「亀の甲より年の功」の意味とは?同じ意味のことわざ、使い方や例文を紹介!
「亀の甲より年の功」なんて若いうちはなかなか使わないことばかもしれません。
亀の甲ってなに?そして年の功ってなに?と、よくよく考えてみれば意味がわからない、という方も多いかもしれません。
意味が曖昧な方、そもそもよくわからない、という方、ここでは「亀の甲より年の功」のいうことばについて説明していますので、ぜひこの機会に一読ください。
目次
- 「亀の甲より年の功」の意味とは?
- 「亀の甲より年の功」の同じ意味・近いことわざ
- 「亀の甲より年の功」の使い方
- 「亀の甲より年の功」を使った例文
- 「亀の甲より年の功」と対義することわざ
「亀の甲より年の功」の意味とは?
「亀の甲より年の功」とは、年長者が培ってきた経験はなにものにもかえがたく、尊重すべきである、という意味のことばです。
端的にいえば、年上の人の話は聞いておきましょう、ということですね。
若者には耳の痛いことばかもしれません。
- 「亀の甲より年の功」の由来
- 「亀の甲より年の功」の読み方
「亀の甲より年の功」の由来
鶴は千年、亀は万年ということばがあるほど、亀は長生きするといわれています。
しかしどれだけ長生きしても、亀の甲羅は甲羅でしかなく、そこから人間が知識や知恵を授かるということはほとんどありません。
一方、人間は八十年ほどの寿命ですが、その中で得た知識や経験はかけがえがなく、生きがいともなり、未来へと継承されることもたくさんあります。
その価値の重みを表すのが、「亀の甲より年の功」ということばになります。
音が同じである「甲」と「功」で韻を踏んでいるのですね。
「亀の甲より年の功」の読み方
「かめのこうよりとしのこう」と読みます。
「甲」はほかに、「カン」「つめ」「よろい」「かぶと」「きのえ」などの読みがあり、ここでは外側を覆う硬い殻、甲羅のことをいいます。
「功」はこの場合には「劫」とも書かれ、ここで「劫」とは、極めて長い時間のことをいいます。
「亀の甲より年の功」の同じ意味・近いことわざ
「亀の甲より年の功」ということばがピンとこないというときには、ほかの似た意味を持つことわざから見ていきましょう。
回りまわって、「亀の甲より年の功」の理解にも繋がりますし、語彙も増えるので一石二鳥ですね。
- 「烏賊の甲より年の功」
- 「老馬の智」
- 「医者と味噌は古いほどよい」
「烏賊の甲より年の功」
「いかのこうよりとしのこう」と読みます。
烏賊の甲は食べるよりほかに役に立ちませんが、年の功は積み重ねれば積み重ねただけの価値があります。
「亀」が「烏賊」に代わっただけで、ということもできますが、こちらのことわざもあわせて覚えておかれるといいでしょう。
「老馬の智」
「ろうばのち」と読みます。
「老いたる馬は道を忘れず」なんていうことわざもありますが、こちらとほとんど同義と考えていいでしょう。
長年働いてきた馬は、きちんと道を覚えているもの。
たとえ人が道に迷ってしまっても、老いた馬の行く方向へついていけば、本来の道に戻り、目的地に着くことができる、というところから、経験を積んだ者は自分の行くべき道を間違えない、という意味で使われることばです。
歳をとった人だけでなく、その世界で長く経験を積んでいる人、という意味になるでしょう。
「医者と味噌は古いほどよい」
「いしゃとみそはふるいほどよい」と読みます。
医学の道は本当に気の遠くなるほどむずかしいもので、教科書どおりにいくことばかりではありません。
多くの人を診る中で育まれる知見や経験則などが、医者にとってどれほど価値のあるものかわかりません。
味噌も同じように、つくってから時間が経っているもののほうが熟成されて旨味が出るといわれています。
ここでは医者も味噌もよいもの、とされている点が、「亀の甲より年の功」とは違う点でしょう。
似たことわざに、「医者と坊主は年寄りがよい」というのもあります。
「亀の甲より年の功」の使い方
やる気はあるが経験のすくない若者と熟練者とをくらべるときや、年長者を敬っていうときに使うことが多いことばです。
