「舵を切る」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「舵を切る」の意味や類語を紹介します。
さらに「舵を切る」の使い方や例文を紹介して行きます。
目次
- 「舵を切る」の意味とは?
- 「舵を切る」の類語や言い換え・似た言葉
- 「舵を切る」の言葉の使い方
- 「舵を切る」を使った例文
- 「舵」の仲間
「舵を切る」の意味とは?
「舵を切る」という言葉を耳にした事があるでしょうか。
ビジネスシーンでは良く耳にする言葉だと思います。
何かしらの方向性を決める時に「舵を切る」という言葉を使う事があります。
そこで「舵を切る」の読み方や意味を紹介します。
- 「舵を切る」の読み方
- 「舵を切る」の意味
「舵を切る」の読み方
「舵を切る」は「かじをきる」と読みます。
「舵」は「かじ」と読み、船の方向を決めるハンドルの事を意味します。
つまり「舵を切る」は「運行中の船の方向を変える事」を意味します。
船に乗っている乗組員が「舵を切る」という言葉を使う時は、まさにそのままの意味になります。
これからハンドルを操って、進む方向を変えるという合図に過ぎません。
「舵を切る」の意味
「舵を切る」は、船の運航中に使う言葉ですが、そこから意味が広がって組織の方向性に関する言葉になっています。
そのため「舵を切る」には、会社などの組織が、これから歩んでいく方向性を変える、方針を大きく変更するといった意味があります。
企業などの組織は、社会という大海原に浮かぶ船に例えられる事があります。
従業員は船員で、社長はキャプテンになります。
キャプテンの指揮が的確でないと、船は間違った方向に進みますし、船員が手を抜いたら沈没してしまうかもしれません。
船と企業などの組織の親和性の高さから、「舵を切る」という言葉が組織の方向転換に用いられています。
「舵を切る」の類語や言い換え・似た言葉
「舵を切る」の類語や、似た意味の言葉への言い換えを見て行きましょう。
どのような言葉と「舵を切る」が似ているかを知ると、言葉の意味がより理解しやすくなるかもしれません。
- 「針路を変更する」【しんろをへんこうする】
- 「方向性を変える」【ほうこうせいをかえる】
- 「別の道を選ぶ」【べつのみちをえらぶ】
「針路を変更する」【しんろをへんこうする】
「舵を切る」事により、船の進む「針路を変更する」事ができます。
そのため「舵を切る」は「針路を変更する」という言葉に言い換える事ができます。
ちなみに「針路」は「羅針盤」が示す方向という意味があり、船や飛行機の進む方向の事を意味します。
そのため自動車を運転してる人が「ハンドルを切る」行為によって「針路を変更する」とは言いません。
また、学生が進学先を変更する場合は「進路を変更する」となり、「針路」が「進路」になります。
「方向性を変える」【ほうこうせいをかえる】
「舵を切る」事により「針路を変更する」事になりますが、一般的な言葉にすると「方向性を変える」という言葉になります。
それまでとはやり方や方針を変える事を、「方向性を変える」と言います。
「方向性を変える」のは組織だけなく、個人も同じです。
仕事中心で生きていた人が、結婚を真剣に考えて婚活中心になる事、または仕事が終わったらすぐに家に帰っていた人が、飲み会などに積極的に参加するようになる事も、「方向性を変える」と言えるでしょう。
「別の道を選ぶ」【べつのみちをえらぶ】
「別の道を選ぶ」という言葉も、「舵を切る」に似た意味の言葉です。
「別の道」ですから「方向性」よりも、大きな変更をする事になります。
「大きく舵を切る」という言葉の方が、「別の道を選ぶ」に近いかもしれません。
恋愛における「別の道を選ぶ」は、別れを意味する事になりますし、仕事上で「別の道を選ぶ」場合は、それまで付き合いのあった取引先を変更するなどを意味します。
個人で言えば「仕事を変える」「職場を変える」「生き方を変える」など、エポックメーキングな判断になるでしょう。
「舵を切る」の言葉の使い方
「舵を切る」は大きな組織に大きな変革や方向転換があった時に使われる言葉です。
