「残り惜しい」の意味とは?読み方、類語や使い方、例文を紹介!
日本語には、一文字欠けたり、もしくは一文字足すだけで意味が変わる言葉があります。
今回ご紹介する「残り惜しい」という言葉もそうで、これに「名」という一文字が足されて「名残惜しい」になると、意味が若干変わります。
基本的には同じ言葉として使われていますが、それぞれの意味や違いを細かく解説していきますのでしっかり把握しましょう。
目次
- 「残り惜しい」の意味とは?
- 「残り惜しい」の類語や言い換え・似た言葉
- 「残り惜しい」の言葉の使い方
- 「残り惜しい」を使った例文
- 「残り惜しい」を分解して解釈
- 名残惜しいと残り惜しいの違い
「残り惜しい」の意味とは?
「心残りがする」という思いや「残念だ」と思う気持ちを表す形容詞です。
喜びではなく、悲しさや未練などのマイナス感情を表す言葉として、小説などの文章表現で使われる表現です。
よく似た言葉で「名残惜しい」というものがありますが、どちらかというと「名残惜しい」の方がポピュラーな表現として知られています。
誰か自分と親しい人に気持ちを寄せたままどうしても別れなければならない時や、何か思い入れがあるものをどうしても捨てなければならない時に、納得できない未練の気持ちを抱くことがあるでしょう。
そういった未練や心苦しい気持ちを指して、「残り惜しい」と表現するのです。
- 「残り惜しい」の読み方
「残り惜しい」の読み方
「のこりおしい」と読みます。
「名」がつくと「なごりおしい」と読み方がガラっと変わりますので注意しましょう。
「残り惜しい」の類語や言い換え・似た言葉
「残り惜しい」と同じような意味や、言い換えとして挙げられる言葉を2つ紹介します。
- 「心残り」【こころのこり】
- 「後ろ髪を引かれる」【うしろがみをひかれる】
「心残り」【こころのこり】
「心残り」は、「後になってもずっと気になってしまい、心配に思ったり残念に感じる事」を意味します。
「残り惜しい」の意味の解説でも文章中に出てきましたが、「残り惜しい」と「心残り」は非常に近い言葉であり、言い換えには最も自然な言葉です。
「心が残る」とはたとえであり、自分の思いがまるでその物や人に移ってしまったかのように感じられ、いつまでたっても忘れられないことや割り切ることができない気持ちを表しています。
「後ろ髪を引かれる」【うしろがみをひかれる】
後ろ髪を引かれるは、未練がある気持ちや思い、もしくは心残りで離れられない気持ちや思いを表す言葉です。
「後ろ髪を引かれる」とそのまま使ったり、「後ろ髪を引かれる思いがする」という風に「思い」を付け加えて使用する場合もあります。
実際に引っ張られるわけではありませんが、まるで後ろから誰かに髪の毛を引っ張られて引きとめられているかのように未練に思う事や、その場から離れることが心苦しく思う事を表します。
「残り惜しい」の言葉の使い方
基本的な言葉の使い方としては、「心残りだ」や「未練に思う」という言葉の代わりとして使うようにイメージすると、文章中に盛り込みやすくなります。
後ほど例文でも詳しく解説しますが、「残り惜しい気がする」や「残り惜しいと思う」などのように、「残り惜しい」の言葉の後ろに言葉を付け加えて使うか、「残り惜しい」とそのままで使ってもどちらも間違いではありません。
誰かとの別れ、自分が持っている物を手放すとき、場所やその時間・催しものから離れたりするときなどの、「まだ関わっていたいなぁ」と未練がましく感じてしまう時に使うことを頭に入れておきましょう。
「残り惜しい」を使った例文
それでは、3つの例文をもとに具体的な使い方や意味合いを解説しますので、具体的な使い方やその意味をしっかり掴んでいきましょう。
- 「残り惜しい」の例文1
- 「残り惜しい」の例文2
- 「残り惜しい」の例文3
「残り惜しい」の例文1
「あの芸能人が引退するとは、もう見られなくなるのは残り惜しいな」
後悔したり未練の気持ちを抱いた時に使う表現としてふさわしいのが「残り惜しい」という言葉です。
もう2度と同じ事が起こらなくなってしまったり、また同じ人や物に出会う機会が無いのが、非常に心残りに感じられるという気持ちを差します。
この例文のように、一芸に秀でた芸能人が引退してメディアに出る事がなくなれば、私たちの様な一般人が関わったり、姿を見ることはできなくなってしまいますので、「未練」を感じるのです。
「残り惜しい」の例文2
「思い出がある物は残り惜しい気がして、なかなか捨てられない」
この例文には賛同できる人が多い事でしょう。
もう自分の実生活には必要ないようなものでも、幼少期や学生時代などの思い出がつまっている品物というのは捨てるに捨てられない物です。
まるで自分の思い出も一緒に捨ててしまうような気がして、なかなか思い切れない物です。
そういった未練の気持ち、なかなか踏み切れない気持ちを指して「残り惜しい」で表現することができます。
「残り惜しい」の例文3
「ここで諦めてしまうのは、なんとも残り惜しいことだ」
「心残り」であることや、いつまでたっても心配になって気にしてしまう事が「残り惜しい」という気持ちである為、誰かと別れたり離れたりすることだけでなく、何かを諦めるときにも使って良い表現となります。
何かを諦める、変化を決断するときに「これでいいのだろうか」といつまでも気にしてしまう気持ちを表すのにも、「残り惜しい」という言葉を使ってみましょう。
「残り惜しい」を分解して解釈
「残り惜しい」という言葉には、「残り」と「惜しい」の二つの単語が入っていますので、それぞれを分解して解釈するとわかりやすくなります。
- 「残り」
- 「惜しい」
「残り」
「残り」というのは、その言葉通りとある分量の中の残っている部分を指します。
決まった分量から減っていくとして、それが完全に無くなってしまうまでの残っている部分です。
「残り」というのは、それを使いきって無くなってしまえば後には何も残らなくなってしまいますので、それが値打ちのある物や大切なものであればある程未練を抱いてしまいがちになります。
「惜しい」
「惜しい」というのは人間が抱く気持ちで、人間の間で値打ちがあるものや大切にすべきものを失う時や、まさに失ってしまった時に残念に思ったり耐えがたく感じることを指します。
いらないものが残ることと違い、必要な物や値打ちがある物がなくなったり減ってしまうのは、なんともいえない物悲しさや未練を感じてしまうものです。
名残惜しいと残り惜しいの違い
ほぼ変わらず似たような意味合いで使われる言葉ですが、主に「名残惜しい」の方は「別れ」に対して悲しさや悔しさ、未練がましさを抱く意味で使われます。
一般的に使われることが多いのも「名残惜しい」の方で、「残り惜しい」という言葉はあまり知られていないようです。
どちらも「心残り」であることを意味する言葉ですが、「別れ」に対して強く心残りを感じるのが「名残惜しい」、何かしら物事に対して「心残りである」ということを意味して使うのが「残り惜しい」と区別して使うと良いでしょう。
「残り惜しい」という言葉はあまり普段聞く機会の少ない言葉ですが、「名残惜しい」とあまり変わらない意味合いで使われているという事はご理解いただけたでしょうか。
同じような言葉というのは、使い分けるのが難しく感じるものですが、要点を押さえ文脈に自然に溶け込む言葉を選ぶことがポイントです。
人との別れや離れることに対しては「名残惜しい」、別れだけでなく何かしら自分の行動などに心残りを感じた時には「残り惜しい」と使い分けて、文章に深みを出していきましょう。