「彼我の差」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
日本語には、色々な種類の言葉がありますが、皆さんは日頃からどのような言葉を使っているでしょうか?
20代、30代の若い人達なら、インターネットでSNSを使ったコミュニーションが得意でしょうから、ネットスラングを駆使することもあるでしょう。
年配の方々になると、ことわざや古い表現を使ったり、今では死語と呼ばれるような言葉さえ懐かしく使っているかもしれませんね。
年代によって使われる言葉が異なってくるのですが、年代問わずめったに聞いたことのない言葉もあるはずです。
例えば「彼我の差」という言葉を聞いたり見たりしたことがある人はどれだけいるでしょうか?
「彼我」という言葉を見ていると何となく意味が理解できるように思えそうですが、どのようなケースで使うことができるのか、少し頭を悩ませてしまう言葉かもしれません。
ここでは、そんな「彼我の差」について、意味や用法を調べて見ることにしたいと思います。
目次
- 「彼我の差」の意味とは?
- 「彼我の差」の類語
- 「彼我の差」の言葉の使い方
- 「彼我の差」を使った例文や短文・意味
- 「彼我」の英語
- 「彼我」の対義語
- 「彼我」を使った言葉と意味を解釈
「彼我の差」の意味とは?
「彼我の差」に使われている漢字を見ていくと「彼」と「我(われ=私)」といういいで理解できそうに思えます。
「彼」は「かれ(3人称)」で、「あの人」、「あちら」や「あの」などといった意味がありますし、「我」には「われ(1人称)」で「私の(わたしの)」や「片意地」、「頑固」などの意味があります。
そして、「彼我」という熟語が形成されると、「彼と私」、「他人と自分」、「むこうとこちら」、「相手と自分」などの意味合いが出来てくるのですが、時として漢文として使われる場合には、「敵と味方」という意味も出てきます。
このようなことから「彼我の差」とは、「あちら側とこちら側での違い」や「両者の差異」を意味する表現となるのです。
この言葉は、相手方と自分達との間に見られる乖離(かいり)を表現する際などに用いられる表現でもあります。
- 「彼我の差」の読み方
「彼我の差」の読み方
「彼我の差」は、「ひがのさ」と読みますが、「彼」も「我」も、とても使い慣れている漢字なので大丈夫だと思いますが、「ひが」の部分はしっかりとチェックしておきたい箇所です。
「彼我の差」の類語
「あちら側とこちら側での違い」というような意味を持つ「彼我の差」に似ている言葉、すなわち類義語・同義語の類いでは、どのような言葉があるでしょうか?
- 「自他の差」【じたのさ】
- 「双方の差」【そうほうのさ】
- 「両方の差」【りょうほうのさ】
- 「二者の差」【にしゃのさ】
- 「相互の差」【そうごのさ】
「自他の差」【じたのさ】
「自他の差」が「彼我の差」に近い意味を持つ言葉になるでしょう。
「自他」とは「自分と他人ということ」ですが、これは、人間に限らず他の物の場合でも幅広く使用できます。
「双方の差」【そうほうのさ】
「双方」とは、「あちらとこちら」という意味を持っており、「双方の言い分」のように、それぞれを別個に扱われるニュアンスも含まれています。
このようなことで「双方の差」とは、「あちらとこちらの差」と解釈することができます。
「両方の差」【りょうほうのさ】
「両方」とは、「2つの物事のどちらも」、「双方」「両者」という意味があり、?「両方とも欲しい」
「両方とも食べたい」といった使い方が多いのですが、「両方の差」では「2つの物事の差」という解釈ができるでしょう。
「二者の差」【にしゃのさ】
「二者の差」とは、「2つの物事の差」という意味で理解することができますが、「二者」は「二者の言い分を聞く」などで聞くことがあるでしょう。
「相互の差」【そうごのさ】
「相互」とは、「どちらの側からも働き掛けがあること」や、「互い」という意味から、「相互作用」などで使われる言葉です。
「相互の差」となると、「互いの差」という意味で理解しても問題はないと思います。
「彼我の差」の言葉の使い方
「彼我の差」という熟語は、どのような場合に当てはまる言葉なのでしょうか?
