「礼を尽くす」の意味とは?漢字、類語や使い方、例文を紹介!
礼を尽くすという言葉は、大変気持ちの良い折り目正しい言葉です。
しかし、その本当の意味を知らないと、誤用の可能性があります。
今回は、「礼を尽くす」という言葉の意味、また言い換え方法などのご紹介と、元となったであろう故事も紹介します。
目次
- 「礼を尽くす」の意味とは?
- 「礼を尽くす」の類語・言い換え
- 「礼を尽くす」の使い方
- 「礼を尽くす」を使った例文
- 「礼を尽くす」を分解して解釈
- 「礼を尽くす」と使った言葉
「礼を尽くす」の意味とは?
礼を尽くすとは、相手への敬意、尊敬を最大限まで表現することです。
尽くすという言葉で、相手に仕える、捧げるという意味合いで使われることもあります。
しかし、正式には尽くすを「残さず表現しきる」という意味で使うため、厳密な意味では相手に従ったりするという意味ではありません。
- 「礼を尽くす」の読み方
「礼を尽くす」の読み方
礼を尽くすとは、「レイヲツクス」と読みます。
礼はほかに、「ライ」(礼賛など)などの読み方もありますがここではレイです。
レイの方が一般的な読み方のため、間違うことは少ないはずです。
「礼を尽くす」の類語・言い換え
礼を尽くすという言葉は古い言葉であり、似たような言葉もたくさんあります。
その中でも、少々読み方が難解な分、格式のある言葉を3つご紹介します。
- 「粗相のないように」【そそうのないように】
- 「手厚く遇する」【てあつくぐうする】
- 「重んじる」【おもんじる】
「粗相のないように」【そそうのないように】
相手に失礼のないように前もって準備しておく、あるいはそれを戒める言葉として「粗相のないように」という言葉があります。
粗相とはソソウと読みます。
「礼を尽くす」も、相手に最高の礼儀を払って接するということなので意味の通じるところがあります。
しかし、「粗相のないように」は、どちらかと言えばそのままでは失礼なことをするという前提のある、マイナスをゼロにするイメージです。
「礼を尽くす」が元から礼儀正しい上に更に礼儀を払うという意味合いであることを考えると、どちらかと言えば元が礼儀正しくない、言ってしまえば子供に対する言葉と考えることができるため、使い分けは気を付けたいものです。
「手厚く遇する」【てあつくぐうする】
読み方は「てあつくぐうする」と読みます。
遇するは奇数、偶数のグウの読み方を採用します。
遇するとは、人をもてなすことを意味しています。
そのため、「手厚く遇する」とは「人を丁寧にもてなす、待遇する」という意味です。
来客に丁寧に接するという意味で使えば「礼を尽くす」という言葉と同じような言葉ですが、こちらは迎える側、更にイメージを言うと迎える側が目上のイメージです。
相手が目上の場合、誤りではありませんが「手厚く遇する」は使わない方が無難でしょう。
「重んじる」【おもんじる】
重んじるとは、「おもんじる」と読みます。
価値を大切にするという意味であり、評価するという意味でもあります。
そのため、対人に使うならば「来客を重んじる」「部下を重んじる」ななど、「礼を尽くす」という言葉に近い使い方ができます。
異なるのは、「重んじる」がどんなものにも使えるのに対し、「礼を尽くす」はほぼ人に対して使うということです。
そのため、人以外へ礼儀を払う時は「プライドを重んじる」「季節を重んじる」などのように使うことができます。
「礼を尽くす」の使い方
「礼を尽くす」は、尊敬の気持ち、丁寧に(人を)扱う気持ちがある時に使う言葉です。
更に、儀礼がかった言葉であり、平易な表現ではないので、格式ある時に使うと、言葉のチョイスそのものが相手を丁重に扱っていることの表れとなり、そのことでも相手に礼儀を払っていることが伝わります。
「礼を尽くす」を使った例文
礼を尽くすという言葉を実際の文章に当てはめてみましょう。
形式ばった言葉ですから、プライベートで使うことはあまりないかもしれません。
