「後塵を拝す」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「後塵を拝す」という言葉は、日常的にカジュアルに使う言葉ではありませんので、すぐに意味が分かる人は多くないでしょう。
ここでは、そんな「後塵を拝す」という言葉について、意味、読み方、使い方、英語、類語などを詳しく解説していきます。
目次
- 「後塵を拝す」の意味とは?
- 「後塵を拝す」を分解して解釈
- 「後塵を拝す」の言葉の使い方
- 「後塵を拝す」を使った例文・短文(解釈)
- 「後塵を拝す」の英語
- 「後塵を拝す」の似た意味・類語や言い換え
「後塵を拝す」の意味とは?
「後塵を拝す」という言葉には、地位や権力のある人のことを羨ましく思う、偉い人や権力のある人に従う、こびへつらう、ご機嫌取りをする、という意味があります。
その他にも、他人に先を越される、他人から後れをとる、他人に負ける、他人に優位に立たれる、といった意味があり、競争で負けることや、劣勢になることを表現する時に使われます。
競争社会といわれる昨今では、この意味合いで使われることの方が多いといえるでしょう。
- 「後塵を拝す」の読み方
「後塵を拝す」の読み方
「後塵を拝す」は、「こうじんをはいす」と読みます。
「後塵」は「ごじん」ではなく「こうじん」と読みますので間違えないように注意が必要です。
「後塵を拝す」を分解して解釈
「後塵を拝す」という言葉を、「後塵」と「拝す」に分けて、それぞれの意味を詳しく解説します。
難しい言葉も、分解して解釈をすると、理解しやすくなるものです。
- 「後塵」
- 「拝す」
「後塵」
「後塵」とは、人や車馬が通り過ぎた後に立つ土埃ことをいいます。
「塵(ちり)」は、埃などの細かな粒子、細かなごみ、価値のない物、という意味を持つ言葉で、「塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる)」という慣用句があります。
これは、小さなものでも積み重なれば大きなものになることから、どんなに小さな努力でも継続することで大きな成果を出すことができる、というポジティブな意味でも使われます。
「拝す」
「拝す」には、頭を深く下げて礼をする、拝む、拝舞をする、という意味があります。
「後塵を拝する」は、人や馬車が通り過ぎた後に立つ土埃を拝むということになるのです。
又、「拝す」は、「見る」、「受ける」の謙譲語でもあり、「拝見する」、「拝受する」のように使われます。
「後塵を拝す」の言葉の使い方
身分の高い人が乗った車馬が通り過ぎた後、その土埃りを浴びながら見送るということが語源になっているといわれています。
それが転じて、他人に先を越される、他人から後れをとる、負ける、といった意味合いも持つようになりました。
「後塵を拝す」という言葉が、地位や権力のある人を羨ましく思うという意味合いで使われる場合、羨ましいが転じて嫉妬するといった感情が含まれていることもありますので注意しましょう。
「後塵を拝す」を使った例文・短文(解釈)
「後塵を拝す」の使い方は、例文を見ると一層理解しやすくなりますので、代表的な使い方が分かる例を紹介します。
- 例文1
- 例文2
例文1
部下の一人が会社の業績に大きく貢献したことで、異例の出世を果たしました。
もともと努力家で優秀な部下でしたが、まさか彼の後塵を拝することになるとは思ってもみませんでした。
(立場が逆転して、部下だった彼の下で働くことになるとは思ってもみませんでした。)
例文2
陸上競技を始めてというもの、一度たりとも彼女の記録を越えることが出来ませんでした。
常に彼女の後塵を拝し続ける結果になり悔しい思いをしてきましたが、常に目標を持って競技と向き合うことができたので、今となっては彼女に感謝をしています。
(常に彼女よりも下の順位にしかなれず悔しい思いをしてきましたが)
例文3
社長の肝いりでスタートした新製品の開発が上手くいかず、市場が待ち望んでいた画期的な商品を発売するには至りませんでした。
その結果、この分野ではライバル企業の後塵を拝する形となってしまいました。
(ライバル企業に先を越される形となってしまいました。)
「後塵を拝す」の英語
「後塵を拝する」を英語に訳す場合には、play second fiddle toなどが使われます。
これは、直訳すると「第2バイオリンを弾く」という意味になります。
又、have fallen behindという表現を使うこともできます。
「後塵を拝す」の似た意味・類語や言い換え
「後塵を拝す」には、似た意味の言葉がいくつかありますが、代表的なものとしては「後手に回る」、「風下に立つ」、「引けを取る」などが挙げられます。
ここでは、それぞれの類義語について詳しく解説していきます。
- 「後手に回る」【ごてにまわる】
- 「風下に立つ」【かざしもにたつ】
- 「引けを取る」【ひけをとる】
「後手に回る」【ごてにまわる】
「後手に回る」という言葉は、
意味としては、相手に後れをとる、出遅れる、先を越される、追う立場になる、などの意味があり、相手に対して行動が遅れる、相手に先行される、という場合に使われる他に、予定に間に合わないという場合にも使われる言葉です。
「後手後手に回る(ごてごてにまわる)」というように「後手」を重ねてつかうこともあります。
「対応が後手に回ってしまった結果、思わぬトラブルを招くこととなってしまいました」のように使います。
「風下に立つ」【かざしもにたつ】
「風下に立つ」という言葉は、
相手に対して行動が遅れるという意味で使われ、相手に後れをとる、相手に先を越される、相手にリードを許す、相手に優位に立たれる、と言い換えることができます。
「当初はライバル他社の風下に立っていた当社でしたが、社員の頑張りにより、今では当社が業界をリードする立場になっています」のように使われます。
「引けを取る」【ひけをとる】
「引けを取る」という言葉は、
「後手に回る」や「風下に立つ」と同様に、相手に対して行動が遅れるといった意味合いで使われ、相手に後れをとる、相手に先行される、先手を取られる、負ける、と言い換えることができます。
この「引けを取る」という言葉には、能力などが相手よりも劣る様、といった意味もあり、この場合は、下回る、敵わない、足りない、劣る、という言葉に言い換えることができます。
「努力家という部分では、誰にも引けを取らない自信があります」のように使います。
「後塵を拝す」という言葉について詳しく解説してきました。
言葉の意味が理解できれば、決して使いづらい言葉ではありません。
日常会話には少し堅苦しい表現ですが、ビジネスシーンなどで活用してみてはいかがでしょうか。