「牙城を崩す」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「牙城を崩す」とは代表者がいる組織・勢力の中心的な拠点を崩すことですが、「牙城を崩す」の類語・言い換え・対義語(反対の意味)・例文にはどのようなものがあるのでしょうか?
「牙城を崩す」という言葉について詳しく解説していきます。
目次
- 「牙城を崩す」の意味とは?
- 「牙城を崩す」の類語や言い換え
- 「牙城を崩す」の使い方
- 「牙城を崩す」を使った例文
- 「牙城を崩す」を使った言葉・文章を解釈
- 「牙城を崩す」の対義語や反対の意味
「牙城を崩す」の意味とは?
「牙城を崩す」の意味は、元々は「大将(城主・総指揮官)がいる本丸・本城の本拠地を占領する」という意味ですが、現在では「大きな組織(勢力)の中心拠点・中枢を突き崩す」という意味で使われることが多くなっています。
「牙城(がじょう)」というのは、城主のいる城を獣のメタファー(比喩)で表現したもので、牙と爪で守られた守備堅固な城のことを意味しています。
牙城には大将の旗印である「牙旗(がき)」がありますが、牙旗というのは旗竿を象牙で装飾した立派な旗のことです。
牙城・牙旗は古代中国において、大将・将軍の権力権威の象徴であり、この牙城を攻めて打ち崩し牙旗を奪い取れば戦争に勝利することができたのです。
「牙城を崩す」とは、大きな組織・勢力の中枢拠点を叩いて崩すことによって、勝負の趨勢(すうせい)を決定することを意味しているのです。
「牙城を崩す」の類語や言い換え
「牙城を崩す」の類語や言い換えには、どのようなものがあるのでしょうか?「牙城を崩す」の類語・言い換えについて、分かりやすく紹介していきます。
- 「本丸を落とす」【ほんまるをおとす】
- 「中枢を攻撃する」【ちゅうすうをこうげきする】
- 「要衝を叩く」【ようしょうをたたく】
「本丸を落とす」【ほんまるをおとす】
「牙城を崩す」の類語・言い換えとして、「本丸を落とす」があります。
「本丸を落とす」とは、大将・城主(総指揮官)がいる場所を攻め落として、戦の勝敗を決定的にすることを意味します。
「本丸を落とす」は「相手の中心的な拠点を落とす+相手の中枢機能を破壊する」といった意味合いがあり、「牙城を崩す」とほぼ同じ意味で使われることがある類語になっています。
「本丸を落とす」を使った例文としては、「本丸を落とされた戦国武将は自害することが慣例であり、戦国の魔王とまで呼ばれて恐れられた織田信長でさえも本能寺の変で明智光秀に攻められて最期は自害して果てたと伝えられている」や「雑魚に構わずに本丸を落とすことができれば、勝利は目前に迫ってくるだろう」などがあります。
「中枢を攻撃する」【ちゅうすうをこうげきする】
「牙城を崩す」の類語・言い換えとして、「中枢を攻撃する」があります。
「中枢を攻撃する」とは、大きな組織・勢力の中心的役割を果たしている部門・人物などを攻撃することです。
中枢を攻撃することによって、大きな組織・勢力の機能を低下させたり、組織全体を壊滅に追いやることができるだめ、戦闘・競争の戦略として中枢を攻撃することは有効なのです。
「中枢を攻撃する」を使った例文としては、「9.11の米国同時多発テロで、中東のテロリストたちはアメリカの中枢を攻撃して米国全土の機能を麻痺させようとした」や「中枢を攻撃することで勝利するという戦術の有効性は、古今東西変わらないベーシックな戦争・競争のセオリーである」などがあります。
「要衝を叩く」【ようしょうをたたく】
「牙城を崩す」の類語・言い換えとして、「要衝を叩く」があります。
「要衝を叩く」の意味は、「全体の機能を維持する上で重要な拠点(要所)を叩く」ということです。
「要衝(ようしょう)」は「交通の要衝」という熟語で良く使う言葉であり、「軍事・交通・産業(商業)にとって大切な地点・拠点・場所(要所)」のことを意味しています。
要衝を叩くことによって、相手勢力の機能を麻痺させたり必要な物資の供給を停滞させたりすることができます。
「要衝を叩く」を使った例文としては、「属領の要衝を叩かれたローマ帝国は、ゲルマン人やヴァンダル人を中心とする蛮族に手当たり次第に蹂躙されて略奪されてしまった」や「この戦争に勝利するための唯一の方法は、できるだけ早期に敵国の要衝を叩いて道路輸送網を寸断し、物流(軍需物資の輸送)を停滞させることにある」などがあります。
