「枯れ木も山の賑わい」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
雨ニモマケズにある「デクノボートヨバレ」という一文をご存知の方は多いかと思いますが、実際に役立たず、木偶の坊、と呼ばれるのは苦しいでしょう。
ここでは「枯れ木も山の賑わい」ということばを紹介しますが、こちらはみなさんおわかりでしょうか。
聞いたことはあるがよく知らない、意味はわからない、曖昧だ、という方はぜひ一読ください。
目次
- 「枯れ木も山の賑わい」の意味とは?
- 「枯れ木も山の賑わい」の類語や言い換え・似たことば
- 「枯れ木も山の賑わい」の使い方
- 「枯れ木も山の賑わい」を使った例文
- 「枯れ木も山の賑わい」の英語
- 「枯れ木も山の賑わい」の誤用
- 「枯れ木も山の賑わい」の対義語
「枯れ木も山の賑わい」の意味とは?
「枯れ木も山の賑わい」とは、枯れた木でも山に趣を与える、というところから、つまらないものや役に立たないものでも、ないよりはましだ、という意味のことばです。
あれ、知っている意味と違う、と思った方もおられるかと思いますので、そんな方は後述する「枯れ木も山の賑わい」の誤用についてもあわせて読まれるといいでしょう。
- 「枯れ木も山の賑わい」の読み方
「枯れ木も山の賑わい」の読み方
「かれきもやまのにぎわい」と読みます。
山を花とするのは誤用ですので間違わないようにしてください。
「賑」という字には、めぐむ、ほどこす、などの意味もあるようですが、ここでは単に、にぎやかであることや、騒がしく陽気であること、といった意味で考えてください。
「枯れ木も山の賑わい」の類語や言い換え・似たことば
「枯れ木も山の賑わい」というのは長ったらしくて面倒だ、という方もどうやらいるようです。
あまり会話の中で使われるような類語表現ではないかもしれませんが、文章の仲などでは使える機会もあるでしょうから、やはり知らないよりは覚えておいたほうがいい場面もあるかと思います。
ぜひ類語表現もあわせて見ておいてください。
- 「蟻も軍勢」【ありもぐんぜい】
- 「餓鬼も人数」【がきもにんじゅ】
「蟻も軍勢」【ありもぐんぜい】
「ありもぐんぜい」と読みます。
つまらない者の例えとして、ちいさな「蟻」を使った語句になります。
蟻もたくさんいれば、かなり大きなものを運んだりする力がありますし、同じようにあまり力のない人でも、たくさんいればできることはたくさんありますね。
「餓鬼も人数」【がきもにんじゅ】
「がきもにんじゅ」もしくは「がきもにんず」と読みます。
今度はつまらない者、役に立たない者が、「餓鬼」に例えられた語句です。
こちらはさらに、取るに足らないと思っているような者でも、数が多ければ侮りがたいこと、という意味もあります。
こちらの意味は「枯れ木も山の賑わい」とはすこし違いがあります。
「枯れ木も山の賑わい」の使い方
「枯れ木も山の賑わい」は、自分のことを謙遜していうときに使うことばです。
自分のような者でもいいのでしょうか、自分のような者ですが、という使い方をするといいでしょう。
逆に相手のことを「枯れ木も山の賑わい」というのは、相手を枯れ木=役立たずということになり、大変失礼に当たりますので気をつけましょう。
「枯れ木も山の賑わい」を使った例文
では具体例を挙げて見ていきましょう。
意味はなんとなくわかった方も多いかと思いますが、文章の中でどのように使われるかを見ておくと、文脈がわかり、応用がききます。
また、これまで間違って覚えてしまっていた、という方は、例文を見ていく中で自分の間違いがどこなのか発見したり、正しい使い方を覚えなおしていってください。
- 「枯れ木も山の賑わい」の例文1
- 「枯れ木も山の賑わい」の例文2
- 「枯れ木も山の賑わい」の例文3
「枯れ木も山の賑わい」の例文1
「初めてのボランティア活動で役に立つかわかりませんが、枯れ木も山の賑わいと思っていただければ光栄です」
自分が役に立つかわからない、という場面で、このように言っておくと周りからの印象もいいでしょう。
