「取らぬ狸の皮算用」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
取らぬ狸の皮算用は、ことわざの1つです。
日常生活中でもそれなりに使う機会があるので、誰でも何度か聞いたことがあるでしょう。
目次
- 「取らぬ狸の皮算用」の意味とは?
- 「取らぬ狸の皮算用」の語源や由来
- 「取らぬ狸の皮算用」の使い方
- 「取らぬ狸の皮算用」を使った例文と解釈
- 「取らぬ狸の皮算用」の対義表現
- 「取らぬ狸の皮算用」の類義表現
- 「取らぬ狸の皮算用」を英語にすると?
「取らぬ狸の皮算用」の意味とは?
取らぬ狸の皮算用とは、まだ手に入っていないものを期待して、それによる恩恵の計算を始めてしまうことです。
気が早過ぎると言わざるを得ない行為だと言えるでしょう。
その対象は、ほぼ確実にこれから手に入ると分かっているものから、全く未定な場合までの全てを含みます。
どちらにせよ、まだ手に入っていないものを完全にあてにしてしまっているという状態を表します。
- 「取らぬ狸の皮算用」の読み方
「取らぬ狸の皮算用」の読み方
「取らぬ狸の皮算用」は、「とらぬたぬきのかわざんよう」と読みます。
難しいのは「皮算用」の部分ですが、一度覚えてしまえば何ということはないでしょう。
尚、この「皮算用」だけで、「取らぬ狸の皮算用」を指して使う場合も多いです。
それは、「皮算用」という独立した言葉は特に存在せず、このことわざの中から引用して使っているからです。
「取らぬ狸の皮算用」の語源や由来
取らぬ狸の皮算用ということわざは、「まだ獲物として捕った訳ではない狸の皮をいくらで売れるかと考えてしまう」ことが由来です。
獲物が狸の皮なので、「捕らぬ」と記述するのが正しいように思えますが、簡単に表現する為に「取らぬ」の方が使われるようになりました。
今ではこの「取らぬ狸の皮算用」で定着していますが、「捕らぬ狸の皮算用」と表記しても間違いではありません。
「取らぬ狸の皮算用」の使い方
取らぬ狸の皮算用は、ことわざにしては使い勝手がよいと言っていいでしょう。
それは、このことわざが使えるシチュエーションが実社会において多いからに他なりません。
多少は使った相手を揶揄する意味が込められていますが、それほどの度合いでもなく、冗談めかしくなら目上の人に対しても使えないことはありません。
「取らぬ狸の皮算用」を使った例文と解釈
取らぬ狸の皮算用ということわざを使える場面は思ったより多く、例文も色々なものが挙げられます。
このような時にこそ使うことわざだということが分かるでしょう。
- 「あてにしていたボーナスがほとんどカットになってしまった。取らぬ狸の皮算用とはこのことだ」
- 「当たると思っていた堅い馬券が外れてしまった。当たった後の予定まで考えていたのに、完全に取らぬ狸の皮算用だ」
- 「そんな無理な計画は、取らぬ狸の皮算用になるに決まっている」
「あてにしていたボーナスがほとんどカットになってしまった。取らぬ狸の皮算用とはこのことだ」
取らぬ狸の皮算用は、このような時に使うことが一番多いと言えるでしょう。
あてにしていたものが手に入らなくなった時に、この例文のように「取らぬ狸の皮算用だった」と表現します。
「当たると思っていた堅い馬券が外れてしまった。当たった後の予定まで考えていたのに、完全に取らぬ狸の皮算用だ」
このように、ギャンブルなどで期待していたものが外れてしまったという時にも使えることわざです。
世の中、なかなか期待していた通りの結果にはならないものです。
「そんな無理な計画は、取らぬ狸の皮算用になるに決まっている」
最初から結果が期待できない時に、予めこのことわざを使ってそれを表現している例になります。
こういった使い方をされることも結構多く、このことからも、使い勝手のよさが分かります。
「取らぬ狸の皮算用」の対義表現
取らぬ狸の皮算用とは全く逆に、「願った以上の幸運な結果を得られた」という意味で使うことわざをいくつか挙げていきます。
これらも実用性の高いことわざだと言えるでしょう。
- 「棚から牡丹餅」【たなからぼたもち】
- 「濡れてに粟」【ぬれてにあわ】
「棚から牡丹餅」【たなからぼたもち】
子供には手が届かない棚の上に置いてあった牡丹餅を食べたいと思って下から眺めていたら、偶然それが落ちてきてその子供の口に入ったという語源のあることわざです。
(諸説あります)
略して「棚ぼた」と表現されることも多く、この表現は若者の間でもよく使われています。
「濡れてに粟」【ぬれてにあわ】
濡れた手で粟(あわ)を掴もうとすると、粟の粒が手の甲などにもくっ付いてくるので、思っていたより多く捕ることができることが語源です。
この語源の通り、「期待していたより大きな成果を得られた」という時に使うことわざです。
注意として、上の「棚から牡丹餅」もそうですが、これらは「全く(何も)期待していなかった場合の突然の利益」に対して使うのは誤用です。
しかし、実際にはそのような使われ方も多いので、完全な誤用だとも言い切れない部分もあります。
「取らぬ狸の皮算用」の類義表現
取らぬ狸の皮算用を似た意味のことわざで置き換えてみます。
あまり聞かないものが多いですが、使い方もほとんど一緒です。
- 「飛ぶ鳥の献立」【とぶとりのこんだて】
- 「穴の狢を値段する」【あなのむじなをねだんする】
「飛ぶ鳥の献立」【とぶとりのこんだて】
空を飛んでいる鳥を見て、それを撃ち落した後にどう料理するか献立を考えることが語源です。
まだ捕ってもいない獲物を扱っていることからも、「取らぬ狸の皮算用」とほぼ一緒の意味だということが分かるでしょう。
「穴の狢を値段する」【あなのむじなをねだんする】
狢(むじな)とは、狸や穴熊などを表す言葉で、そのような動物が隠れていると思われる穴を発見しただけで、もうそれらを捕まえた後に売って得られるお金を想像している姿が語源となっています。
これもまた、「取らぬ狸の皮算用」とよく似ていることわざです。
「取らぬ狸の皮算用」を英語にすると?
「取らぬ狸の皮算用」や、それとよく似た意味で前述した「飛ぶ鳥の献立」などと同様の意味をもつことわざ表現は、英語にも2つあります。
1つは“never spend your money before you have it”で、「お金が入らない前に遣うな」と訳します。
例えすぐに入る予定があったとしても、実際に入る前から(その予定の日に支払う約束で)遣ってしまうと、もし入らなかった時には大変なことになってしまいます。
そして、もう1つ“don’t count your chickens before they hatch”という表現があり、「孵る前から雛(を売って得られる利益)の勘定をするな」という意味です。
それだけの卵が実際にそこにあっても、全てが無事に孵化するとは限りません。
共に「取らぬ狸の皮算用」の意味と大変よく似ているので、英語にするならどちらを選んでも構いません。
取らぬ狸の皮算用をしてしまうことは珍しくなく、むしろ人間らしいと言っていいでしょう。
その為、それなりに使われることわざなので、是非覚えておいてください。