「津々浦々」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
旅をするのは好きですか?
いつかは、全国津々浦々を旅して回りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
住み慣れた場所を離れ、見知らぬ場所へ旅をすると、その土地の人との出会いや美味しいものなどを知ったりと、今まで知らなかった発見があります。
「津々浦々」を訪ねてみることで、違う自分と出会うかもしれませんね。
目次
- 「津々浦々」の意味とは?
- 「津々浦々」の類語や言い換え・似た言葉
- 「津々浦々」の言葉の使い方
- 「津々浦々」を使った例文
- 「津々浦々」を分解して解釈
- 「津々浦々」の対義語
- 「津々浦々」を英語でいってみよう
「津々浦々」の意味とは?
「津々浦々」とは、いたるところの港や海岸、また全国いたるところ、国じゅう、という意味です。
大陸の国では、隣国と接する地域がありますが、日本は島国であるがゆえ、隣国と接する地域がありません。
四方を海で囲まれているため、国の端は必ず港や海岸に行き着いてしまいます。
ですから、「津々浦々」とは、国じゅうの港や小さな入り江を含む海岸まで、つまり、隅から隅までという意味になります。
- 「津々浦々」の読み方
「津々浦々」の読み方
「つつうらうら」と読みます。
「つづうらうら」と読むこともあります。
「津々浦々」の類語や言い換え・似た言葉
「全国いたるところ」「国じゅう」という意味を持つ「津々浦々」の類語や似た言葉を集めてみました。
- 「北から南」【きたからみなみ】
- 「各方面」【かくほうめん】
- 「四方八方」【しほうはっぽう】
「北から南」【きたからみなみ】
全国。
国じゅう。
「北から南まで国じゅうを行脚した」
「北から南」とは、「津々浦々」と似た表現で、隅から隅までという意味を持った表現で、「網羅(もうら)」と似た意味を持ちます。
日本の形は、比較的縦に長い形をしていますよね。
このことより、上にあたる北から、下にあたる南までといった表現をするようになりました。
日本の特徴から表現されるようになった「津々浦々」とよく似ていますね。
「各方面」【かくほうめん】
それぞれの方向や地域。
それぞれの分野や立場。
「彼は新しい事業の準備のため、各方面をとびまわっている」
「各方面」の「各」とは、めいめい、ひとつひとつ、おのおの、という意味です。
「各方面」は、場所だけではなく、物事を広い範囲にわたって行うことに対して使うことが多い言葉ですね。
「四方八方」【しほうはっぽう】
あらゆる方面。
「うわさが四方八方に広がった」
「四方八方」の「四方」は、東西南北という意味で、「八方」とは、東西南北に、北東・北西・南東・南西を足した方角ということです。
つまり、あらゆる方向に、津々浦々にという意味になります。
「津々浦々」の言葉の使い方
「全国津々浦々」「日本津々浦々」などのように、「津々浦々」は、国や地域と結びつくことが多い言葉なので、「東京都津々浦々」と限定しても使えますし、「世界津々浦々」と広範囲の意味でも使える便利な表現です。
場所というだけではなく、広範囲に知れ渡る、浸透するというような場合にも使われることが多い表現ですね。
- 「全国津々浦々」は、同じことをいっているから間違った使い方なの?
「全国津々浦々」は、同じことをいっているから間違った使い方なの?
