「一目置く」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
この「一目置く」は、人から言われると嬉しい言葉の1つです。
しかし、直接言われることはあまりなく、人づてに聞くことの方が多いでしょう。
目次
- 「一目置く」の意味とは?
- 「一目置く」を分解して解釈
- 「一目置く」の使い方
- 「一目置く」を使った例文と解釈
- 「一目置く」を英語にすると?
- 「一目置く」の類義語や置き換えられる表現
- 「一目置く」と同様に囲碁が語源の慣用句
「一目置く」の意味とは?
一目置くは、その相手が自分より(その分野において)優秀だということを認めて敬意を払う時に使う慣用句です。
その相手に対して「一目置いている」と使うことも多く、いわゆるライバル関係を表す表現ではなく、尊敬の念を込めた意味があります。
その為、自分がその対象だと(人づてにでも)分かった時には、素直に喜んでいいと言えるでしょう。
- 「一目置く」の読み方
- 「一目置く」の詳しい由来とは?
「一目置く」の読み方
「一目置く」は、「いちもくおく」と発音してください。
普通に考えると、「一目」は「ひとめ」と読んでしまうかも知れませんが、この「一目置く」は、囲碁が語源で作られた慣用句です。
よって、慣用句としては「いちもくおく」としか読みません。
「一目置く」の詳しい由来とは?
「一目置く」の語源が囲碁だということを書きましたが、その囲碁では相手と実力差があると、「置き石」と呼ばれるハンデを付けて対局することがあります。
この置き石は、実力差によって数を変えます。
1つの石ごとに、それを一目、二目(いちもく、にもく)と呼び、石を置かせてもらう方が実力が劣る下手(したて)となります。
つまり、「一目置く」という表現は、相手を自分より実力が上だと判断して、一目(ハンデを)置かせてもらっている状態だということです。
この「一目置く」のように、囲碁が語源の言葉や慣用句は他にもいくつか存在します。
それらについてはまとめて後述します。
「一目置く」を分解して解釈
一目置くを2つに分解して詳しい解釈を行ってみますが、ほとんど前述の由来の説明の通りです。
- 「一目」【ひとめ】
- 「置く」【おく】
「一目」【ひとめ】
前述の説明の通り、囲碁におけるハンデとなる「置き石」が一目(1石)だという意味です。
尚、この慣用句には、「一目もニ目も置く」という発展形と言える使い方があり、その場合は、相手が自分より更に格上だという表現になります。
「置く」【おく】
囲碁の置き石は、この「置く」と表現します。
ハンデをもらう時には、「○目置かせてもらいます」という使い方をするもので、そのまま慣用句でもこの表現で使われています。
「一目置く」の使い方
一目置くは、そのような相手に直接使うこともありますが、その人を知っている人との会話で使うことの方が多いでしょう。
直接対象の相手に対して使うと、妙にかしこまった表現になってしまい、言われた相手も恐縮してしまうからです。
「一目置く」を使った例文と解釈
一目置くを実際に使う際の例文をいくつか挙げていきます。
間接的にその対象を褒める(尊敬している)意味で使うことがほとんどなので、そのような形の実例です。
- 「このゲームには自信があるが、そんな俺でもあの人だけは一目置く存在だ」
- 「同じ段位ながら、独創的な棋風の○○棋士には一目置いている」
- 「この分野で貴方だけには一目置いている」
「このゲームには自信があるが、そんな俺でもあの人だけは一目置く存在だ」
一目置くの使い方として、基本中の基本とも言える例文です。
このように、誰かをその分野で自分より格上だと認める時にこそ使う表現です。
「同じ段位ながら、独創的な棋風の○○棋士には一目置いている」
一目置くの語源となった囲碁、または将棋において、その相手と段位は一緒でも、指し(打ち)方が自分より上だと認めている例です。
囲碁や将棋では、段位が実力(棋力)の目安になりますが、それだけではないところがそれらの競技の面白い部分です。
また、プロ棋士(囲碁、将棋とも)の段位は、「生涯最高棋力」を表している為、それぞれ最高の九段の棋士でも、今の実力がそこまであるとは限りません。
(原則的に降段することがないからです)
「この分野で貴方だけには一目置いている」
直接その相手に使っている例になりますが、このように、いかにもかしこまった表現になってしまうので、一目置くはあまりこのような使い方はしません。
「一目置く」を英語にすると?
「一目置」くを英語にする場合、同じように慣用句として使える表現の“take off my hat”が一番適当です。
“take off my hat”は、直訳すると、「帽子を脱いだ」となりますが、比喩表現で「脱帽だ」という意味になります。
この脱帽は、もちろんその相手への尊敬からの行為で、ここから「一目置く」と同様に使うことができます。
「一目置く」の類義語や置き換えられる表現
「一目置く」をいくつかの違う言葉や表現で置き換えてみます。
どれも意味だけでなく、使い方も一緒だと考えて構いません。
- 「脱帽だ」【だつぼうだ】
- 「舌を巻く」【したをまく】
「脱帽だ」【だつぼうだ】
英語にした例でも挙げた表現ですが、この「脱帽だ」という言葉は、一目置いている状態をそのまま表しています。
実際にはこちらの方が使いやすい表現だと言えるかも知れません。
使い方としては、「彼の腕前には脱帽だ」という形になります。
「舌を巻く」【したをまく】
こちらも、「一目置く」の置き換えとして適当な表現だと言えるでしょう。
あまりの凄さに舌がうまく回らず、巻きついた状態になってしまい、言葉も出ないという比喩からできた慣用句です。
「一目置く」と同様に囲碁が語源の慣用句
先に書いたように、「一目置く」と同じように囲碁が語源の言葉や慣用句です。
どれも、日常生活中で一度は聞いたことがあるでしょう。
- 「こみこみ」【こみこみ】
- 「捨て石」【すていし】
- 「当たりを付ける」【あたりをつける】
「こみこみ」【こみこみ】
会計の際によく聞く言葉ですが、この言葉は、実は2つの言葉が組み合わさった慣用句です。
最初の「こみ」は、「コミ」という囲碁での先手、後手間の有利、不利を調整する石の数のことです。
置き石とはまた別で、対局が終わった後に後手にその分をプラスして集計します。
(囲碁はそれだけ先手が有利なのです)
後の「こみ」は「込み」の意味で、「(何かしらの)調整分も含めて」という表現です。
「こみこみで○○円」と言うと、手数料や送料、税金分、必要経費などの全てを含めた上で○○円という意味で使っていると考えていいでしょう。
「捨て石」【すていし】
あまりいい言葉ではありませんが、主たる目的の為に犠牲にする何かのことを指す言葉です。
この「捨て石」の「石」は、囲碁で相手の進行を止める為に犠牲にする(相手に取らせる)石からきています。
囲碁の解説でも、そのまま「捨て石をした」と使われます。
「当たりを付ける」【あたりをつける】
「恐らくそこ(そこら辺り)だろう」という意味で使う慣用句ですが、この言葉もまた、囲碁の「アタリ」という行為からきている慣用句です。
囲碁でのアタリとは、次に相手の石を取る為に打つ石のことです。
この囲碁用語が「狙いを付けた」と解釈され、同様の意味の慣用句としても使われています。
その分野で、自分より格上の一目置くほどの存在が居るということは、まだまだ自分も上達できる(伸びしろがある)という意味でもあります。
この慣用句は、そのようなことを(その相手とは別の)人に伝える時に使ってください。