「牙城を崩す」の使い方
「牙城を崩す」という言葉は、「大きな組織・勢力の中心拠点を叩いて崩した時」や「圧倒的な力(圧倒的なシェア・常勝の戦歴)を持っている勢力・集団の一角を突き崩した時」に使います。
非常に守りの堅い組織や手ごわい相手の中心拠点を叩いて崩すような時に、「牙城を崩す」という言葉を用いるのです。
「牙城を崩す」を使った例文
「牙城を崩す」を使った例文には、以下のようなものがあります。
- 絶対に揺らぐことがないとされてきた自動車のトップメーカーの牙城を崩すことに見事に成功した。
- 甲子園常連校の牙城を崩して勝利することは簡単ではないが、今年のチームのメンバーと実力であれば勝てる可能性はある。
「牙城を崩す」を使った言葉・文章を解釈
「牙城を崩す」を使った言葉・文章を分かりやすく解釈していきます。
- 「トップシェアを持つ企業(商品)の牙城を崩す」
- 「常勝集団である強豪校の牙城を崩す」
- 「与党固定票の多い選挙区の牙城を崩す」
「トップシェアを持つ企業(商品)の牙城を崩す」
「トップシェアを持つ企業(商品)の牙城を崩す」というのは、経済・企業に関連するニュースなどで用いられることが多い文章の表現です。
ビール市場であればアサヒビール、ゲーム市場であれば任天堂、コンビニ市場であればセブンイレブン(7&iホールディングス)などがトップシェアを握っている企業になりますが、こういった企業や企業の持つ商品のシェアを大きく奪い取ることを「トップシェアを持つ企業(商品)の牙城を崩す」というのです。
「常勝集団である強豪校の牙城を崩す」
「常勝集団である強豪校の牙城を崩す」は、高校野球やサッカーの全国大会などで用いられることの多い言葉です。
野球・サッカー・柔道などのスポーツの全国大会では、毎年必ず地区大会を勝ち上がって出場してくる「常勝集団・強豪校」がいますが、そういった強豪校に新参の学校が打ち勝つような異例の事態を「常勝集団である強豪校の牙城を崩す」といった言葉で表現することができます。
優秀なメンバーを揃えて毎日ハードな練習をこなしている強豪校に打ち勝つことは簡単ではないですが、だからこそ強豪校に新参校(強豪と見られていない学校)が勝利することを「牙城を崩す」といった言葉で言い表すことがあるのです。
「与党固定票の多い選挙区の牙城を崩す」
「与党固定票の多い選挙区の牙城を崩す」は、衆議院選挙や参議院選挙の選挙速報などで用いられることの多い表現です。
自民党・公明党の与党は全国各地の選挙区に「鉄板の固定票」を持っているので、そういった選挙区で野党の立候補者が当選することは通常は考えにくいのですが、稀に何らかのスキャンダルによって選挙結果が逆転することがあります。
こういった「出来レースに近い鉄板の選挙区」で固定票を持つ与党議員が落選した場合、「野党の候補が、与党の固定票が多い選挙区の牙城(保守の牙城)を崩した」と言われるのです。
「牙城を崩す」の対義語や反対の意味
「牙城を崩す」の対義語や反対の意味を持つ言葉としては、「末端を叩く」「雑魚を掃討する」「枝葉末節に囚われる」などがあります。
「牙城を崩す」は組織・勢力の中心部分を叩いて崩すことですから、その対義語として中心部分ではない「末端を叩く」という言葉が上げられます。
「牙城を崩す」というのは、大将・城主がいる本丸・本拠地を攻撃して落とすことですから、大将ではないどうでもいい雑兵(ぞうひょう)・雑魚(ざこ)を叩く「雑魚を掃討する」も対義語になってきます。
中心や中枢といった重要な部分を攻撃して落とすことが「牙城を崩す」ですから、その対義語として「枝葉末節に囚われる(重要ではない些末な部分に囚われる)」を上げることができるでしょう。
「牙城を崩す」という言葉について徹底的に解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
「牙城を崩す」は勢力・集団の中心拠点(中枢部分)を突き崩すという意味ですが、その類語には「本丸を落とす」「要衝を叩く」などがあります。
「牙城を崩す」の対義語としては、「末端(周縁)を叩く」「枝葉末節に囚われる」などを考えることができます。
「牙城を崩す」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。