「付け焼き刃」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
漫画や小説などで、修行不足のキャラを年長者が叱る、対戦相手が未熟を揶揄して恰好を付ける使われ方が多いせいで、普段の会話の中で付け焼き刃を口にするとちょっと気取りすぎな人と思われます。
その為この言葉の主な使用方法としては本の中で手抜きの見本や例題を説明する場面に記述する時などです。
「付け焼き刃」の用法は誉め言葉ではなく、例え要領よく誤魔化せたとしても何事に対しても手を抜く事は自分の未熟さが自分に対してのしっぺ返しとなる事を注意し、戒める意味の慣用句です。
目次
- 「付け焼き刃」の意味とは?
- 「付け焼き刃」の類語や言い換え・似た言葉
- 「付け焼き刃」の言葉の使い方
- 「付け焼き刃」を使った例文
- 「付け焼き刃」を使った言葉
- 「付け焼き刃」の由来・語源
「付け焼き刃」の意味とは?
つけやきばと読みます。
付け焼き刃の「け」と「き」は漢字に置き換える言葉が無く、全く同じ読み方で「付焼き刃」「付焼刃」と書く事もあります。
「付」は訓読みの「つ」、「刃」は「ば」と変わった読み方をします。
訓読みの「は」とは異なり、音読みでも表外読みでも無いです。
「付け焼き刃」の類語や言い換え・似た言葉
- 「一夜漬け」
- 「やっつけ仕事」
- 「にわか仕込み」
「一夜漬け」
一夜漬けは、お漬物の中で何年も時間をかけず一晩でお手軽に作れる食品の事で、手抜きと言えばこの言葉というぐらい有名な慣用句となりました。
テスト勉強をしていない先延ばしタイプの人が一晩で大量の知識を詰め込む時に特に使用頻度が高いです。
重要なポイントだけ頭に入れてしまおうとする為、書いてある事柄を意味のある情報としてきちんと理解して身に付けられず学習した事は早く忘れたり覚えた事に対して、「なぜそうなるのか?」と聞かれても返せなくなる事がほとんどです。
「やっつけ仕事」
全力を投入しない事です。
集中力や、やる気を欠いた状態で面倒臭い部分は手を抜きながら作業をする事です。
例えば料理のケースでの説明をしますと、きちんとレシピ通り分量を量らずに材料を勘で投入したり、他の分野のやっつけ仕事の場合だと、普通の人では書けない記事を依頼されたのに、自分で取材に出かける手間を惜しみ、ネット上に存在する情報をリライトや、ツイッターでバズっている最新のつぶやきを使わせてもらって楽をする事、これ以外にも多々あります。
「にわか仕込み」
体に染みつくまで覚えさせなければいけない技術を、形だけ習得して頭だけでやり方を記憶しているような状態なので、職人の技術や感覚を真似て再現しようとしても体の動きがついて来ない事を指すのが1つ目です。
もう1つは中途半端な調べ方、学習方法で知識を頭に入れた為、浅い理解しか出来ておらず深い部分を尋ねられると勘違いして間違った事を覚えていたなどのケースです。
「付け焼き刃」の言葉の使い方
基礎をおろそかにする人達を揶揄したりするのに使われます。
長い年月が必要な修行を短期間で要点だけ抑えて終わらせようとしたりすると表面的には技術を習得したように見えても実は使いこなせていなかったり、修行をめんどくさがらず全部やっておけば陥らないような凡ミスを連発したりします。
また、モノ作りに必要な工程を省いたせいで、全工程を一つも省かずに作られた真正の品物に比べて、すぐに壊れたりします。
このような事を「付け焼き刃が剥がれる」というのがポピュラーな使い方です。
「付け焼き刃」を使った例文
- 「付け焼き刃」の例文1
- 「付け焼き刃」の例文2
- 「付け焼き刃」の例文3
- 「付け焼き刃」の例文4
- 「付け焼き刃」の例文5
「付け焼き刃」の例文1
今までの球が見切られて全て打たれる事に対策が必要なのは分かりますが、苦し紛れの付け焼き刃でロクに修練も積んでない新魔球に頼って勝てるほど甘くないです。
「付け焼き刃」の例文2
あまり知らないのに話を合わせる為に、あの作品が好きだと付け焼き刃の知識で語っても、作品をよく知っている人からは、エアプなのがバレてしまいます。
