「暫時」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
少しの間や、しばらくの間の事を「暫時」という言葉を使って表すことがあります。
響きも難しく堅いイメージがある言葉なので、あまり日常会話には登場しないかもしれません。
今回はこの言葉にどのような意味や使い方があるのかを、詳しく解説していきたいと思います。
目次
- 「暫時」の意味とは?
- 「暫時」の類語や言い換え
- 「暫時」の使い方
- 「暫時」を使った例文
- 「暫時」の対義語
- 「暫時」のを使った言葉
「暫時」の意味とは?
- 「暫時」の読み方や意味
- 「暫時」の成り立ち
「暫時」の読み方や意味
「暫時」は【ざんじ】と読みます。
意味としては、
- 少しの間、束の間
- しばらくの間
- 一時的
といったものになります。
「暫時」の成り立ち
「暫」という漢字は「斬」+「日」で成り立っており、音読みが【ザン】、訓読みが【しばらく、しばし】になります。
「日」は時間を指し、「斬」は斧でキル、真っ二つに割るという意味があり、この事からも、「暫」という漢字が《時間を割る》という意味合いを持つ事がわかるのではないでしょうか。
またよく間違えられる熟語に「漸次【ぜんじ】」というものがありますが、意味は《だんだん・少しずつ》などになります。
「日」と「?」の違いがあるものの似た漢字にはなりますが、「暫時」と「漸次」は、全く別の読み方、意味を持つ言葉になります。
また「暫時」の「暫」を使った熟語はいくつかあり、どれも「暫時」に似た意味を持ちます。
「暫時」の類語や言い換え
「暫時」には似たような意味が幾つかあるので、普段聞き慣れた言い方なども含め紹介したいと思います。
- 束の間
- 「ひとしきり」【ひとしきり】
- 「寸刻」【すんこく】
- 「暫し」【しばし】
束の間
少しの間、ほんの少しの時間を表す言葉になります。
「束の間」の「束」には《一束は4本指の長さ》という意味があり、非常に狭い幅であり少しという解釈になります。
- 「束の間ではあったが、休息がとれて良かった」
- 「ほんの束の間にあらゆる事が起きて驚いている」
など。
「ひとしきり」【ひとしきり】
しばらく続くことや、ある程度の間隔に集中して何かを行うことをいいます。
また漢字では「一頻り」とかき、「頻り」に《繰り返すことやひっきりなしに》という意味があります。
- 「ひとしきり雨が降ったため、気温が下がり寒くなった」
- 「人の話も聞かずひとしきり話続けたので、大切な事が分からなくなった」
など。
「寸刻」【すんこく】
「寸刻」とはわずかな時間や、余裕が保てない時のことをいいます。
その程度を表す時間が非常に短いため「暫時」とは対義語と言われる場合もありますが、「暫時」には大体の時間の流れの程度のようなものがありません。
人によって変わり5分の時もあれば2週間といった場合もあります。
つまり短い時間を表す時にも使うため、似たニュアンスを持つと言えるでしょう。
- 「緊急事態に寸刻を争う」
- 「寸刻の隙も与えないほど、完璧な戦法だった」
など。
「暫し」【しばし】
物事を中断するほんの少しの間の事をいいます。
もしくは物事をほんの少しだけ継続するの間の事をいいます。
- 「暫し、こちらでお待ちください」
- 「思わぬゲストの登場に、歓声は暫し続いた」
など。
「暫時」の使い方
あまり時間がない時や、何かを決める時に一定期間据え置くといったような時に使います。
またずっとは続かない、もしくはとりあえず現状はこの状態だけど、少し経てば変更するつもりでいる状況や状態、人間関係や人物に対しても使います。
「暫時」を使った例文
「暫時」はビジネスシーンや公共の場では使われたり、耳にはしますが、日常会話では堅苦しいため、あまり使わない言葉かもしれません。
身近ではないので例文を参考に使い方をみていきましょう。
- 「暫時」の例文1
- 「暫時」の例文2
- 「暫時」の例文3
- 「暫時」の例文4
- 「暫時」の例文5
「暫時」の例文1
「彼は暫時偏った考え方をする」
「暫時」の例文2
「会長は暫時黙っていたが、最後には笑顔で顔を上げた」