しかし、年長者の中には年寄り扱いされることを極度に嫌う人もいますし、女性に対してはとくに年齢にかかわる表現は気を遣うもの。
いいことばではありますが、相手を考えて使うとよりよいですね。
「亀の甲より年の功」を使った例文
それでは具体的に例文の中で、どのように「亀の甲より年の功」が使われているかを見ていきましょう。
だれと話しているときに、だれのことをいっているのか、というところに着目すると応用がききます。
知っていれば会話の中にも取りいれやすいことわざです。
- 「亀の甲より年の功」の例文1
- 「亀の甲より年の功」の例文2
- 「亀の甲より年の功」の例文3
「亀の甲より年の功」の例文1
「喉が痛いときにははちみつ大根がいいのだと母に教わったよ。亀の甲より年の功というけど、子育てに関してはとくに頭があがらないね」
「亀の甲より年の功」を感じる場面に、子育てがあげられます。
だれしも初めて親になるのですから、わからなくて当然。
そんなときに頼れるのはやはり親ではないでしょうか。
いつも物忘れが激しいお母さん、なんて恥ずかしがっていた人が、子育てに関する知見の多さに恐れいる、なんてことは日常的に見られることでしょう。
「亀の甲より年の功」の例文2
「パート歴二十年のおばさんは、社員よりもお客さんと仲がいいことがある、恐るべき、亀の甲より年の功だと思う」
職場でもやはり、「亀の甲より年の功」という局面は多々あります。
ここではパートの女性を出しましたが、上司や先輩の多くが、キャリアによる知識、知恵、つながりなどを持っていることがほとんどでしょう。
この人はこういう手土産を喜ぶ、なんていうちょっとしたアドバイスもしっかりと聞いておいたほうがよさそうです。
「亀の甲より年の功」の例文3
「亀の甲より年の功というと祖父は馬鹿にしていると怒るが、自分にはないものだからこそ、リスペクトの気持ちを持っている」
「亀の甲より年の功」は、「年の功」とだけいう場合もあります。
どちらの場合にも、相手のことを年寄りである、といっているようなものなので、人によっては不快に感じるかもしれません。
中元、歳暮の贈り物、法事や慶事のときの装い、どれ一つとっても年長者は洗練されており、無駄がないように感じられます。
すこしずつ学びとり、自分も年齢に恥じないように歳を重ねていきたいですね。
「亀の甲より年の功」と対義することわざ
あわせて反対の意味を持つ対義語についても見ておきましょう。
「亀の甲より年の功」の対義語ですから、どんな優秀な人でも、歳をとると腕が鈍ってしまう、というような意味あいのことばになります。
どんなことばがあるでしょうか。
- 「麒麟も老いては駑馬に劣る」
- 「昔千里も今一里」
「麒麟も老いては駑馬に劣る」
「きりんもおいてはどばにおとる」と読みます。
ここでいう「麒麟」はとても足が速く、一日に千里を走るといわれた駿馬のことです。
「駑馬」とは馬の中でも特に足の遅い馬のことをいいます。
どんな名馬でも、歳をとると駄馬にすら及ばない、というところから、老いると凡人にも及ばなくなる、ということを意味しています。
歳を重ねるごとにキレのよくなる研究などの分野もあるでしょうが、スポーツなど、体を使う仕事などではやはり、老人には厳しいものもあるでしょう。
「昔千里も今一里」
こちらも、昔は千里を駆けることができた駿馬が、今では一里行くのがやっとである、というところから、どんなに優れた人でも、歳をとれば普通の人ほどのことすらできなくなる、ということばになります。
時代が変われば勝手も変わり、年の功の効き目がないような場合もあります。
その時々で自分の置かれている環境、状況をしっかりと受け止め、できることをしていくことしか人にはできないのでしょう。
「亀の甲より年の功」とは、年長者の持っている知識や経験はなにものにもかえがたい価値がある、という意味のことばでした。
昨今は「老害」などという悲しいことばも聞かれますが、年長者が築いた文化や暮らしがなければ、今はありません。
年長者を重んじ、人類が一体となって未来を紡いでいくことができれば、先行きは明るいのではないでしょうか。