「眉を下げる」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
むずかしい依頼に困惑したり、無茶なことをいわれて不快に思ったり、はたまた子どもの無邪気な笑顔についつい顔がほころんだり、そんなときに、どのようなことばで表現することができるでしょう。
ここでは「眉を下げる」についてご紹介します。
目次
- 「眉を下げる」の意味とは?
- 「眉を下げる」の類語や言い換え・似たことば
- 「眉を下げる」の使い方
- 「眉を下げる」を使った例文
- 「眉を下げる」と「眉をひそめる」の違い
- 「眉」を使ったことば
「眉を下げる」の意味とは?
怒りを表す「眉を上げる」の対義語としてとらえられている、とする説もありますが、一般的には「眉を下げる」ということばは慣用句としては認められていません。
しかし「眉を下げる」を使った文章から、人は感情を表すのに表情や体の一部を使うことがありますが、これもそのうちの一つ、ととらえられます。
困ったり、呆れたり、心が落ち着いたりしたときに、そのさまを意味することばとして使うことがあるようですね。
- 「眉を下げる」の読み方
「眉を下げる」の読み方
「まゆ(を)さ(げる)」と読みます。
「眉」は人の目の上にある眉毛のほか、へりやふち、年寄りのことも意味する漢字で、ほかに、「び」「み」「ふち」「としよ-り」などの読みがあります。
「下」の字には、「くだ-る」「か」「げ」など多くの読みがあります。
「眉を下げる」の類語や言い換え・似たことば
「眉を下げる」を誤用とする見方も多いですので、慣用句などとしてよく知られていることばを紹介します。
似たことばを使うことで、間違った日本語と取られるリスクを回避することができますね。
日本語のなかには、昔は誤用といわれていたが、大衆に広まったがゆえに正しいと認められるケースが多々ありますので、さまざまなことばを知っておくといいですよ。
- 「目尻を下げる」【めじりをさげる】「まなじりを下げる」【まなじりをさげる】
- 「眉を曇らす」【まゆをくもらす】
- 「眉を落とす」【まゆをおとす】
「目尻を下げる」【めじりをさげる】「まなじりを下げる」【まなじりをさげる】
「眉を下げる」を誤用とするなかには、「目尻を下げる」「まなじりを下げる」を間違ったのではないか、とする向きが多くあります。
「目尻・まなじりを下げる」ということばは、締まりのない顔になることや、でれでれとすることをいいます。
「眉を下げる」とはすこし意味あいが違うようですが、こちらは慣用句として一般にも認められています。
「彼女を見つけると、あいつはあからさまに目尻を下げて、そのすがたを目で追っていた」
「眉を曇らす」【まゆをくもらす】
心配なことがあるようすや、不快なできごとがあり、顔をしかめるさまを意味することばです。
「眉を下げる」の意味にもよく似ているといえるでしょう。
誤用だと思われたくない場面では、「眉を曇らす」を使ったほうが無難といえます。
「彼は平気だと笑っていたが、骨にヒビが入っていたと聞き、眉を曇らせた」
「眉を落とす」【まゆをおとす】
「眉を下げる」とよく似たことばに思えますが、こちらは結婚するために眉毛を剃り落とすこと、妻となることを意味します。
たとえば音量などは、下げる、とも落とす、ともいいますが、ここでは間違えるとまったく意味が通じなくなりますので、気をつけてください。
「三十路をこえてようやく眉を落とすことになり、両親の顔にも安堵の色が浮かんでいた」
「眉を下げる」の使い方
上述のとおり、あまり慣用句としては受けいれられていない「眉を下げる」ですが、あえて使うのであれば、「〇〇のように眉を下げる」などのかたちで使うといいでしょう。
〇〇に感情を表すことばを入れることで、「眉を下げる」が動作を意味することばとして受けいれられるでしょう。
日常会話ではあまり使うシーンがないかもしれませんが、創作のなかや、メールや手紙など、書面でのやりとりのなかでは使うこともできそうです。
「眉を下げる」を使った例文
それでは例文を見ていきましょう。
