「恐察」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「恐察」とは、他人の事情をへりくだって推察する謙譲語のことです。
「恐察」という言葉の意味・読み方・言い換え・類語・使い方・例文について、詳しく解説していきます。
目次
- 「恐察」の意味とは?
- 「恐察」の言い換え
- 「恐察」の類語
- 「恐察」の使い方
- 「恐察」を使った例文
- 「恐察」を分解して解釈
「恐察」の意味とは?
「恐察」とは、他人の事情や状況をへりくだって推察する謙譲語のことです。
「恐察」の現代日本における使用頻度は減少していますが、「恐れ多くも(畏れ多くも)推察する」という謙譲語の意味合いがあり、自分よりも目上の立場の人や身分の高い人の事情・状況・気持ちについて推察する時に使うことができる言葉になっています。
推察とほぼ同じ意味の謙譲語として使われる言葉に「拝察(はいさつ)」もあります。
「Aさんのご心情を恐察するに余りある」という文章は、「Aさんのご心情を推察(推測)するに余りある」という文章よりも強い敬意・謙譲の念が込められた文章ということができ、「相手に対する細やかな推察の心配り・気遣い」をそれとなく示す場合に文語体(書き言葉)として恐察を効果的に用いることがあります。
謙譲語の恐察という言葉の前提には、「私などが貴方について推察・推量することは恐れ多いのですが〜」という但し書きがついていると考えることができます。
- 「恐察」の読み方
「恐察」の読み方
「恐察」の読み方は、「きょうさつ」になります。
恐察の「恐」は「恐れ(おそれ)」のことですが、この場合の恐れは「幽霊・化物・怖い人(粗暴な人)などが恐ろしい」というよりは、「畏れ多い(おそれおおい)・畏まってしまう(かしこまってしまう)」というニュアンスになっています。
「恐(きょう)の恐れ」は、「(身分の高い上位者および年齢・立場が目上の人に対する)畏れ」として解釈すると「恐察」の意味が分かりやすくなります。
恐察の「察(さつ)」は、「観察・推察・省察」などと同じで「広義の見ること」を意味していて、恐察においては相手のことについて推し量る「推察」とほぼ同じ意味合いになっています。
「恐察」の言い換え
「恐察」の言い換えとして、「推し量る(推し測る・推し計る)」や「勘ぐる」「当てずっぽう」などを考えることができます。
「恐察」というのは、自分より目上の人や身分が高い人の事情・心境・状況などについて推し量って推測することですから、「推し量る(推し測る・推し計る)」という言葉で言い換えることができます。
「恐察」の恐れ多く(畏れ多く)も推察するという言葉の意味には、相手の心情や事情などを自分の目線・立場から「勘ぐる」というニュアンスがあります。
そのため、恐察は「勘ぐる」という言葉で言い換えることができます。
確かな根拠・証拠もないのに畏れ多くも自分の立場で相手のことを推察するのが「恐察」ですから、「当てずっぽう」という言葉で言い換えることもできます。
「恐察」の類語
「恐察」の類語には、以下のようなものがあります。
- 「推察」【すいさつ】
- 「拝察」【はいさつ】
- 「憶測」【おくそく】
「推察」【すいさつ】
「恐察」の類語として、「推察」があります。
推察の意味は、「他人の事情・状況や心理状態を推し量って思いやること。主に主観的心情を思いやること」です。
推測の意味は、「物事や他人の事情について推し量ること。主に客観的事情を推し量ること」です。
恐察は「推察・推測の謙譲語」になっているので、「推察・推測」は恐察の類語と言えます。
「拝察」【はいさつ】
「恐察」の類語として、「拝察」があります。
「拝察」は恐察とまったく同じ意味合いで使用することができる言葉で、「相手の事情・心理などをへりくだって推察する」という意味になります。
恐察よりも漢字から受ける語感が柔らかいので、相手や状況に合わせて「拝察」を使用するのも良いでしょう。
「憶測」【おくそく】
「恐察」の類語として、「臆測(憶測)・臆断(憶断)」があります。
臆測(憶測)とは、「確かな根拠がないのに自分勝手に推測すること」を意味します。
臆断(憶断)とは、「十分な証拠がないのに主観的に結果を決め付けること」を意味します。
「恐察」は「臆測・臆断の謙譲語」として解釈することができるので、「臆測・臆断は「恐察」の類語になっています。
「恐察」の使い方
「恐察」という言葉の使い方は、相手の事情や心理、状況などについて、自分の立場から適当に推し量る時に使います。
「恐察」は推察(推測)の謙譲語として用いられる言葉ですから、特に「自分より目上の立場の人・自分より地位や身分が高い人」に対して用いることが多く、推察よりも恐察を使用することで「相手に対する敬意・配慮」を分かりやすく示すことができます。
「恐察」を使った例文
「恐察」を使った例文には、以下のようなものがあります。
- 「恐察」の例文1
- 「恐察」の例文2
- 「恐察」の例文3
「恐察」の例文1
大好きだった母親を亡くしたばかりの彼女の心境は、恐察するに余りあるものがあった。
「恐察」の例文2
ご退位を勇断された陛下のご心中は、我々などが恐察することさえ畏れ多いものであり、ただその勇断の結果を尊重する他は無かった。
「恐察」の例文3
御社のご意向を現時点で当方が恐察することははばかられますので、また改めてご意見を伺いに出直して参ります。
「恐察」を分解して解釈
「恐察」という言葉を分解して解釈します。
- 「恐」
- 「察」
「恐」
「恐察」の「恐(きょう)」は、相手の事情や心理状態を勝手に推し量ることについて「恐れ多いこと・畏れ多いこと」を意味しています。
「恐察」は推察・推測の謙譲語ですが、その謙譲の意味合いを付け加えているのがこの「恐」という漢字なのです。
恐察の恐の「恐れ・恐れ多い」は、謙譲表現の漢字の意味からすれば「畏れ・畏れ多い」に近いものになっています。
「察」
「恐察」の「察(さつ)」は、相手の事情や心境を「察する」ということを意味しています。
「察」には「観察・視察・推察」などの言葉があるように、「広義の見ること・察すること」を意味しています。
「恐察」においては、「察」は「自分の目には見えていない相手の事情・状況・心理状態を察すること、推察すること」を意味しているのです。
「恐察」という言葉について徹底的に解説しましたが、恐察は「恐れ多くも(畏れ多くも)相手の事情や心境を推察する」という謙譲語の意味があります。
恐察の言い換えには「推し量る・勘ぐる」などがあり、恐察の類語には「推察・推測・拝察」などがあります。
「恐察」という言葉について、詳しく調べたい時にはこの記事を参考にして下さい。