「付け焼き刃」の例文3
間に合わせの突貫工事で覚えた事は長期記憶となって知識が身に付く事も無く、短期記憶として零れ落ちて消える所詮付け焼き刃でしかないのです。
「付け焼き刃」の例文4
付け焼き刃の知識でプログラミングするから、バグ取りが出来ていない所があるし、そこを修正して動作するようになっても、とても分かりにくく整理されていないコードの書き方なので作った本人以外にどこがどの部分の動作をしているのかが理解できず、別のプログラマー達が大迷惑します。
「付け焼き刃」の例文5
急遽、高名な人達が集まるパーティーに招待されたので、付け焼き刃でテーブルマナーを頭に叩き込んだが、幼い頃から習慣化している訳でもないので気を抜くとうっかり地が出そうで心配です。
「付け焼き刃」を使った言葉
- 「付け焼き刃の知識」
- 「付け焼き刃の対症療法」
「付け焼き刃の知識」
深く理解して自分の頭の中に自分流の解釈で十分な解説が付け加えられるまでじっくり習熟せず、見様見真似でその道の達人のやっている事から分かりやすそうな部分だけ盗んで何となく理解した気になる事などです。
覚え方の基礎が出来ていないので応用は効かせようとすると、やり方が分からなくなり、ちょっとした事で忘れる事も指し示す言葉です。
「付け焼き刃の対症療法」
いろいろな場面で使われるこの言葉を説明する前に「対症療法」の意味から説明します。
病気に対してピンポイントで効き目のある治療方法が使えない時に、使われる気休めよりは効果がある程度の治療方法です。
その場しのぎで簡単に用意できる有り合わせの材料で、とりあえず効果がありそうな方法、根本的に治りそうにない時に痛みを和らげるだけの方法、体の抵抗力に任せる為、体に良さそうな事だけでもしておくなどの全面的な快癒に繋がらない事全般です。
「付け焼き刃の対症療法」と言う場合は、システムの改良を例にすると、処理が煩雑で改修するのに手間取るプログラムを全部削除して、保守性の高いコードに全面的につくり直す事を嫌がり後で困る事が山積みになりそうなのに、先延ばししながら問題が発生するたび少しずつ直そうとする事です。
法律も例に挙げてみます。
古い時代に決められた法律が時代が進んで技術的に想定されていない欠陥や、先の時代に問題が確実視されるような事態を前にして、新しい時代に合わせる為の全部の問題箇所に大幅な改正をせず、解釈を曲げたり、新しい法律を少し付け足したりするだけで根本的に解決出来ていないような対策も「付け焼き刃の対症療法」に入ります。
「付け焼き刃」の由来・語源
元々は刀鍛冶用語です。
付け焼刃ではありえない優れた本物の日本刀は技術的に複雑な工程が必要です。
硬さと切れ味だけを追求すると、どれだけ硬さを高めようとしても、脆くて折れやすいという欠点は解消できません。
熾烈なぶつけ合いで曲がったり折れたりさせない工夫も必要です。
粘土の塗り方や焼くときに独特な工夫を施したり、「折り返し鍛錬」という作業で余計な成分を外に出します。
これ以外にも説明を聞いても素人には理解出来ないような複雑な作業もする事で、マルテンサイトという切る為の硬さと、フェライト、パーライトという折れる事も曲がる事にも耐性を持った見事な日本刀になります。
それに比べて付け焼刃は省いてはいけない手順を省いたりするせいで粗悪品の簡単に切れず折れ曲がる日本刀とも呼べない表面上だけの物です。
なお、折り返し鍛錬は2回まで短縮しても大丈夫な事が科学的に明らかになったので、本来の日本刀製作過程では何回も行う折り返し鍛錬の回数を減らす事は付け焼刃とはなりません。
かつては高度な芸術品で職人秘伝の技術の集大成たる日本刀の事を指していた為、その性能の凄さと、手を抜いたやっつけ仕事で作った刀の違いが分かる人でなければ付け焼き刃という慣用句の意味が理解出来なかったであろう事を考えると、教育が誰でも受けられるからこそ、日本刀から派生した慣用句を当たり前のように理解できるのは教育が行き届いている事の素晴らしさを象徴している言葉でもあります。