「拙作」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「拙作」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
あまり聞き慣れない言葉、使ったことがないという人もいることでしょう。
それでは「拙作」とはどういう意味があり、どういう場面で使うのかなど詳しく解説しましたので一緒に見ていきましょう。

目次
- 「拙作」とは?
- 「拙作」の表現を使う心理や使う理由
- 「拙作」の使い方
- 「拙作」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「拙作」の類語や類義語・言い換え
- 「拙作」と「駄作」の違い
- 「拙作」の対義語
「拙作」とは?

「拙作」の言葉の意味としては、「出来栄えの悪い作品」ということになります。
そのような意味がありますので、作者が自分の作品を言う時に謙遜、へりくだって言う言葉なのです。
- 読み方
読み方
「拙作」と書いて「せっさく」と読みます。
「拙作」の表現を使う心理や使う理由

「拙作」という表現を使う心理、また理由はいくつか考えられます。
それでは見ていきましょう。
- 謙遜している
- 自信がない
- 本当に下手であると自覚している
謙遜している
自分の作品に対して「拙作でお恥ずかしい」など言いますが、本当には愛情を込めている、力作であると思っている場合でも人前では「拙作」と言うことがあります。
これはようするに大人のマナーと言いますか、謙遜しているのです。
ですから素晴らしい作品であっても人に言う時は「拙作」と言う作者の人は多いでしょう。
自信がない
「拙作」とは「拙い作品」と書きます。
「拙い」とは能力が劣っている、ふつつかといった意味を持つ言葉で、ビジネスシーンで使われる機会が多いでしょう。
本当にこれでいいのか、相手に気に入ってもらえるのか、酷評されるのではないかと、作品を作る人には常にそのような恐れのような気持ちもあります。
皆が皆、自信家ではないのですから当然の心理です。
自信がなくても人前に出さねばならない、そのような作品の時には「拙作で気に入っていただけるかわかりませんが」などと言う場合もあるでしょう。
本当に下手であると自覚している
「拙作」という言葉を使う心理として、一般的なマナーとして謙遜で使う場合、相手に気に入ってもらえるか自信がない場合があると先に述べました。
最後にもう一つ心理、理由をあげるとすれば、少々辛辣ではありますが「本当に拙作である」場合です。
つまり本当に下手、駄作である時は「これは失敗作です」といった意味で「拙作です」と使うこともあるでしょう。
しかし、本人が失敗、駄作、「拙作」だと思っていても、受け取る相手側からすれば気に入ることもあることはあります。
「拙作」の使い方

「拙作」という言葉の意味、使う心理、理由など理解できたでしょうか。
出来栄えの悪い作品という意味を持っており、作者が自分の作品に対して使う言葉と一般的にはなっています。
作者以外の人が「拙作」と使っても間違いではありませんが、そのような場合は「駄作」「失敗作」といった言葉を使うことの方が多いでしょう。
「拙作」は作者が自分の作品に対して使う言葉と覚えておく方がわかりやすいです。
例えば「愛息」という言葉があります。
これは「あいそく」と読み、意味「可愛がっている息子」となります。
意味だけ見れば自分の子に使ってもいいような気がしますが、一般的には他人のことを言う時に使います。
自分の息子のことを言う時は「愚息」(ぐそく)となります。
字を見てもらえればわかりますが「愚かな息子」となります。
本当に自分の息子を「愚か」だとは思っていなくても、へりくだってこう言うわけです。
「拙作」もそれと同じで、自分の作品をへりくだって言うだけの言葉であり、本来は素晴らしい作品であったり、本人も自信作であったりする場合も多いのです。
- 「拙作ですが、どうぞ受け取ってください」
「拙作ですが、どうぞ受け取ってください」
「拙作」の使い方の一例としてあげてみれば、誰かに自分の作品をプレゼントする時に「拙作ですが、どうぞ受け取ってください」などと言い添えたりします。
くだけた表現で言い換えれば「下手だけどあげる」という感じでしょうか。
「力作だからあげる」「自信作だからあげる」とは上から目線であったり押しつけがましい印象となりますので言う人は少ないでしょう。
しかし、本来であれば人にあげるならば、いい出来栄えのものでなければ失礼です。
似たような表現で「つまらないものですが」といってお土産やプレゼントを渡したりすることがありますが、日本人というのは控えめで、謙遜するところがあります。
本当はいい作品であってもへりくだってこのような言い方をするのです。
「拙作」を使った例文や短文など(意味を解釈)