具体的な文章のなかでどのように使われているかを見ることで、自分にとってそのことばが使いやすいかどうか、使うとするとどのようなシーンかを考えることができます。
ビジネスシーンや目上の方への言葉遣いは気をつけなければなりませんが、一方で、ことばを自由に扱ってみることで、より語彙の幅が広がるということもあるかもしれません。
- 「眉を下げる」の例文1
- 「眉を下げる」の例文2
- 「眉を下げる」の例文3
「眉を下げる」の例文1
「彼女は困ったように眉を下げて、返事をする代わり、薄く笑った」
〇〇に困った、を入れた場合の例文になります。
困ったように、が枕詞になることで、眉を下げた女性の顔が、いかにも困っている人らしく感じられます。
目は口ほどにものをいう、といいますが、眉も十二分にものをいいます。
「眉を下げる」の例文2
「弟はようやく助けが来たといわんばかりにほっとした顔をして、ぐっと眉を下げた」
安心した、落ち着いたことを、眉が表しています。
ここでは〇〇のような、のかたちは取っていませんが、「ほっとしたように眉を下げて」とすると、当てはまりますね。
とくに、眉に特徴のある人や、安心したときに眉がぐっと下がることが印象的な人物だということが事前に書かれていたりわかっていると、この場面での「眉を下げる」が実感のこもったものになるでしょう。
「眉を下げる」の例文3
「呆れた、と彼女は八の字に眉を下げていった」
「呆れたように眉を下げた」と書くとわかりやすいでしょうか。
彼女が相手やものごとに対して呆れたようすを、「眉を下げる」が強調しています。
シーンによってかなり印象の変わることばではありますが、自分が日常のなかで「眉を下げる」としたらどんなときだろう、と考えると、案外むずかしくなく、使ってみることができそうですね。
「眉を下げる」と「眉をひそめる」の違い
「眉をひそめる」ということばを聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。
慣用句として一般にも広く知られており、心配なことや、不快なことがあるときに使われます。
上述の類語表現のなかでは、「眉を曇らす」にも似た表現ですね。
そもそも「眉を下げる」にはことばとして明確な意味が定義されていませんが、ほっとしたときにも使われる、というところが、「眉をひそめる」との違いといえるでしょう。
また、「眉をしかめる」は、「顔をしかめる」の誤用ですので、こちらもあわせて覚えておきましょう。
「眉」を使ったことば
顔の一部を使った慣用句はたくさんありますが、「眉」についても多くの慣用句があります。
人は、他人とのコミュニケーションのなかで生きていく生きものですから、とくに顔についての慣用句が多いのもうなずけますね。
- 「眉を読む」
- 「眉に唾をつける」
- 「眉に火がつく」
「眉を読む」
眉は人の心を表すといっても過言ではありません。
眉の動きで心の動きまで相手に伝わってしまうということは実際に起こりえるでしょう。
嘘をつくとかならず右眉が動いたり、怒ったときには黙っていても眉があがったりするものです。
そのように、眉を見ることで相手の心を読むことを、「眉を読む」といいます。
「眉に唾をつける」
「まゆつば」なんてことばを聞いたことはありませんか。
その昔、眉に唾をつけると狸や狐に化かされることがないと信じられていたことから、騙されないように用心することを、「眉に唾をつける」といいました。
「まゆつば・まゆつばもの」とは、信用できないもののことをいいます。
「眉に火がつく」
単純に眉に火がついたと考えてみてください。
焦りますね。
そしてとても危険なことでもありますね。
そのままの意味です。
身の危険が迫っているようすや、差し迫った危険や問題があることを意味することばです。
危険とはいえ眉だけで済めばいいですが、延焼しないために、なにか対策や処置が必要になるでしょう。
「眉を下げる」は、慣用句として認められたことばではないものの、困っているようすや呆れているようす、安心したようすを表すことばとして使われることがある、ということがわかりました。
正しい日本語とは時代とともに移ろいゆくもの。
いろんなことばを自分なりのものさしで吟味し、使い分けてみてください。