「形骸化」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本人でも知らない日本語や、使いこなせていない日本語というのは多々ありますが、「形骸化」もそんな言葉の一つだ、という方もたくさんおられるでしょう。
しかし「形骸化」は、新聞やニュースのなかでも幾度となく出会うことがありますので、この機会に理解しておきましょう。
目次
- 「形骸化」の意味とは?
- 「形骸化」の類語や言い換え・似た言葉
- 「形骸化」の使い方
- 「形骸化」を使った例文
- 「形骸化」の英語
- 「形骸化」の対義語
- 「形骸化」と「形式化」の違い
「形骸化」の意味とは?
「形骸化」とは、実質的な意味や本質が、失われたり忘れられたりしてしまい、内容のない形だけ、形式だけが残っている、という状態を表す言葉です。
人間にも死が訪れると、骨や肉体だけが残り、本質である魂などと呼ばれるものがすっぽりと抜け落ちてしまうことが想像されます。
- 「形骸化」の読み方
「形骸化」の読み方
「けいがいか」と読みます。
「形」にはほかに、「ギョウ」「かた」「かたち」「なり」などの読みがあり、かたち、ありさま、すがた、あらわれる、あらわす、といった意味を持つ漢字です。
「骸」にはほかに、「カイ」「むくろ」「ほね」といった読みがあり、ほね、なきがら、からだ、といった意味を持っています。
「形骸化」の類語や言い換え・似た言葉
「形骸化」の意味がわかっても、まだ腑に落ちない、という方もおられるでしょう。
ここで、「形骸化」の類語表現や似た意味を持つ言葉をいくつかご紹介します。
類語表現を知ることで、もともと調べていた言葉の意味が深く理解できることもありますし、語彙の幅が広がりますので、ぜひあわせて見てみてください。
- 「空文化」【くうぶんか】
- 「有名無実」【ゆうめいむじつ】
- 「骨抜き」【ほねぬき】
「空文化」【くうぶんか】
「からぶんか」ではありませんので読み間違いに気をつけましょう。
「空文・化」と分けることがわかれば間違えませんね。
「空文」とは、とくに法律や規則などの文章において、効力のないものや、実際の役に立たないものを示します。
そのような状態になってしまうことを、「空文化」といいます。
「丁寧に読み解いていくと、条約が空文化されていることはだれの目にも明らかだった」
「有名無実」【ゆうめいむじつ】
聞いたことのある方も多いでしょうが、「ゆうめいむじつ」と読みます。
名ばかりが有名で実質が伴わない、名前はあるが実際には機能していない、またそういう状態を意味する言葉です。
無実は、罪がない、という意味の無実でなく、中身がない、実がない、というところから来ていますので、ここをおさえておけば、意味を間違えることはあまりないでしょう。
「空文化」と同じくして、法律や規則などで「有名無実」だとすると、名前はついているが、実際には抜け道や裏がある、といった意味になります。
「改正により、憲法の一部が有名無実化するおそれがあると指摘されている」
「骨抜き」【ほねぬき】
「骨抜き」は、魚などの調理の際、食べやすくするために骨を抜くこと、またそのための器具や、骨が抜き取られた魚や肉を意味する言葉、また、「骨抜きにされる」などというと、気骨や節操を失い、軟弱にさせられる、という意味で使われています。
ここでは、計画、企画、主義などの重要な部分を抜き取り、価値や内容が失われている、乏しくなっているさま、肝心の中身がなくなることを表す言葉、として紹介します。
「討論を繰り返すうち、議案が骨抜きになっているのではないかと気がついた」
「形骸化」の使い方
「形骸化する」や「形骸化させる」といった使い方がよくされています。
なにが「形骸化」しているのか、またなにが「形骸化」させているのか、といった点に注視することで意味が読みとれるようになります。
主語になるもの、もしくは目的語になるものがなにか、なぜ「形骸化」するのか、といったところに着目しましょう。
「形骸化」を使った例文
では具体的に例文を挙げるなかで、「形骸化」がどのように使われているのか見ていきましょう。
例文のあとで、その文章について説明を設けておきますので参考になさってください。
また、自分が「形骸化」していると感じるものなどあれば、そのものごとについて考えてみることで、「形骸化」がよく理解されるでしょう。
- 「形骸化」の例文1
- 「形骸化」の例文2
- 「形骸化」の例文3
「形骸化」の例文1
「祝日は、もとは祭りごとなどそれぞれ意味があって決定されていたが、昨今では名前が変わったり、日にちすら変わってしまい、形骸化されていると言わざるを得ない」
「〇〇の日」という名前だけが残ったり、名前すら変わってしまい、休日である、という「名」の部分だけが残り、その祝日の本来の意味である「実」の部分が失われている、忘れられている、という、「形骸化」の典型的な例になります。
「形骸化」の例文2
「産休や育休の制度はあるが、実際には人手不足から、その制度を使っている者はいない。
それらの制度の形骸化にだれもが気づいているが、なかなか言い出すことができない」
このように、企業などのなかでも、「形骸化」されたルールや規則がある、というのは、事実としてあることです。
表向きに言っていることと実情とのギャップがあまりに大きい場合には、立ち向かう勇気が必要となる場面もあるかもしれません。
「形骸化」の例文3
「始まった当初は、だれが勝つのかとわくわくしたレースだが、最近ではレースというのも形骸化しており、順繰りに勝つようにできているのではないかと疑りたくなるような試合が多い」
これも、さまざまな分野で見られることではないでしょうか。
「〇〇賞」などと冠のついたものでも、よくよく調べてみると、中堅どころが代わる代わる賞をもらっているだけ、なんてこともあるものです。
「形骸化」の英語
“a mere name”、“a mere facade”、“become a dead letter”などが、「形骸化している」と言いたいときの英語表現に使うことができます。
“This is a dead letter. ”といえば、「これは形骸化しています」の意味になります。
文章のなかで、どのような表現が適しているか見定めながら使うことになりますが、英語を勉強している、海外の人と話すことが多い、という方は知っておいて損のない表現でしょう。
「形骸化」の対義語
名ばかりで実がない、というのが「形骸化」ですから、名よりも実をとる、という意味の言葉が対義語にあたります。
具体的には、「名よりも実」「名を捨てて実をとる」「名をとるより得をとれ」などがありますが、もっとも耳に覚えのあるのが、「花より団子」ではないかと思います。
花というのは風流を表し、風流とは、人に見せるため、みやびやかにつくられたもの、などという意味があります。
団子は実際に口に入り、血肉になるもの、つまり実利を表します。
外見のよいものよりも、実になるものを選ぶ、という精神が表れた言葉です。
「形骸化」と「形式化」の違い
「形式化」は、ばらばらになっているさまざまな要素を、ある概念でまとめることを意味します。
それまでは無秩序に個々人の考えに任されていたものが、きちんと一つの指針に従ってマニュアル化されることなどがいい例でしょう。
「形式化」されたものが「形骸化」すると、マニュアル化された意味を失う、ということですね。
同一視されやすい二つの言葉ですが、まったく異なる意味の言葉ですので、違いを理解しておきましょう。
「形骸化」は、名ばかりで実がない、という意味の言葉だとわかりました。
ものごとの起こりには、志や強い意志があるものですが、時間の経過とともにマンネリ化し、「形骸化」してしまいがちなものです。
初心を忘れず、名より実をとることを念頭に置いていれば、充実した暮らしとはなにか、幸福とはなにか、という真実、真理が見えてくるのではないでしょうか。