「重い腰を上げる」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「重い腰を上げる」というと、いかにも消極的な様子をイメージします。
どの様な場面で使い、人に使っても失礼にならないのでしょうか。
「重い腰を上げる」の意味や使い方について紹介します。
目次
- 「重い腰を上げる」の意味とは?
- 「重い腰を上げる」を分解して解釈
- 「重い腰を上げる」の言葉の使い方
- 「重い腰を上げる」を使った例文・短文(解釈)
- 「重い腰を上げる」の英語
- 「重い腰を上げる」の似た意味・類語や言い換え
「重い腰を上げる」の意味とは?
- 「重い腰を上げる」の読み方と意味
「重い腰を上げる」の読み方と意味
「おもいこしをあげる」と読みます。
文字通り、腰が重くて中々立ち上がらなかった人がようやく立ち上がる様子を表しています。
「今迄中々行動を起こそうとしなかった人が、やっと行動を起こした」という意味になります。
この言葉は一般の人よりも、身分が高い人に対して使われることが多くなります。
社会的に力を持っている人は、自分が行動を起こすと様々な人に影響が及ぶことが分かっています。
その為に、自分が不利になる訳でなければ余計な行動を起こさない様にしているものです。
しかし何か問題が起きて、自分にも飛び火してきたり、自分が懇意にしている人が不利な立場に陥ってしまうと、さすがに黙っていられなくなります。
この時にやっと行動を起こして周囲を先導していく立場となることです。
「重い腰を上げる」を分解して解釈
- 「重い腰」
- 「上げる」
「重い腰」
ものごとに対してやる気が起きずに中々手を付けようとしない気持ちを表します。
腰は据わる時に軸となる部位であり、腰の下に付いている足を使わないと立ち上がって行動はできません。
いつまでも行動せずにやる気が見られないことを「腰が重い」と比喩表現を使ったのです。
「上げる」
こちらは座った姿勢から立ち上がることを意味します。
「重い腰」の後に就けることで、ようやくものごとにとりかかる状態を表します。
自然に動くのではなく、意思で身体を動かすことから「上がる」のではなく、他動詞として「上げる」を使うのです。
「重い腰を上げる」の言葉の使い方
- 理論的な人が行動をした時
- やる気がない人が行動を起こした時
- 出不精の人が出かけた時
- 付き合いが悪い人が飲み会に参加した時
理論的な人が行動をした時
人には「やってみなければ分らない」とすぐに行動に移すタイプと、まずは理論をしっかりと組み立てて確実に失敗しない方法を考えてから行動するタイプの人がいます。
後者の場合、現在の状況を把握する為に、他の人が失敗するのを見ながらデータを集めて検証しているのです。
そして「この方法ならばリスクが少なく成功できる」と確証した時に、やっと行動を起こすのです。
他の人達は既にチャレンジしてそこそこに成功したり失敗する中、最後の方に行動して大きな成功を収めることが多くなります。
この時に「あの人がやっと重い腰を上げた」という使い方をします。
やる気がない人が行動を起こした時
いつもやる気がなく行動が遅い人がいます。
何とかして楽をしようと思い、ギリギリになるまでものごとに手を付けようとしません。
しかしそれが仕事で締切がある場合には、やらないと自分の評価が下がってしまうでしょう。
そこで逆算してもう今始めないと間に合わないというタイミングまで待ち、やっと手を付けるのです。
この時に周囲の人はやる気のない人がやっと動いたのを見て「とうとう重い腰を上げた」と言うのです。
出不精の人が出かけた時
出不精の人はとにかく面倒くさがり屋で、着替えるのが面倒、電車に乗るのが面倒、今やパソコンやスマホがあれば大抵のことはできる時代なので出かけたくないと思うものです。
しかし世の中にはどうしても外出しないと済ませられない用事もあります。
免許更新の手続きや、パスポートの申請など、本人が出向かないとできないこともあります。
面倒臭くてもそのまま何もしないと運転免許証が無効になってしまったり、海外旅行に行けない時には「重い腰を上げて」出かける必要があり、この様な時に使う言葉です。
付き合いが悪い人が飲み会に参加した時
とにかく付き合いが悪く飲み会に誘っても絶対に来ない人がいます。
決して愛想が悪い訳ではなく仕事中も普通なのですが、飲み会だけはことごとく断るのです。
理由は「お酒が飲めない」「プライベートな時間を犠牲にしたくない」など様々で、最近では強制参加させる会社は少なくなっています。
しかしお世話になった先輩が転勤や退職をするとなると、さすがに出席しない訳にはいきません。
普段絶対に飲み会に出席しない人が「重い腰を上げて」参加すれば、皆も驚きながらも歓迎してくれるでしょう。
「重い腰を上げる」を使った例文・短文(解釈)
- 「重い腰を上げる」の例文1
- 「重い腰を上げる」の例文2
- 「重い腰を上げる」の例文3
「重い腰を上げる」の例文1
「彼はやっと重い腰を上げてその仕事に取り掛かった」
その人には何か仕事をやりたくない理由があったのでしょう。
周囲も気を揉んでいたところですが、社会人として正当な理由なく上司の命令を拒否することは規則違反になります。
個人的にやりたくない、面倒くさいというのは認められず、精一杯不満を表して最後まで手を付けずにいたのですが、諦めて着手し始めたのです。
「重い腰を上げる」の例文2
「会社は重い腰を上げてパワハラ対策に踏み切った」
従業員から何度もパワハラ被害に対する訴えがあったのに、会社側は世間体を気にして前例がないと中々対応してくれませんでした。
しかし最近では動画など証拠がすぐにネットに流出するので、被害者が強く訴えれば何らかの対策をしてくれる可能性もあるのです。
「重い腰を上げる」の例文3
「諸葛亮孔明は重い腰を上げて劉備軍に参加した」
有名な三国志のエピソードで、劉備玄徳は諸葛亮孔明の自宅を三度訪ねて行き、やっと会えました。
これが「三顧の礼」で、玄徳の熱意は諸葛亮の心を動かしついに重い腰を上げて出蘆します。
「重い腰を上げる」の英語
英語では“move someone's butt”と表現します。
海外では腰に当たる言葉はなく“back”(背中)“butt”(お尻)などを使います。
“I must move my butt and go out. ”(重い腰をあげて出掛けなきゃ)という感じです。
「重い腰を上げる」の似た意味・類語や言い換え
- 「一歩踏み出す」【いっぽふみだす】
- 「しぶしぶ始める」【しぶしぶはじめる】
- 6-3.「 神輿を上げる」【みこしをあげる】
「一歩踏み出す」【いっぽふみだす】
今迄ためらっていたことに対して何か行動を起こすことを意味します。
実際に歩くのではなく、何かに手を付けることの比喩表現です。
「しぶしぶ始める」【しぶしぶはじめる】
決して前向きではないのですが、仕方なく始める様子です。
気持的にはやりたくないと思う部分で「重い腰」と共通しています。
6-3.「 神輿を上げる」【みこしをあげる】
こちらは「重い腰」の引き合いに出される表現で、面倒なことに対してやっと行動するという意味です。
「輿=腰」とかけているウィットの利いた表現です。
「重い腰を上げる」までは大変ですが、いざ始めてみると意外にスムーズだったということがあります。
あまりムダなことで時間を引き延ばさない様に、テンポ良く片付けて、「いつも腰が重い」と思われない様にしましょう。