「重複」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
子どものころ、カードやシールなどおもちゃの収集や交換をすること、ありませんでしたか。
このとき、二つ以上同じものを持っていることを「ダブり」と呼ぶ人もいたのではないでしょうか。
大人になると「ダブり」では恥ずかしい場面もすくなくありませんね。
ここでは、「重複」ということばについてご紹介します。
目次
- 「重複」の意味とは?
- 「重複」の類語や言い換え・似たことば
- 「重複」の使い方
- 「重複」を使った例文
- 「重」を使ったことば
- 「重複立候補」
- 数学における「重複」
「重複」の意味とは?
「重複」は、あまり知られていない意味として、染色体異常のひとつである、染色体の一部が余分に付着している、という状態を表すことがあります。
一般的には、二つ以上の物事が重なりあうことを示すことばとして広く知られています。
「ダブり」では恥ずかしい場面でも、「重複」というと聞こえが良いでしょう。
- 「重複」の読み方
- 「重複」の漢字
「重複」の読み方
正しい読み方は「ちょうふく」です。
「じゅうふく」という読み方は、長年誤りとされてきましたが、あまりに使う人が多いため、慣用読みとして認められるようになりました。
慣用読みとは、多くの人がそう読むために、誤用だったものが認められることをいいます。
しかし、近年になって「ちょうふく」と正しい読み方をする人が増えている傾向にある、という調査もあります。
ことばは時代の流れとともにすこしずつ移ろっていくことがある、というのも、知っておかれると理解しやすい場面があるでしょう。
「重複」の漢字
「重」は、重さ、おもおもしさ、重なっていること、などを表す漢字ですが、ここでは、重ねる、重なる、繰りかえすという意味で使われています。
「チョウ」のほかに、「ジュウ」「え」「おも-い」「かさ-ねる」「かさ-なる」などの読みがあります。
「複」は、こみいっていること、ふたたび、という意味を持つ漢字ですが、ここでは、重なる、重ねる、二つ以上ある、という意味で使われています。
「フク」のほかに、「かさ-ねる」という読みを持ちます。
「重複」は、重ねるという意味を持つ漢字を二つ組みあわせることで、意味を強調していることば、ということができますね。
「重複」の類語や言い換え・似たことば
「重複」と似たことばにはどのようなものがあるでしょう。
ここでいくつか挙げていきますが、ほかにどのようなものがあるかもあわせて考えてみてください。
また、序文で提示しました、「ダブり」についてもご紹介しますのでご覧ください。
- 「反復」【はんぷく】
- 「リピート」【りぴーと】
- 「ダブる」【だぶる】
- 「かぶる」【かぶる】
「反復」【はんぷく】
運動経験がおありの方ですと、反復横跳びなんていうと馴染みがあるのではないでしょうか。
同じ内容の物事を何度も繰りかえすことを意味することばです。
「反復練習をすることで、動きを体に刻みこんでいくのだという」
「リピート」【りぴーと】
IT業界では、直前にした動作や処理、操作をもう一度実行すること、繰りかえすことを意味します。
“repeat”という単語の意味は、繰りかえす、繰りかえしていう、重ねていう、となりますので、IT用語とも大幅なちがいは見られません。
ほかに、再放送などの意味もあります。
また音楽においても、曲の頭などに戻り、繰りかえすことを、リピートの記号で表します。
「このボールペンは使い心地がとてもよかったので、リピートするだろう」
ここでは再購入、という意味で使われています。
「ダブる」【だぶる】
冒頭でもご紹介した「ダブる」ですが、こちらは英語の“double”から来たことばとして認識されています。
二つ以上のものが重なっていることをいいます。
「重複」とかなり似た意味ですが、あまりビジネスシーンなど、フォーマルな場では喜ばれないことが多いでしょう。
「趣味のガチャガチャでダブったものは、オークションで売ることにしている」
「かぶる」【かぶる】
「ダブる」と似たような使い方をすることばに、「かぶる」というものがあります。
集合写真を撮るとき、前にいるAさんが後ろのBさんを隠していることを、「かぶっている」ということがありますね。
「ダブる」と「かぶる」、どちらも正しい日本語とはいいがたいですが、一般的に使われていることばではあるでしょう。
「ダンスの演目で、娘はちょうどほかの子にかぶってしまっていてうまく見えない」
「重複」の使い方
「重複」は、「重複する」と動詞的に使う場合と、「重複を〇〇する」「重複の〇〇」などの使い方とが考えられます。
具体的には、「重複を避ける」や、「重複の恐れがある」というような使い方になります。
また、数学や医学において使われる「重複」として特別な用語もあります。
「重複」を使った例文
さらに具体的に、例文を挙げてみていきましょう。
一般的な使い方のほかに、専門用語としての「重複」の使い方も例文にしておきますので、どちらも参考になさってください。
また、自分が「重複」を使うとするとどのような場面になるか考えてみましょう。
- 「重複」の例文1
- 「重複」の例文2
- 「重複」の例文3
「重複」の例文1
「メールを見返すと、重複や蛇足がずいぶんと多いことに気づき、すこし恥ずかしくなった」
同じことばをあまり何度も繰りかえしたり、ことばは違うけれど同じ意味の文章が何度も出てきたりすると、だれてしまったり、くどく感じられることがよくあります。
文章においてそのような状況を避けるには、書き終わったあとに一度、読みかえす癖をつけるといいでしょう。
「重複」の例文2
「妹は、心臓と脳機能に軽度の重複障害を持って生まれてきたが、両親がのびのびと育てたためか、やさしい女性に育ち、裏表のない夫とめぐりあった」
肢体障害と知的障害など、二つ以上の障害を持つことを、重複障害といいます。
専門用語ですので、聞き慣れないかたも多いかもしれませんね。
「重複」の例文3
「重複するが、ここは重要なところなので何度も繰りかえし復習してほしい」
学校の先生や塾講師で、このようにいう方もいるでしょう。
学ぶことは真似ることから始まるといいますが、何度も同じ文字をなぞったり、何度も似たような計算をすることで、人は文字や計算のしかたなど、さまざまなことを身に着けてきました。
重複することは決していけないことではなく、繰りかえすことが重要であることも実に多くあります。
「重」を使ったことば
「重」を「チョウ」と読むことばはほかにどのようなものがあるでしょう。
「軽重(けいちょう)」重量の重さ、軽さ、その度合を意味します。
「貴重(きちょう)」得難いものなどで、非常に大切なさま、大切にすることを意味します。
「重宝(ちょうほう)」貴重なものとして大切にすることや、便利で役に立つことを意味します。
「慎重(しんちょう)」注意深くし、軽々しく物事を実行、決断しないことを意味します。
「重複立候補」
現在の日本の選挙では、「小選挙区比例代表並立制」という制度が採用されていることは、ご存知かと思います。
その、「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」で、ともに立候補者となることを、「重複立候補」といいます。
複数の選挙に同時に立候補することは、制度として認められています。
数学における「重複」
数学の問題で、「重複を許して」などと書いているのを見たことがありませんか。
選択肢のなかで、同じものを複数回選んでよい、という意味で「重複」が使われることはよくあります。
組みあわせや順列の問題でもよく出てくることばになっています。
「重複」は、二つ以上の物事が重なりあう、という意味でしたね。
昔は「ダブり」や「かぶり」で済ましていたことも、年齢とともに使えなくなってきていませんか。
これからは「重複」を使ってみましょう。
正しい日本語の語彙や理解を深め、一目置かれるようなことばづかいができるよう、心がけておくと、どこへ行っても困らずに済むでしょう。