「手綱を握る」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
手綱を握るという慣用句は、大人になると使うようになる表現だと言えるかも知れません。
その理由も含めて、意味や使い方、ルーツなどを詳しく説明していきます。
目次
- 「手綱を握る」の意味とは?
- 「手綱を握る」を分解して解釈
- 「手綱を握る」の使い方
- 「手綱を握る」を使った例文と解釈
- 「手綱を握る」を英語にすると?
- 「手綱を握る」の類義語や言い換えられる表現
「手綱を握る」の意味とは?
手綱を握るとは、「しっかりと制御する(言うことを聞かせる)」ことを表現する慣用句です。
そのような相手に対して使う言葉なので、基本的に使った方が立場(前後の文脈に応じた色々な意味で)が上ということになります。
そんな意味のある慣用句の為、大人になってから使うことになるという訳です。
学生のうちに使うことはあまりないでしょう。
- 「手綱を握る」の読み方
「手綱を握る」の読み方
「手綱を握る」は、「たづなをにぎる」と発音します。
「手綱」は馬に代表される跨って乗る動物を制御する為に取り付けられる持ち手のことで、これをしっかり握っておくことで、対象となる人を制御する、言うことを聞かせるという意味で使われます。
「手綱」を「てづな」と発音すると、間違いなので気を付けてください。
PCやスマホの日本語変換では、「てづな」でも同様の漢字に変換することが可能なことがありますが、「手綱」はこの慣用句以外でも「たづな」としか読みません。
「手綱を握る」を分解して解釈
「手綱を握る」という慣用句を2つに分けて、詳しく意味の解説を行います。
この2つの言葉がセットになっているからこそ、上で説明したような意味の慣用句として完成していると言っていいでしょう。
- 「手綱」【たづな】
- 「握る」【にぎる】
「手綱」【たづな】
「手綱」という言葉の説明は既に行ったので省きますが、これを付けられた動物は、それを通じて乗っている人からの指示を受け、コントロールされます。
特に競走馬では、手綱のどちらかを引けば「その方向に曲がれ」、手前に引けば「スピードを落とせ」、強く引けば「止まれ」、緩めれば「(多少)自由に走ってよい」という具合に、繊細なコントロールが可能です。
2語を合わせた慣用句として使われる場合も、この競走馬の例のように、使った人にほぼ完全にコントロールされる(されている)状態だと考えてください。
「握る」【にぎる】
「手綱」は「持つ」と言うこともありますが、よく使われる表現としては、「取る」か「握る」です。
特に、それによってコントロールするという意味にしたい場合には、「握る」が一番合っています。
その為、この意味の慣用句として完成するには、「握る」でないといけないのです。
「手綱を握る」の使い方
手綱を握るという慣用句を使うからには、そのような対象が居るということです。
そして、そういった対象が居ることを表現する時、更にはその本人の目の前でも使うことができる表現です。
この慣用句の対象になった人より、これを使った人の立場がそれだけ上(強い)だということが分かるでしょう。
「手綱を握る」を使った例文と解釈
手綱を握るという慣用句を、その対象について人に話す場合と、本人の前で(聞こえるように)使う場合の例文を挙げてみます。
共に、応用形も含んだ実用的な形です。
- 「ウチは女房に完全に手綱を握られているから…」
- 「彼の手綱をしっかりと握っておかないとダメだよ」
- 「俺が君の手綱を握ることになるかな」
「ウチは女房に完全に手綱を握られているから…」
世の旦那さんの多くは、このようなことを人によく言うものです。
これだけで、どのような夫婦なのかがすぐに分かるので、その人に同情してもらう為に使うことが多い表現です。
尚、この例文のうまい使い方として、断りたいお誘いに対して使うと、それならば仕方がないと思ってくれるかも知れません。
「彼の手綱をしっかりと握っておかないとダメだよ」
女性同士で話している時を想定した例文です。
(ふらふらとしがちな)彼をしっかりコントロールして、変なことをしないように見張っているようにと言っています。
一見、ありがたいアドバイスに見えますが、こんなことを言われるのは余計なお世話だと思われることもあるので、この例のように使えるかは相手との関係次第です。
「俺が君の手綱を握ることになるかな」
職場で上司に当たる人がこのような使い方をすることがあり、男女間で男性主導のカップルが使うこともある例です。
その相手に対して偉そうな態度を表現してしまうので、それなりの立場の違いがないと、このように本人の前では使うべきではありません。
「手綱を握る」を英語にすると?
「手綱を握る」は、英語では“hold the reins”、または“take over the reins”と表現します。
これらの表現で面白いのは、“reins”は、基本的な「手綱」という意味に加えて、「(何か、誰かを)制御する為のもの」という意味もあるところです。
よって、これらは完全に日本語の「手綱を握る」の英訳だと表現していいでしょう。
「手綱を握る」の類義語や言い換えられる表現
「手綱を握る」という慣用句と似た表現についてです。
「手綱」という言葉を使うものと、使わないものの2つを紹介します。
- 「手綱を絞る」【たづなをしぼる】
- 「手綱を緩める」【たづなをゆるめる】
- 「統括する」【とうかつする】
「手綱を絞る」【たづなをしぼる】
この表現は、その対象を「厳しくコントロールする」という意味で使います。
既にその手綱を握っている(状態だと公言している)上で使われることが多いですが、このようにだけ使っても意味は通ります。
語源は、馬の手綱を絞る(引く)とスピードを落とせることからで、「浪費癖のある旦那の手綱を絞る」などと使われます。
「手綱を緩める」【たづなをゆるめる】
上とは逆に、少しは(普段より)コントロールを緩めることを表します。
例として、久しぶりに会う友人と飲みに行くと行った旦那に対し、「今日くらいは手綱を緩めてあげよう」という使い方ができます。
こちらも、馬の手綱を緩めると、多少自由に走ってよいという指示になることからです。
「統括する」【とうかつする】
これは、「手綱を絞る」の意味となる表現です。
ビジネスで使う分にはいいですが、その他の場面で使うと堅くなるのと同時に、大分偉そうな言い方になってしまうので、使い所には注意してください。
元々は将軍や大将格の人間が、その配下に対して使った言葉で、それほどの立場の違いがないと使うべきではないでしょう。
手綱を握ると言った時点で、自動的にその対象より立場が上だということになる為、安易に使うべきではない表現だと言えるでしょう。
使う場合には、その相手のことも充分に考えた上でないと、(対象が居ない場所で使った場合でも)いつ本人の耳に入るか分からないので気を付けましょう。