「端々」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語には、音の響きが似ていたり、読み方は同じで漢字が違う言葉等がいくつも存在します。
今回ご紹介する「端々」も、似ている別の言葉と混同して、どちらが正しいかわからなくなってしまう方も多い様子。
今回は、「端々」の意味と、よく混同されがちな「節々」との違いや使い方も解説します。
目次
- 「端々」の意味とは?
- 「端々」の類語や言い換え
- 「端々」の使い方
- 「端々」を使った例文
- 「端々」を使った言葉
- 「端々(はしばし)」と「節々(ふしぶし)」の違い
「端々」の意味とは?
「あちこち」や「ちょっとした部分」という意味です。
「端々」とは本来「端端」と書きますが、日本語は同じ漢字を繰り返す時にはその字の代わりに踊り字である「々」を使用しますので、表記は「端々」となります。
「端」とは、物事のはしの部分を指します。
へりであったり、はしであったり、ふちの部分です。
それが二度繰り返されることによって、「あちこち」を示したり、ちょっとした部分のことを示します。
あちこちというと、なんだか「隅々」や後の項目でも出てくる「節々」とも言えるような気がしますが、厳密には違います。
「端々」というのは、いわゆる「はしっこ」を指す言葉です。
物事の中心や根幹などではなく、あくまでも端です。
物事について重要でない、取るに足らない部分ということです。
もっと露骨に表現するなら、「無駄な部分」や「余りの部分」、「余韻」などとも言えます。
- 「端々」の読み
「端々」の読み
「はしばし」と読みます。
古文では「つまづま」と読んだり「はつはつ」と読む事もあります。
現在は「はしばし」が一般的な読みとなりますので、読み方には注意しましょう。
「端々」の類語や言い換え
「端々」にも他に似たような類語や言い換えがあります。
そのうち2つをご紹介します。
- 「些細」【ささい】
- 「言葉尻」【ことばじり】
「些細」【ささい】
意味は「取るに足らない程細かい、もしくはわずかなこと」というものです。
「取るに足らない」という部分と、「わずかなこと」というのが「端々」と似ています。
取るに足らない程、というのは特別気にする程の事ではないという事です。
「言葉尻」【ことばじり】
厳密には「端々」とは意味が異なります。
「端々」は様々な物事の「ちょっとした部分」を指しますが、「言葉尻」は「その言葉の最後の方」を指します。
言葉についてだけの指定です。
また、もうひとつ意味があり「相手の失言や適切さを欠いた言葉の箇所」を指す事もあります。
「端々」と共通する部分というのは、「言語表現の中で、内容的には大切ではない部分を指す」という事です。
「端々」の使い方
例えば、普段の生活で誰かと会話するときに、その人の言葉の癖や声色、仕草などが気になったことはありませんか?
はっきりと何か言われたわけでもなく、しかも本題とは関係のない事であっても、会話を交わしているうちに何か自分への威圧感や嫌悪感、または好意などを感じとったりすることはないでしょうか。
そういった時に「端々」を使います。
会話のメインは内容や交わした言葉そのものです。
しかし、その言葉以外にも会話している時には、本筋の話題とは関係ない部分も目に入ったりするものです。
そういった相手の表情や目線・仕草などの動き・使われている言葉から受ける印象など、本筋とは関係のない端の部分、ちょっとした部分を指して「端々」を使う事が出来ます。
「端々」を使った例文
それでは実際に例文をもとに、どういったニュアンスで使用する言葉なのか解説していきます。
- 「端々」の例文1
- 「端々」の例文2
「端々」の例文1
「上司の発する個人成績発表の際の言葉の端々に威圧感を覚えた」
例えばこの例文では、直接的に暴言を吐かれたり叱責を受けたわけではないのに、受け取り手は威圧感を覚えています。
本題は「個人成績の発表」であって、上司がどういった言葉を発したかはあまり重要ではありません。
しかし例えば、会社としてはあまり成績が良くない個人の結果を言う際に「今月も低い成績だ」と言うのと、「今月は低い成績だ」と言われたら、受け取り手はどう感じるでしょうか。
「今月も」と言われた方が、なんとなく威圧感を覚えるものです。
本人にはそういう意図が無くても、受け取り手にとってはそういった接続詞や言葉の使い方から色々な解釈をしてしまうものです。
「端々」の例文2
「彼女の動作の端々に、どことなく気品がある」
この例文だと、動作について「端々」という言葉が使われています。
動作というのは、何かをするために動かす手足や体の動きの事です。
髪をかきあげるには手を使って髪を撫で上げるように動かしたり、立ち上がるには足腰に力を入れて座っている姿勢から足を地面につけて立たせたりします。
そういった動作にはあまり関係のない部分、動作をするときに表れるちょっとした部分を指して上品さや気品を感じるという文章です。
たとえば髪をかきあげるときに指が伸びているかどうかや、荒いのか丁寧なのかといった細かく、かつ、取るに足らない部分です。
人は、相手のそういったメインの部分とは関係のないちょっとした部分に人の性格を感じとったり、色々な印象を抱いたりするものです。
「端々」を使った言葉
「端々」を使ったよく使われる言いまわしを2つご紹介します。
- 「言葉の端々」
- 「態度の端々」
「言葉の端々」
よく使われる言いまわしで、「ことばのはしばし」と読みます。
相手から発せられる言葉の中でも、本筋とは関係のない部分の言葉遣いや、使う単語を指しています。
その単語の特徴や、傾向から相手の様子を察知したり、内情を読みとったりする場合に「言葉の端々に○○を感じる」といったような言い回しをします。
「態度の端々」
こちらも「言葉の端々」同様、よく使われる言いまわしとなります。
読み方は「たいどのはしばし」です。
意味合いとしては、「見せる態度のちょっとした部分」という事です。
例えば、大きく腕を上に振り上げるにしても、すばやく振り上げるのと、ゆっくり振り上げるのでは受ける側の印象が変わります。
しかし、どちらも腕を上に振り上げることには変わりません。
その「振り上げる」というメインの行為・動作とは違い、早く振り上げるか遅く振り上げるかの速度の部分というのは、あまり重要なことではありません。
特に細かく気にする必要のない、いわばおまけのような部分です。
それが、「態度の端々」であり、そういった細かいおまけの部分から、受け取り手が何かを感じとったり、思い込んだりすることもあります。
「端々(はしばし)」と「節々(ふしぶし)」の違い
「端々(はしばし)」と「節々(ふしぶし)」では、音の響きが似ていることもあって意味を混同してしまう方も少なくありません。
実際ないは意味が違う言葉です。
「端々」というのはその文字が表すように、「ちょっとした部分」や「はしの部分」を指しますが、「節々」というのはその物事を成り立たせている関節部分であると解釈しましょう。
関節、つまり区切りです。
関節や区切りというのは、きちんとなければその物事が成り立ちません。
しかし、「ちょっとした部分」というのは、メインの部分とは全く関係のない余分な部分であるため、別になくても物事や内容は成り立つのです。
その違いをしっかり把握しておきましょう。
「端々」という言葉はよく耳にはしますが、一体どういう事かと聞かれると説明に困る人が多い事でしょう。
最後の項目でも取り上げましたが、「節々」と混同している人も少なくありません。
厳密には違うかもしれませんが、「端々」とは本筋やメインの内容とは関係のない無駄ともいえる部分だと解釈するのがおすすめです。
実際に使ってみたり、書籍でどのように使われているかを勉強するのも参考になりますよ。