「恐れ多い」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
ビジネスにおいて、コミュニケーション能力ももちろんですが、いち社会人として正しい敬語を使い立場をわきまえて話ができるというのは重要なポイントのひとつです。
今回ご紹介する「恐れ多い」という言葉も、タイミングを間違えてしまえば失礼にあたります。
正しく意味を把握し、上手く活用していきましょう。
目次
- 「恐れ多い」の意味とは?
- 「恐れ多い」の類語や言い換え
- 「恐れ多い」の使い方
- 「恐れ多い」を使った例文
- 「恐れ多い」を使った言葉を解釈
- 「恐れ多い」は敬語として使える?
「恐れ多い」の意味とは?
「恐れ多い」というのは、「申し訳なく思い、頭が上がらない」という意味と、「大変ありがたく、もったいない」という2つの意味があります。
ここで言う「恐れ」とは恐怖の気持ちではなく「敬い、かしこまる」の方の「恐れ」です。
自分よりも立場や地位が上の人に対して、「自分のような身分の低い者なんかにはもったいないくらいありがたい」というようなへりくだった表現となります。
- 「恐れ多い」の読み
「恐れ多い」の読み
「おそれおおい」と読みます。
「恐れ多い」の類語や言い換え
「恐れ多い」と似たような表現の言葉が他にもあります。
- 「恐縮」【きょうしゅく】
- 「光栄に思う」【こうえいにおもう】
「恐縮」【きょうしゅく】
「きょうしゅく」と読みます。
「身も縮まる程に恐れ入る」という意味ですが、かみ砕くと「自分の至らなさや相手への迷惑を非常に申し訳なく思う」という意味と、「身が縮こまる程相手からの厚意にありがたいと思う」という事です。
嬉しいという気持ちと申し訳ないという気持ちが共存している不思議な言葉ですね。
例えば何か自分が相手にお願いをする時に「大変恐縮ですが」とクッション言葉として頭につけて相手へ伝えます。
すると、目上の人へお願いをする時に高圧的にならずに伝えることができます。
また、目上の人から褒められたりしたときに「恐縮です」と伝えると、「あなたのような人からそんなお言葉をもらえるなんて非常にありがたいと思います」という気持ちを丁寧に表現できます。
「光栄に思う」【こうえいにおもう】
「こうえいにおもう」と読みます。
「光栄」という語句は、読んで字のごとく「輝くばかりの身のほまれ」や「人に認められて名誉に思うこと」を意味します。
つまり、褒められたり認められたりして、まるで輝くような名誉や評判を受け非常にうれしく、誇らしく思うことを表す言葉です。
友達や家族に褒められたり認められたりしても嬉しく思うのは当然ですが、例えば自分が尊敬している雲の上の様な存在に同じようにされるとどうでしょうか。
滅多に会えないような憧れの芸能人や、恩師など、特に自分が崇め敬っている相手からです。
そういった時に使うぴったりの表現が「光栄」です。
是非、立場が異なる目上の、尊敬している人物から褒められたり認めてもらえた時には「光栄に思います」と伝えてみましょう。
「恐れ多い」の使い方
元々、「恐れ多い」という言葉は、自分よりはるかに目上の方や貴人に対して使う言葉です。
貴人というのは地位や家柄の高い人を指しており、いわゆる貴族の人の事です。
日本では天皇に関わる地位であり、非常に高貴な方へ対して使う最上級の敬語表現といっても良いでしょう。
自分と相手では比べ物にならないほど身分の高い人や、敬意を示すべき人に対して使うため、日常生活で耳にすることはほぼありません。
ビジネスでも、例えば平社員が社長に対して使ったり、立場が相当違う相手へ使う事が多い言葉です。
使う場面でふさわしいのは、自分よりはるかに上の立場の人から褒め言葉をもらった時でしょう。
「自分なんかにはもったいない」という謙遜した立場での感謝の気持ちを伝えることができます。
「恐れ多い」を使った例文
それでは実際に「恐れ多い」を日常会話に取り入れるとしたら、どういった場面になるかを例文を参考に見ていきましょう。
- 「恐れ多い」の例文1
- 「恐れ多い」の例文2
「恐れ多い」の例文1
「あなたからそんなお言葉を頂けるなんて、恐れ多いことです」