ビジネスの場や冠婚葬祭など、かしこまったシーンで使うのがしっくりきます。
例文を3つ挙げます。
- 「礼を尽くす」の例文1
- 「礼を尽くす」の例文2
- 「礼を尽くす」の例文3
「礼を尽くす」の例文1
「相手に礼を尽くす」
もっとも基本的な「礼を尽くす」の使い方が、対人に対して使うことです。
相手に、最大限の礼儀を払い、丁重に扱うという意味合いになります。
また、相手への敬意も同時に表現できることから、尊敬の気持を持っていること、丁寧に扱ったことが一度に分かる言葉です。
「礼を尽くす」の例文2
「礼を尽くすことで心意気に応えた」
これは、相手から丁重に扱われたこと、また尊敬を表してもらった際に、更にそれを礼を尽くして返すという礼儀のキャッチボールを表しています。
相手から正しく、好ましく扱ってもらえたことから、更にそれを返し、その気持ちに応えたということです。
「礼を尽くす」の例文3
「礼を尽くして迎える」
最大限の礼儀、敬意を払って来客を迎えることを意味しています。
行動としての「礼を尽くす」の使い方であり、言い換えれば「丁重におもてなしをした」という言い方にもできます。
「礼を尽くす」を分解して解釈
礼を尽くすという言葉は、すぐ分かりそうで実は分かりづらい言葉です。
ここでは、言葉を分解して各パーツを検証することにより意味を理解します。
- 「礼を」
- 「尽くす」
「礼を」
礼という漢字は、ほかに「お礼をする」「礼儀」など、かしこまった印象のある言葉です。
礼という言葉だけを辞書で引くと、「人のふみ行うべき道。
社会生活上の定まった形式」とあります。
これはそもそも漢字の発祥元中国において、社会秩序の基礎とされている「五常」のなかのひとつであり、儒教の道徳的な道を説く言葉です。
「尽くす」
尽くすとは、辞書によると「なくなるようにする、全て使い切る、または終わらせる」という意味を持ちます。
礼を尽くすという組み合わせで使う場合は「全て使い切る」の意味で用いられており、先に紹介した「礼」を全て使い切る、つまり自分の持てるすべての礼を相手に注ぎ込むという意味になります。
「礼を尽くす」と使った言葉
礼を尽くすという言葉は、単体のみならず更に言葉を付け加えられ、常用句のように使われることがあります。
しかし、よく聞くものの実際には辞書上存在しない言葉もあり、使う時には注意が必要です。
- 「礼には礼をもって尽くす」
- 「三顧の礼を尽くす」
「礼には礼をもって尽くす」
礼には礼をもって尽くす、とは、よく聞く言葉ですが実は正式な辞書上、この言葉は存在しません。
日本書紀に「礼を以て(もって)本(もと)とせよ」という一文があります。
以てとは「それを用いて、使用して」という意味なので、礼義が基本となるという意味です。
ちなみに、これは憲法十七条の条文でもあり、政治は礼を以て行わなければ群衆は従わないとされています。
礼には礼をもって尽くすという言葉も、その派生で使われている言葉だと考えられます。
「三顧の礼を尽くす」
三顧の礼を尽くすとは、中国の故事が由来します。
中国三国時代、蜀という国の劉備という人物が諸葛孔明という人物に会うために尋ねたが、簡単に会うことができず、三度目にしてようやく会うことができたという故事です。
三国志などを知っていればピンとくる人物名ですが、劉備は武将であり蜀漢の初代皇帝になる人物、諸葛孔明は軍師です。
目上の者が目下のものに三度も面会を申し込み、その礼儀に諸葛孔明が応え劉備の軍師になったということから起こった言葉です。
「礼を尽くす」という言葉は、相手への最大限の経緯です。
しかし、「会社規範に礼を尽くす」「恩に対して礼を尽くす」など、対人以外にも使うことがあります。
その場合、背後に人が見えている、人がやっていることに対しての礼儀のことです。
もともとは中国の儒教で説かれる「仁・義・礼・智・信」という言葉。
儒教上の意味は上下関係を守るための言葉ですが、現在の日本では対人関係すべてを対象としています。
正しく使い、相手への敬意をしっかりと表現しましょう。