「津々浦々」とは、国じゅうという意味があるから、同じ「全国」と重なるとおかしいのではないか?と思う方もいるかもしれません。
しかし、「全国津々浦々」といってもおかしい表現ではありません。
「津々浦々」のもともとの意味は、いたるところの港や海岸でした。
つまり、「全国のいたるところの港や海岸」という表現になるので重言ではないのです。
「津々浦々」を使った例文
- 「津々浦々」の例文1
- 「津々浦々」の例文2
- 「津々浦々」の例文3
- 「津々浦々」の例文4
「津々浦々」の例文1
「彼の犯罪は、全国津々浦々まで知れ渡った」
「津々浦々」の例文2
「私は旅行が趣味で、全国津々浦々の温泉地に行ったことがあります」
「津々浦々」の例文3
「そのコメディアンは日本国内だけではなく、世界津々浦々まで人気者になった」
「津々浦々」の例文4
「全国津々浦々から強豪校が集まる全国高校野球選手権大会は、高校球児の憧れの舞台だ」
「津々浦々」を分解して解釈
「津々浦々」は、略さないで書くと「津津浦浦」。
この「津々浦々」を「津々」と「浦々」に分解して、その意味を深く解釈してみましょう。
- 「津々」
- 「浦々」
- 「津々」と「浦々」の「々」
「津々」
「津々」の「津(つ)」とは、舟着き場、渡し場、港の意味を持ちます。
「河津(かしん)」というと、河岸にある港、また、河の渡し場という意味です。
「津波(つなみ)」も港に押し寄せる波ですよね。
港がふたつ重なる「津々」とは、港という港、すべてということです。
「津々(つつ)」と「津々(しんしん)」
「興味津々(きょうみしんしん)」は、「津々浦々」と同じ漢字が使われていますが、読み方も意味も違うものになります。
「津々(しんしん)」の場合は、あふれ出る、次々とわき出るさまをいったものです。
「津」という漢字には、水分がいきわたるさまをあらわす「うるおう」といった意味も持ち合わせた漢字なのです。
「浦々」
「三浦」「霞ヶ浦」など浦の字がつく地名は全国津々浦々にありますよね。
この「浦」とは、海や湖が湾曲して陸地に入り込んだ所、入り江、海辺、浜という意味です。
つまり、「浦々」とは、そのような海岸いたるところという意味になります。
「浦々」は独立して「いたるところ」という意味でも使われています。
いたるところまで知れ渡ることを「浦々まで知れ渡る」とも表現します。
「津々」と「浦々」の「々」
「々」は、記号であって文字ではないため、読み方は存在しません。
「津々」や「浦々」のように同じ文字を繰り返して書く時使う文字を俗に「踊り字、躍り字(おどりじ)」と呼びます。
「同の字点」「ノマ点」と言われることもあります。
「々」の他には、「ヽ」「ゝ」などがあります。
もしこの字をパソコンで変換したい場合、「おなじ」と打つと出てきますよ。
「津々浦々」の対義語
「津々浦々」の対義語は、辞書には載っていません。
しかし、「国じゅう」「隅々まで」をキーワードに、「津々浦々」の対義語をあつめてみました。
- 「局所的」【きょくしょてき】
- 「地域的」【ちいきてき】
- 「一部」【いちぶ】
「局所的」【きょくしょてき】
「局所」とは、全体の内のある限られた一部分、局部という意味を持つ言葉です。
部分的といった意味になるので、国じゅうといった「津々浦々」とは反対の意味を持つ言葉になります。
「地域的」【ちいきてき】
地域とは、特定の地域に関係があるか、制限されている様子をあらわす言葉です。
広範囲ではなく、狭範囲ということで、「津々浦々」とは逆の意味を持った言葉ですね。
「一部」【いちぶ】
一部分、ある部分という意味の「一部」は、全部、全体の対義語です。
「津々浦々」は、全部という意味を持つので、一部は反対の意味を持っているのがわかります。
「津々浦々」を英語でいってみよう
- “all over the country”
- “from coast to coast”
“all over the country”
“The news report spread all over the country.”(その報道は、津々浦々に知れ渡った。)
“country”とは、国という意味です。
つまり、“all over the country”は、国じゅう、つまり、「津々浦々」と同じ意味になります。
“from coast to coast”
“He travels from coast to coast for taking pictures.”(彼は写真を撮るために津々浦々まで旅をした。)
“coast to coast”とは、太平洋岸から大西洋岸まで、つまり全国すべて、という意味です。
日本では、港や海岸という意味の「津々浦々」と表現しますが、アメリカでも同じような表現をするのですね。
「津々浦々」の意味・読み方・類語などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
「津々浦々」は、日本の国の特徴を表していたのですね!このように、普段何気なく使っている言葉でも、その成り立ち、意味を改めて知ることによって、深い使い方ができるのではないでしょうか。