「恐れ多い」には申し訳ないという表現だけでなく、「もったいないと感じる程ありがたいと思う」という表現もできるという二面性があります。
人間誰しも褒められると嬉しくなるものですが、褒め言葉をそのまま受け取って感謝するだけだと傲慢な人間だと勝手に勘違いされることもあります。
そういった時に、傲慢さを感じさせずかつ丁寧にお礼を返す言葉として例文のように返してみましょう。
あなたの印象がグッと良くなる事間違いありません。
「恐れ多い」の例文2
「恐れ多い事ですが、ひとつお願いを申し上げてもよろしいでしょうか」
相手に何かお願いをするというのは、普段から親しくしている間柄なら伝えやすいものですが、時には目上の人や取引先、顧客など非常にストレートには伝えづらいものですね。
そういった時に、お願いやお断りなどの言葉よりも前に付け加えることで、相手に嫌な思いや威圧感を与えずに柔らかく伝える事ができるようになります。
「恐れ多い」を使った言葉を解釈
- 「恐れ多いことでございますが」
- 「恐れ多いお言葉」
「恐れ多いことでございますが」
クッション言葉としてよく使われる表現です。
クッション言葉というのはビジネスマナーのひとつで、お願いをしたり、断ったり謝ったり等相手へ言いづらい事を伝えるときに頭に添えて伝えるものです。
そのまま用件を伝えるよりも柔らかい表現となり、威圧感を相手に与えません。
クッション言葉には「恐れ入りますが」や「お手数ですが」など様々な種類がありますが、「恐れ多いことでございますが」は主に、目上の方や顧客へ何かお願いをしたり、進言するときに付け加えます。
非常に丁寧な表現としてよく使われています。
「恐れ多いお言葉」
「恐れ多い」という言葉には、大変申し訳なく思う気持ちともうひとつ、「もったいないほどありがたく思う」という感謝の気持ちも込められています。
目上の人から褒められた時には、何と返して良いものか悩む方も多い事でしょう。
「そんなことないですよ」と変に謙遜するのも、せっかく褒めてもらったことを無下にしてしまうようです。
「ありがとうございます」とそのまま受け取っても、調子に乗っていると勘違いされてしまう可能性もあります。
そんな時に、相手に対して失礼にもならず、自分が思いあがってると思われる事も無く上手く返すことができる便利な表現が「恐れ多いお言葉」です。
「恐れ多いお言葉でございます」や、「恐れ多いお言葉、ありがとうございます」などと伝えるととても爽やかで丁寧な印象を与えることができます。
「恐れ多い」は敬語として使える?
敬語として頻繁に使うような表現ではありませんが、ふとした瞬間に正しく使える事が出来れば一目置かれることは間違いありません。
使い方を間違えれば恥をかくことにもなります。
まず、敬語には相手を敬って使うという前提がありますが、相手が自分とどのくらい立場が違い、どういった関係性かにもよって、使うのにふさわしい表現というのがいくつかあります。
同じ敬語でも使う相手によってグレードが変わります。
例えば「お願いします」という言葉ですが、そのままであれば丁寧語ですので、見知らぬ人や同じくらいの立場であまり親しくない人に失礼のないように伝えることができます。
それが敬語表現になると「お願い致します」や「お願い申しあげます」となります。
さらにもっと敬語のグレードを上げていくと「どうぞよろしくお願い申し上げます」など仰々しく言葉数も多くなっていきます。
「恐れ多い」は仰々しい敬語のひとつと言えます。
自分の直属の上司に使うような表現ではありません。
とても普段からお世話になっている顧客や取引先の重役など、自分と比べた時にまったく立場が異なる目上の人から何か褒められた時や、言いにくいお願いをするときに使いましょう。
いかがでしたでしょうか。
敬語表現と一口に言っても、謝りたいとき、感謝を伝えたいとき、言いにくいお願いをしたいときと、様々な場面にそぐうそれぞれの表現があります。
今回ご紹介した「恐れ多い」は近い間柄よりも、自分とはかけ離れて身分や地位が違う相手へ使うことが多い表現です。
普段の会話が仰々しくなってしまわないように、場面を考えて使いたい言葉ですね。