの男性はマリコとの交際に対してあまり乗り気ではないことが彼女の発言から伺えます。
二人の交際に関する、彼のはっきりとしない曖昧な態度に対し、女性は以前から不審に思っていたのかもしれません。
終に痺れを切らした女性が彼との別れを決意したことがわかります。
「業を煮やす」の英語と解釈
さて、英語で「業を煮やす」と表現する場合には、どのような言い回しがあるのでしょうか?日本語特有の言い回しですので、英語で表現する際には意味をシンプルに捉えなおすと考えやすいでしょう。
たとえば「怒る」という点に注目すると、英語ではイライラするという意味である“get/be irritated”、あるいは“become/get frustrated”といった表現方法があります。
怒りの度合いをより激しく表現する場合には、“Loose one´s temper”という表現も可能です。
直訳すると、「平静さを失う」という意味になるので、カッと頭に血が上るように怒る様を表すことが出来ます。
「業を煮やす」の類語や類義表現
次に、「業を煮やす」の類語表現について見ていきましょう。
似たような他の言い回しを知っておくことで、語彙力や表現力が増えるので、一つでも知っておくと便利でしょう。
- 「業を沸かす」
- 「腹が煮える」
- 「むくりを煮やす」
「業を沸かす」
「ごうをわかす」と読みます。
「業を煮やす」とほとんど同じ表現方法を用いていますね。
「業」は先ほどご紹介した、仏教用語の「業」と同じで、人の心の動きを表しています。
「沸かす」は「煮やす」と同義語で、怒りの感情を沸き立たせる、という意味合いがあります。
「業を煮やす」とセットで覚えておいて損はない、非常に便利な言い回しです。
「腹が煮える」
「はらがにえる」と読みます。
こちらも非常にポピュラーな言い回しなので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
腹の中が煮えくり返るほど、激しく怒り狂っている様を表す表現です。
憤りの強さがひしひしと伝わってくる表現ですね。
同じ表現方法ですが、「腹が煮えくり返る」といった慣用句も有名ですね。
「むくりを煮やす」
「むくりをにやす」と読みます。
こちらは普段目にすることは滅多にない表現方法ではないでしょうか。
江戸時代の文献にも現れる非常に古い言い回しです。
「煮やす」という動詞は、「業を煮やす」と同様に、怒りの感情を激しくさせるという意味合いで用いられています。
「むくり」とは、動詞「むくる」の連用形で、腹を立てる、という意味を持ちます。
怒りの表現が重なっているので、より一層腹を立てている様子が伺えますね。
以上、「業を煮やす」は、自分の思う通りに物事がいかずに腹を立てる、という意味でした。
仏教用語であり、人の心を表す「業」が特徴的に使われた表現方法ですが、その他にも、「業を沸かす」など様々な類語がありましたね。
普段何気なく使ってしまう慣用句ですが、正しい意味や語源を知っておくことで、より正しい文脈で使うことが出来ます。
是非参考にしていただければ幸いです。