普段、ほとんど耳にする言葉ではありませんが、「彼我」はかなり硬い印象を覚える表現なので、かしこまった文章の中で用いられると思われます。
具体的には、「彼我の力量の差」や「彼我の利害」、「彼我の距離」などの場面で使うことができる言葉と言えます。
しかし、「彼」と「我」と書くことで人間に限定された用法のようにも思えますが、それに限らず、企業・団体・組織・地方・国家でも、色々な物でも、相互を表すことがでる柔軟な幅の広さがあるのです。
2つの国の比較をする場合は、「2国の文化では彼我の習慣の違いに大きな隔たりがある」などと使えるでしょう。
「彼我の差」を使った例文や短文・意味
では、「彼我の差」を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「彼我の差」の例文1
- 「彼我の差」の例文2
- 「彼我の差」の例文3
「彼我の差」の例文1
「イケメンで言うと、彼我の差は、必ずしもモテることの差に比例しない」
イケメンというと、どうしてもルックスの良さでモテることの差をお持ちがちですが、決してそれだけでなく、性格の良さなどもあるのでしょうか?
「彼我の差」の例文2
「ライバル社と何度も協議を重ねて、利害関係における彼我の差は調整可能だと判断した」
どのような業種・業態でも、同業他社の存在がありますが、時には協業という形を取ることもありますね。
「彼我の差」の例文3
「西洋諸国を歴訪して、文化の厚みの彼我の差に驚嘆してしまった」
明治維新後に日本が西洋諸国を回った時にでてくるような言葉ですが、当時の日本は鎖国を解いて、海外との交流を深めていくことになりますが、海外との差に大きなショックを覚えたことでしょう。
「彼我」の英語
「彼我」を英語で表現すると“he and I”となります。
日本帆をそのまま訳している感じではありますね。
「彼我」の対義語
では「彼我(ひが)」の対義語・反対語にはどのような言葉があるでしょうか?
「彼我」という熟語の意味は、「彼と私」や「他人と自分」、「むこうとこちら」、「相手と自分」というように2者を対比させるところがポイントです。
そのように解釈すると、その対義語として挙げることができる言葉は、「比較対象がない」という意味を持つ言葉になるかもしれません。
そのような言葉を挙げてみました。
- 「単体」【たんたい】
- 「個人的」【こじんてき】
- 「単独主義」【たんどくしゅぎ】
「単体」【たんたい】
「単体」とは、「学的方法では2種以上の物質に分けることのできないもの」を指すことがありますが「純粋な物質は単体と化合物に大別される」と少し専門的な解釈の他に、「独立した1つのもの」という理解が「彼我」と対義語として当てはめることができるしょう。
「個人的」【こじんてき】
「個人的」も「彼我」の対義語として考えられますが、「その人だけの立場によるさまというような意味があり、「個人的な考え」などの使い方が多いですね。
「単独主義」【たんどくしゅぎ】
「単独主義」とは、「他の人の支援や協力を得ずに自分1人で行動する主義や考え」のことを言っています。
「彼は常に単独主義ですが、仕事のクオリティーは非常に高いのです」
例文としては、このような使い方になります。
「彼我」を使った言葉と意味を解釈
では、「彼我」を使った言葉と意味を見ていくことにします。
- 「彼我それぞれ」
- 「彼我の主張」
「彼我それぞれ」
彼我それぞれ千騎を超える軍が川を挟んで対峙し、開戦の合図を待っていたのです」
これは、武田信玄と上杉謙信の戦いを連想させますが、双方とも千騎の兵を引き連れて、今まさに戦いが始まろうとしている直前の光景でしょう。
「彼我の主張」
「彼我の主張の対立は、すぐに解消できるとは思えないくらいに溝が深いのです」
「彼我の主張」とは「双方の主張」のことで、2者間の主張の見解には大きな隔たりがあることで、それも解消することがかなり難しいと思える状態でしょう。
「彼我の差」とは、通常、生活の中だけでなく、仕事上でも会話でもめったに使われることがない言葉です。
しかし、この表現の意味は決して難しいものではなりませんので、この言葉を色々な場面で使ってみてはいかがでしょうか?