「暫時」の例文3
「暫時辛いけれど、我慢する事で道は開けてくる」
「暫時」の例文4
「人が倒れていたので暫時は亡くなっているのかと思ったが、違ってよかった」
「暫時」の例文5
「暫時忘れていたのに、彼に会ってまた思い出してしまった」
「暫時」の対義語
「暫時」の対義語を幾つかご紹介いたします。
ニュアンスの違いにも注目してみてください。
- 「恒久」【こうきゅう】
- 「千秋」【せんしゅう】
- 「積年」【せきねん】
「恒久」【こうきゅう】
ある状況が永久的に続いていくことをいいます。
この言葉は国の平和や戦争のない世界などを望む時によく使われ、「恒久」の「恒」には《つねに・いつも・たえず》という意味があり、また「久」には《長く続くこと・長い時間》という意味があります。
- 「我が国は恒久的にこの法案を支持する」
- 「平和の恒久を望む事は大切だが、行動に移さなければ意味がない」
など。
「千秋」【せんしゅう】
「千秋」とは字の如く、千回の秋が巡ってくる事、つまりそれ程長い年月を表します。
「一日千秋」という四字熟語がありますが、これは1日が千年に感じるほど待ち遠しいという気持ちを表しています。
また「千秋楽」という言葉を聞いたことがあると思いますが、この言葉は同じ演目をする興行における最終日の事をいいます。
同じ事を何回も繰り返している間は最終日までの長い期間を過ごすことになります。
「秋」自体の夜が長いため、明けるまでの時間を表す言葉が多いのだと思われます。
- 「結果が来るまで、たった3日だったが千秋くらいに感じた」
- 「やっと日本に帰れる日がきて、家族に会える。ずっと一日千秋の思いだった」
など。
「積年」【せきねん】
雪が積もるほどの長い年月や時間の事をいいます。
「積年」はどちらかというと、心の中に長い間、悶々と思う事がある時に使う言葉になります。
ずっと耐えたり、思い続けたり、積み重ねてきたものがあって、やっとそこから自由になれるというニュアンスを持つ言葉になります。
- 「今こうしてここに立っていられるのも積年の試練を乗り越えてきたからだ」
- 「積年の思いがやっと叶い、感慨無量だ」
など。
「暫時」のを使った言葉
「暫時」を使った言葉には色々ありますが、どのようなものがあるのか幾つか挙げてみるので参考にしてみて下さい。
- 「暫時的」
- 「暫時の間」
- 「暫時休憩」
「暫時的」
「暫時的」とはこのままずっと続けていくわけではないけれど、しばらくの間はこの状況や状態で様子をみていく事をいいます。
決定的な事ではなく、一時的な事であり、またこの期間も人や事情によって変わります。
- 「方針としては暫時的ではありますが、このまま様子をみたいと思います」
- 「暫時的な処置はあくまでも応急的ものなので、アテにしないように」
など。
「暫時の間」
「暫時の間」という言葉は、「暫時」自体に《少しの間・暫く》という意味があるので「間」という漢字が重複する事になり誤った表現だて思ってしまうかもしれません。
ですがこれは誤用ではなく小説などでもよく見かける正しい使い方になります。
- 「今まで信じていた事が、全て嘘だと知って暫時の間呆然としてしまった」
- 「何故そうなったかを暫時の間考えている」
など。
「暫時休憩」
「暫時」のあとによく付けられる熟語として一番多い言葉に「休憩」があります。
「暫時休憩」としてセットで覚えている方もいるくらいに分かりやすい表現だと言えるでしょう。
また「休憩」の部分を他の名詞に変えた表現もよく使われます。
例えば「中断」「決定」などを使うことで意味がすぐに通じる四字熟語のような働きをする言葉になります。
- 「暫時休憩を取ることは、労働者にとって非常に大切なことだ」
- 「忙しくてお昼すら摂れなかったが、暫時休憩が取れてよかった」
など。
「暫時」という言葉の意味についてはご紹介した通りではありますが、普段の会話の中で頻繁に使う言葉ではないため、いざという時に表現として使用することは難しいかもしれません。
言葉を理解するだけではなくて、漢字の成り立ちなども含め、セットで覚える事で、「暫時」についての理解度が更に高まるのではないでしょうか。