「拙作」という言葉を使った例文をいくつか紹介しながら、言葉の意味の理解を深めていきましょう。
- 「拙作」を使った例文1
- 「拙作」を使った例文2
- 「拙作」を使った例文3
- 「拙作」を使った例文4
「拙作」を使った例文1
「拙作を購入していただきありがとうございました」
小説、作品など、自分が作ったものを買っていただいた時のお礼に使います。
メール、手紙などで伝える際は「拙作」と使いますと謙遜をしていて大人の表現ができていると感じます。
自信満々で「一生懸命作ったから大事にしてよ」的な言い方をする人もいます。
思い入れが強い、一生懸命作ったという気持ちはわかりますが、少々くどいと言いますか自己顕示欲が強い印象を与えてしまいます。
「拙作」と謙遜する方がスマートです。
「拙作」を使った例文2
「恥ずかしながら、拙作をお送りしましたので、率直な感想を聞かせていただけるとありがたいです」
自分の作品を誰かに批評して欲しい、感想、アドバイスが欲しい時などは相手の時間を使ってもらうことになります。
その為、よろしくお願いしますという気持ちを表すことがマナーです。
「作品」と言わずへりくだって「拙作」と使う方が好印象になります。
「拙作」を使った例文3
「デビュー間もない頃の拙作だけれど、深い思い入れがある」
自分が新人だった頃の作品というのは、荒削りであっても勢いがあるものです。
また出来栄えは悪くても「好き」という気持ち強いこともあるでしょう。
この場合は単純に「出来が悪い作品」という意味で使っています。
「拙作」を使った例文4
「このような拙作に賞をいただけるなんて、本当に光栄です」
自分の作品が何か受賞すると、挨拶などを求められるものです。
もちろん賞を獲っているいるわけですから「素晴らしい作品」であることは確かなのです。
しかし謙遜として「拙作」と言うのです。
似たような表現に「私のような若輩者が〜」などもあります。
自分で自分のことを「素晴らしい作品」「素晴らしい私」などは思っていても言う人は少ないでしょう。
それと同じで受賞するような素晴らしい出来栄えの作品であっても「拙作」という言葉を使うのです。
「拙作」の類語や類義語・言い換え

「拙作」の類語、似たような言葉をいくつか紹介しましょう。
- 「愚作」【ぐさく】
- 「駄作」【ださく】
- 「凡作」【ぼんさく】
「愚作」【ぐさく】
「愚作」は「ぐさく」と読み、意味は下手な作品、くだらない作品、つまらない作品となります。
「拙作」と同じく、自分の作品をへりくだって言う時に使う言葉です。
「駄作」【ださく】
「駄作」とは「ださく」と読み、意味は下手、くだらない、つまらない、取るに足らない作品となりますのでの場合「拙作」「愚作」と同じ意味です。
ただし「拙作」「愚作」の場合、基本的に自分の作品をへりくだって言う時に使う言葉であるのに対して「駄作」は他の作品、人の作品に使う言葉で一般的におもしろくない映画やドラマ、本などを「あれは駄作だね」などと使ったりします。
もちろん、悪い意味を表す言葉ですので、作者本人に「駄作ですね」などと面と向かって言うのは失礼にあたりますので注意してください。
「凡作」【ぼんさく】
「凡作」とは「ぼんさく」と読み、意味は「平凡でつまらない作品」となります。
ニュアンス的には「悪いわけではないけれど、よくある平凡なもの、つまらない」という解釈になります。
可もなく不可もなく、個性がないといった感じでしょうか。
何かを作る人にとっては「凡作」と評価されるのは辛いものがあるでしょう。
「拙作」と「駄作」の違い

「拙作」と「駄作」はどちらも言葉の意味としては出来栄えの悪い作品ということで同じですが、使い方が違う言葉です。
「拙作」の場合は自分が作った作品をへりくだって言う時に使います。
ですから本当に出来栄えが悪い作品のこともありますが、素晴らしい作品のこともあります。
どちらかと言えば素晴らしい作品であっても謙遜して「拙作」という人の方が多いかもしれません。
一方で「駄作」ですが、こちらは本当につまらない、出来栄えが悪いと思う作品に対し使う言葉です。
例えば素晴らしい作品を見て「これは駄作だ」などと言うことは通常はないことでしょう。
(嫉妬心や作者のことが嫌いという感情から素直に褒めることができず「駄作」と悪く言うことはあるかもしれませんが)まとめますと「拙作」とは自分が自分の作品に対して使う言葉で、作品の出来映えが素晴らしくても「拙作」と言うことはあります。
「駄作」は他人が他人の作った作品に言う言葉であり、謙遜の意味などはありません。
「拙作」の対義語

「拙作」の対語となる言葉がいくつかあります。
それでは一緒に見てえいきましょう。
- 「秀作」
- 「傑作」(けっさく)は出来栄えが極めて優れているという意味になります。
- 「力作」(りきさく)は全力を込めて作られた作品、またはそのように頑張って作った作品のことを言います
「秀作」
「秀作」(しゅうさく)は非凡であり、素晴らしい、優れた作品であるという意味になります。
「傑作」(けっさく)は出来栄えが極めて優れているという意味になります。
大変面白い小説のことを「傑作小説」と言い表したりします。
「力作」(りきさく)は全力を込めて作られた作品、またはそのように頑張って作った作品のことを言います
自分で言う場合もありますが「非常に一生懸命作った」という、ポジティブな印象に受け取ってもらえる言葉でもあります。
いかがでしたでしょうか。
「拙作」という言葉の意味、使い方など理解できたでしょうか。
また「拙作」と「駄作」は意味合いは同じですが、使い方が違うことも併せてお伝えしました。
「拙作」は素晴らしい作品であっても作者が謙遜して使う場合が多いことを覚えておきましょう。
「駄作」としっかり使い分けができるように、これを機会に「拙作」「愚作」「駄作」と併せて覚えておくことをおすすめします。