右も左もわからないときには、周りの人に教えを乞うこともできそうです。
たいていの場合、第一印象がよければ、すこしくらい役に立たなくても目をつぶってもらえるものです。
「枯れ木も山の賑わい」の例文2
「手づくりで恐縮ですが、枯れ木も山の賑わいと思って使ってください」
手づくり品などを差し上げる際、自信をもって作っている場合でも、目上の方などにお渡しする、というシーンではこのように言っておくと喜ばれるでしょう。
また、あまり自信のない手づくり品の場合にも使える表現なので、さまざまなところで使い勝手のいい語句になります。
「枯れ木も山の賑わい」の例文3
「まだ完全に回復したわけではないので、今日は枯れ木も山の賑わいという気持ちでやらせてもらいます」
病み上がりでまだ本調子でない、というときには、このように周りに伝えると、配慮してもらえることもありそうです。
自分は数に入らないです、と謙遜して言っておくと、一人前ですと言っておいてできないより、すこしでもできたときに喜んでもらえるというメリットもあります。
「枯れ木も山の賑わい」の英語
「枯れ木も山の賑わい」をそのまま英語にすると、“Bustle of dead tree also mountain.”となります。
しかしこれではなんだか、よく意味が通じません。
「枯れ木も山の賑わい」の意味から英語にすると、“Anything is better than nothing.”なんでもないよりはいい、といったところでしょうか。
このほうが、「枯れ木も山の賑わい」に近い意味の英語として、ラフに使えそうです。
「枯れ木も山の賑わい」の誤用
つまらない者でも、いないよりはましである、という意味が本来の「枯れ木も山の賑わい」ですが、文化庁の調べによると、割合的には意味を間違えて覚えている人のほうが多い、という結果が出ています。
それも、若者だけでなく、年代問わず間違えて覚えている人が多い、ということですので、自分がこれまでどのように使っていたか、改めて見直す必要がありそうです。
- 誤用の具体例
誤用の具体例
「枯れ木も山の賑わいですから、ぜひご参加ください」
などとパーティーの招待文に書いてしまうことが多くあるそうですが、これは枯れ木=つまらない者、という意味を度外視し、すこしでも賑わいがあったほうが楽しいですから、というような意味で使われているとのことです。
しかし、この誤用は相手に対してとても失礼な言葉遣いになってしまいますので、間違っていた人は、この機会に覚えなおしておきましょう。
「枯れ木も山の賑わい」の対義語
役に立たないがないよりはましだ、という意味の「枯れ木も山の賑わい」の対義語ですから、あっても役に立たないもの、という意味の語句がそれに当たります。
具体的にどのような語句があるか、例を挙げていきますので、参考にしてください。
- 「無用の長物」
- 「月夜に提灯」
「無用の長物」
「むようのちょうぶつ」と読み、あっても邪魔なもの、役に立たないもの、という意味のことばになります。
仏教の世界では、「所持することが許されるもの」というものが決まっており、それを超えてなにかを所有したい、という欲は捨てねばならない、ということになります。
長物とは、長いもの、ではなく、「所有することが許されているもの」の枠を超えているもの、という考え方からできたことばです。
「月夜に提灯」
「つきよにちょうちん」と読みます。
こちらはなんとなく情景が浮かぶのではないでしょうか。
月の明るい夜には、提灯の必要性を感じるどころか、かえって邪魔にすら感じられる、というところからできたことばです。
「月夜に提灯夏火鉢」とつづく場合もあります。
また、「昼の行燈」も同じ意味で使われることばです。
「枯れ木も山の賑わい」は、役に立たないものでもないよりはましだ、という意味でした。
自分のことを謙遜してデクノボーだといった宮沢賢治のように、奥ゆかしさが美とされる日本人らしい発想からくることばですが、ときには自信を持って、自分を前に出していいときもあるでしょう。
どんなことばも、時と場合を考えてうまく使いこなせるようになると良いでしょう。