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「崩御」の意味・類語・対義語【使い方や例文】

「崩御」とは、「天皇・皇帝・国王・太皇太后・皇太后・皇后・君主等の最上位の身分の人が死亡したことを表す敬語」です。

「崩御」「意味・読み方・似た言葉・使い方・例文と解釈・英語・崩御と逝去の違い・崩と御の漢字の意味」などについて、詳しく説明していきます。

崩御

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「崩御」の意味・類語・対義語【使い方や例文】>


目次

  • 「崩御」の意味とは?
  • 「崩御」に似た言葉と意味
  • 「崩御」の言葉の使い方
  • 「崩御」を使った例文・短文(解釈)
  • 「崩御」の英語
  • 「崩御あらせられました」を一般人の死亡だと「逝去あらせられました」で使用可能?
  • 「崩御」の言葉を分解して解釈


「崩御」の意味とは?

「崩御」の意味とは?

「崩御」の意味は、「天皇・皇帝・国王・太皇太后・皇太后・皇后・君主等の最上位の身分の人が死亡したことを表す敬語」になります。

「崩御」という言葉は、日本においては「天皇陛下・皇后陛下の死亡(死去)」に対してしか基本的に使われることがない言葉です。

  • 「崩御」という言葉の語源・由来
  • 「崩御」の読み方

「崩御」という言葉の語源・由来

「崩御」は、古代中国の儒教の天子の至高性や君臣秩序が起源になっている言葉であり、四書五経の一つである「礼記」「曲礼下篇」「天子の死は崩(ほう)と曰ひ、諸侯は薨(こう)と曰ひ、大夫(たいふ)は卒(そつ)と曰ひ、士は不禄(ふろく)と曰ひ、庶人は死と曰ふ」と記載されています。

日本では今も天皇・皇后(平成天皇は生前退位したので上皇・皇太后も含む)の死去に対して「崩御」が用いられますが、現代日本では「天皇の死去のみ」にしか「崩御」を用いないマスメディア(新聞・テレビ)もあります。

中国では古代から儒教的な身分秩序を明らかにする意図で、「身分ごとに死亡・死去を意味する言葉の表現」を細かく分けていたのです。

「崩御」の読み方

「崩御」の読み方は、「ほうぎょ」になります。



「崩御」に似た言葉と意味

「崩御」に似た言葉と意味

「崩御」に似た言葉を紹介して、その意味を解説していきます。

  • 「薨御」
  • 「薨去」
  • 「卒去」

「薨御」

「崩御」に似た言葉として、「薨御(こうぎょ)」があります。

「薨御」という言葉の意味は、「親王・女院・摂政・関白・大臣などの死亡に対して用いる敬語」になります。

「薨御」は最上位の身分である「天皇・皇帝・国王・君主の死亡」には用いられず、それより一段身分が低い「親王・女院・摂政・関白・大臣などの死亡」に対して用いられる敬語になっています。

身分が高い人、高貴な人の死去を意味する「薨御」は、「崩御」に似ている言葉として解釈することができます。

「薨去」

「崩御」に似た言葉として、「薨去(こうきょ)」があります。

「薨去」という言葉の意味は、「皇族・親王・旧律令制度の位階で三位以上の人の死亡に対して用いる敬語」になります。

「薨去(こうきょ)」「薨逝(こうせい)」と言われることもありますが、「薨(こう)」という漢字には「身分の高い人・貴族が死ぬ」という意味合いがあります。

身分が高い皇族、高貴な人(高位の公卿・貴族)の死去を意味する「薨去」は、「崩御」に似ている言葉と言えるでしょう。

「卒去」

「崩御」に似た言葉として、「卒去(そっきょ・しゅっきょ)」があります。

「卒去」という言葉の意味は、「皇族の内の王・女王、旧律令制で位階が四位(正四位・従四位)・五位(正五位・従五位)以上の貴族の死亡に対する敬語」になります。

「卒去」「薨去」と同じく天皇・皇后と並ぶ最上位の身分ではないが、旧律令制で非常に高い位階を持っていた公卿(上級貴族)の死亡に対して使用される敬語になっています。

「卒去」という言葉は、非常に身分が高い皇族、高貴な人(高位の公卿・貴族)の死亡を意味しているので、「崩御」と似た言葉として考えることができるでしょう。

「崩御」の言葉の使い方

「崩御」の言葉の使い方

「崩御」の言葉の使い方は、日本国においては「最上位の特殊な身分である天皇陛下の死亡のみに対して用いられる敬語」あるいは「天皇陛下・皇后陛下の死亡に対して用いる敬語」なので、「天皇陛下・皇后陛下がお亡くなりになった時」だけに使うということになります。

「崩御」という言葉は、日本人に対しては「天皇陛下の死亡」あるいは「皇后陛下の死亡」以外では決して使われることのない特別な敬語です。

総理大臣であろうが日本一の資産家であろうが、「崩御」という言葉が使用できる人は日本では天皇・皇后以外には存在しません。

世界であれば、天皇・皇后でなくても「皇帝・国王・太皇太后・皇太后・皇后・君主等の最上位の身分の人の死亡」に対して「崩御」が使われることがあります。



「崩御」を使った例文・短文(解釈)

