「胸を借りる」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「胸を借りる」という行為は、スポーツの世界では、日常的に、ごく普通に行なわれている行為です。
自分の力を試すためや、日頃の練習の成果を確かめるために行う、具体的な相手を想定した対外的練習でもあります。
目次
- 「胸を借りる」の意味とは?
- 「胸を借りる」の類語や言い換え
- 「胸を借りる」の使い方
- 「胸を借りる」を使った例文と解釈
- 「胸を借りる」の語源
- 「胸を借りる」の敬語での使い方
- 「胸を借りる」の英語
- 「胸を借りる」をビジネスで使う際の注意点
「胸を借りる」の意味とは?
スポーツや将棋など、勝敗を争う勝負の世界で「胸を借りる」と言うのは、文字通り自分のもっている力を試すのに、相手の胸を借りるのですから、当然、そこには胸を貸す側が存在します。
さらに、貸す借りるの関係が成り立つためには、胸を貸す方の実力が上で、当然、借りる方が下になります。
そこで、「胸を借りる」とは、力量的に下位の者が、力量が上位の者に、相手をしてもらうことを言います。
または、下位の者が積極的に、上位の者に挑戦することを指します。
1-1「胸を借りる」
「むねをかりる」と、読みます。
難しい漢字や読み替えもありません。
「胸を借りる」の類語や言い換え
相手を立てての試しの練習は、力量が下位の者から言えば「胸を借りる」ですが、上位の者からしてみれば、胸を貸してあげるという状態になりますので「胸を貸す」という言葉を使います。
また、同じ意味で上位の者の立場から言う「稽古を付ける」という言葉もあります。
これは、上位の者が、下位の者に声をかけて、練習をさせることですが、しごきに近いものになることもしばしばです。
「胸を借りる」の使い方
心の底では、負けようなどと思ってはいないでしょうが、「胸を借りる」つもりの試合では、勝敗は二の次です。
あくまでも相手をしてもらって、相手のよさを参考にしたり、自分たちの弱点を反省したりすることを主眼としています。
また、常に、相手の方が上位ですから、尊敬の念を忘れないように、言葉や態度で表現することが大事です。
なお、「胸を借りる」を名詞として扱っても「胸を借りました」のように、動詞として扱っても一向に構いません。
「胸を借りる」を使った例文と解釈
- 「胸を借りる」の例文1
- 「胸を借りる」の例文2
- 「胸を借りる」の例文3
「胸を借りる」の例文1
区大会を前に、昨年の準優勝校との練習試合が組まれました。
強力打線を誇る強豪校ですが、胸を借りるつもりで、思いっきりぶつかってみたいと思います。
これは、夏の高校野球の時期などによく見られる、ごく一般的な「胸を借りる」を使った文例です。
「胸を借りる」の例文2
A社と入札額が、競合しました。
A社は関西地区におけるビルメン業界の雄ですが、今回のプロジェクトについては、各社共に、初挑戦のはず。
ここまできたら、臆せずに、胸を借りるつもりで、再入札に臨みます。
ビジネス界でも、他社の優れている点や製品の優れている点など、積極的に取り入れる際の心構えとして、「胸を借りる」を使っても問題はありません。
「胸を借りる」の例文3
通称アマ五段と言われている自分です。
相手はプロとは言え、まだ初段の腕前です。
胸を借りると言うよりも胸を貸すくらいの気持ちで、真正面から中飛車でぶつかりたいと思っています。
「胸を借りる」「胸を貸す」という言葉は、将棋や囲碁の世界では、頻繁に使われる言葉です。
なお、この将棋や囲碁の世界については「お手合わせ願いたい」という同じ意味合いで使う言葉に「お手合わせ」という特有の言い回しが使われます。
「胸を借りる」の語源
相撲界からきた言葉です。
ぶつかり稽古と言って、番付上位の力士が、土俵中央で、胸をめがけて突進してくる下位の力士を受け止め、土俵の外まで押し出させるという相撲の基本的な稽古からきた言葉です。
100㎏を優に超えた巨体を胸で真正面から受け止めるのですから、かなりハードなものですが、「胸を貸す」「胸を借りる」の語源となる相撲用語です。
「胸を借りる」の敬語での使い方
敬語を使うからには、相手は、当然、目上や先輩になりますので、「胸を借りる」を逆の立場からとらえて「胸を貸す」とします。
意味は同じですが、貸すのは、上司や先輩になりますので、「胸を貸していただけませんか」
「胸をお貸しください」などと、敬意をはらうことになります。
「胸を借りる」の英語
直訳すると“I borrow a chest”(私は、胸を借りる)となりますが、本来の意味とは、ずれていて、胸が何か物体のように感じられます。
そこで、意味的に英訳すると“to be allowed to practice with a Partner of higher skill”(高い技能の相手が一緒に、練習をさせておく)という英訳になり、胸を借りるへと意訳します。
「胸を借りる」をビジネスで使う際の注意点
文書の処理やプレゼンの作成など、先輩や上司に学びたいことは、山ほどあります。
そんな時、「胸を借りる」という言葉は便利です。
ただし、敬意を忘れないように「胸を借りさせてください」などと、表現に気を付けます。
しかし、ここでは、立場を逆転させて「胸をお貸しくださいませんか」とした方が、スマートです。
「胸を借りる」という言葉は、使いやすい上に、使う場面も多い言葉です。
また、「貸す」と「借りる」という相反する立場が、共存しているという面白さもあります。
相手によっては、立場を変えて考えることで、十分、敬意も払うことも出来ます。
それにしても、巨漢の力士が、正面からぶち当たっても、さすがに横綱は動かないとか。
実力の違いをまざまざと見せられる思いです。