例えば歴史を振り返って書かれた文章には、「舵を切る」という言葉が頻繁に使われます。
江戸時代の初期に、諸外国との通商を出島に絞った、通称「鎖国」制度は、それまでの幕府の方針から大きく「舵を切る」ものでした。
またビジネスシーンでも、富裕層向けの商品を販売していた企業が、庶民向けの安い商品を販売する方向に「舵を切る」という事もあります。
国の歴史が変わるような出来事があった時、企業のイメージが大きく変わる時は、必ず指導者が「舵を切る」行為をしています。
「舵を切る」を使った例文
「舵を切る」を使った例文を見て行きましょう。
「舵を切る」はどのような場面で、どのように使われるのかをチェックしてみましょう。
- 例文1
- 例文2
例文1
ビジネスシーンでの「舵を切る」を使った例文を見て行きましょう。
組織が大きく方向転換する時に「舵を切る」という言葉を使う事が多いので、「舵を切る」を使った文章は作りやすいと思います。
「わが社はA社との合併という『大きく舵を切る』決断をした。
社員のみなさんも、どうかこの決断にご理解ください」、「御社は数年前に『大きく舵を切る』決断をした事で、急成長を遂げたと聞きます。
ぜひその決断についてお聞かせください」「ここ数年、業績が悪化した我が社が何も手を打たなければ、このままではじり貧になってしまう。
ここで『舵を切る』事が、会社存続のためには欠かせない」という感じです。
会社の存亡をかけるような決断をする時に、「舵を切る」という言葉を使います。
例文2
歴史的な出来事を語る時も「舵を切る」を使う事が多いです。
そのような場面を「舵を切る」を使った文章にしてみましょう。
「黒船が来航してから、日本人の意識は大きく分かった。
その結果、幕府を倒して、新政府を作るなど、日本の歴史は『大きく舵を切る』事になった」、「関ヶ原の戦いで、東軍と西軍が天下分け目の戦いを行った。
東軍の勝利により、日本は大阪から東京中心の世の中に『大きく舵を切る』事になった」という感じです。
日本史や世界史は、「舵を切る」出来事だらけですので、「舵を切る」を使った例文を作る材料がたくさんあります。
「舵」の仲間
最後に船のハンドルにあたる「舵」の仲間のような言葉を見て行きましょう。
様々な乗り物の、進む方向を変えるような道具が登場します。
- 「ハンドル」【はんどる】
- 「オール」【おーる】
- 「指揮棒」【しきぼう】
「ハンドル」【はんどる】
「ハンドル」は乗り物を操作するために欠かせない部分で、主に手で握る部位を指します。
自動車のハンドル、電車や列車のハンドル、自転車のハンドルなど、様々な乗り物の操作に「ハンドル」が欠かせません。
また「ハンドルを握る」という言葉には、方向性を決める、乗っている人の命を預かるという意味が含まれる事があります。
「舵を切る」の「舵」と、とても似ている言葉です。
「オール」【おーる】
ボートを漕ぐ時に、方向性を決めるのが「オール」です。
日本語で「櫂」とも読みます。
「オールを操る」「オールを握る」という言葉には、ボートを操るという意味もありますが、「人生の進路を決める」という意味も含まれています。
またボートはそれほど大きな乗り物ではなく、一人用のボートもありますので、「オールを操る」という時は、一人の人生の方向性を決めるという意味もあります。
「指揮棒」【しきぼう】
オーケストラの指揮者が握るのが「指揮棒」です。
船で言えば「舵」、自動車なら「ハンドル」にあたる道具で、オーケストラがどのような音色を出すのか、すべて決める事ができます。
企業や国の行く末を、指導者が決める事を「タクトを振るう」などと言います。
「タクト」は「指揮棒」の事ですから、「舵を切る」と似たような意味になります。
「舵を切る」の言葉の意味、そして使い方や例文をチェックしました。
「舵を切る」は、比較的大きな組織が方向を変える時、方針転換する時の様子を言葉にしたものだという事が分かりました。
テレビやネットのニュースなどをチェックしていると、企業や国が「舵を切る」場面を目にする事になるかもしれません。