「崩御」を使った例文・短文(解釈)

「崩御」を使った例文・短文を紹介して、その意味を分かりやすく解釈していきます。

  • 例文1
  • 例文2
  • 例文3

例文1

昭和天皇崩御のニュースが駆け巡ると同時に、日本全国で娯楽・遊びのイベントが自粛されることになった。

この例文における「崩御」は、昭和という元号が終わることになった「昭和天皇の死去・死亡」のことを意味しています。

戦後日本で天皇陛下がお亡くなりになる出来事は、昭和天皇の崩御が初めてであったため、日本全国が昭和天皇崩御に際して服喪・娯楽自粛のムードに包まれることになりました。

例文2

天皇陛下が崩御するということは、日本の元号が変わることであり、天皇は歴史的に時間・時代をも支配する存在とされてきた。

この例文における「崩御」は、「天皇陛下がお亡くなりになること」を意味していて、「天皇の死去と元号の変更の歴史的な関係性」について分かりやすく説明しています。

古代中国から始まる「元号(げんごう)・御代(みよ)」というのは、「天子・君主の時間・時代に対する観念的な支配力」を象徴する言葉・制度であり、日本の天皇と元号もまた「天皇が時間・時代に対する支配力を有すること」を象徴しているのです。

例文3

知己である外国の君主の崩御に際して、天皇陛下は深い哀悼の意をお示しになられた。

この例文における「崩御」は、「外国の皇帝・国王などの死去・死亡」を意味しています。

日本の天皇陛下・皇后陛下・皇太子などの皇族は、英国王室やタイ王室をはじめとして、世界各国の王族と深い交流関係を築いています。

そのため、外国の君主・王族が崩御された時に、友人知人が亡くなったという深い悲しみの意思をお示しになられることが多いのです。

「崩御」の英語

「崩御」の英語

「崩御」の英語は、英語には特別な敬語はないので、死んだことを意味する“died”“death (of an emperor) pass away”などになります。

ただし、“death”の婉曲表現の単語である“demise”「崩御」の意味で用いられることがあります。

“demise of the crown”「皇位継承」の意味になります。

“The Emperor died in 18”(その皇帝・国王は1875年に崩御しました。)

“The emperor's demise. ”(天皇陛下が崩御した。)

「崩御あらせられました」を一般人の死亡だと「逝去あらせられました」で使用可能?

「崩御あらせられました」を一般人の死亡だと「逝去あらせられました」で使用可能?

天皇陛下の死亡(崩御)を報じるに当たって、「崩御あらせられました」という二重敬語が最高の尊敬語として使用されたことがあります。

しかし、一般的な言葉の使い方では二重敬語は推奨されませんから、「死去・死亡の敬語(身内・家族の死亡に対しては使われない言葉)」である「逝去(せいきょ)」を使う時には、「逝去あらせられました」といった使い方をすることはまずありません。

一般人の死亡・死去について丁寧に敬意を込めて言いたい場合であっても、「逝去あらせられました」ではなく「逝去されました」という言い方で十分な敬意を示せるのです。

「逝去」自体が敬語なので、「ご逝去されました」でも二重敬語になってしまって正しい使い方ではないのですが、現在では慣習的に「ご逝去されました」という言い方もよく使われてはいます。

「崩御」の言葉を分解して解釈

「崩御」の言葉を分解して解釈

「崩御」の言葉を「崩」「御」に分解して、それぞれの意味を分かりやすく解釈していきます。

  • 「崩」
  • 「御」

「崩」

「崩」という漢字は、一般的に「くずれること(崩れること)」を意味していますが、そこからの連想で「人が崩れて倒れること=人が死去すること」を意味するようになりました。

古代中国の儒教的な礼制をまとめた四書五経の「礼記」において、「天子の死は崩(ほう)と曰ひ、諸侯は薨(こう)と曰ひ、大夫は卒(そつ)と曰ひ、士は不禄(ふろく)と曰ひ、庶人は死と曰ふ」と記載されていることから、日本では「天皇の死」を意味しています。

「御」

「御」という漢字は、「おん・お・み・ご」などと読んで、相手に関することにつけて尊敬の意味を表すものになっています。

また「御」には「身分が高い人物・高貴な身分の貴族」といった意味合いもあります。

「崩御」という熟語においては特に、「御」「最高に身分が高い君主(天皇・皇帝・国王など)」を意味する漢字になっています。

icon まとめ

「崩御」という言葉について徹底的に解説しましたが、崩御には「天皇・皇帝・国王・太皇太后・皇太后・皇后・君主等の最上位の身分の人が死亡したことを表す敬語」「日本においては天皇陛下の死去のみ(あるいは天皇・皇后の死去のみ)を表す敬語」の意味があります。

崩御の類語・言い換え・似た言葉としては「薨御」「薨去」「卒去」などがあります。

「崩御」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。