「恐悦至極」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語を紹介!
ビジネスシーンや、目上の方へのご挨拶の際に「恐悦至極」という言葉を使った事がある方も少なくないと思います。
ですがこの言葉自体はあまり身近ではありませんし、普段多用する訳でもないため、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。
今回はこの「恐悦至極」について意味・使い方・例文などをご紹介したいと思います。
目次
- 「恐悦至極」の意味とは?
- 「恐悦至極」の類語や言い換え
- 「恐悦至極」の使い方
- 「恐悦至極」を使った例文
- 「恐悦至極」の反対語や対照語・対義語
- 「恐悦至極」を使った言葉を解釈
- 「恐悦至極」と「祝着至極」の違い
「恐悦至極」の意味とは?
- 「恐悦至極」の読み方や意味
「恐悦至極」の読み方や意味
「恐悦至極」は【きょうえつしごく】と読みます。
「恐悦」は「恭悦」とも書く場合がありますが、どちらにしても難しい漢字であり、普段日常では頻繁に使わない言葉なため、読み間違いや漢字には注意が必要です。
まず「恐悦」とは、
- 相手の好意に対して自分にはもったいないと思って喜ぶこと
- この上なく非常に喜ぶこと
という意味があり、「至極」とは、
- 極限・極致に達していて、この上ない状態や様子
- きわめて道理にかなっていることや様子
- 他人の意見に納得してそれに従う事という意味があります。
そしてこの二つの言葉を合わせた「恐悦至極」の意味は、
- 目上の人に対する畏まった最上の悦びの表現
- これほど嬉しいことは無い感情
と言った意味になります。
「恐悦至極」の類語や言い換え
- 「恐縮至極」【きょうしゅくしごく】
- 「有難き幸せ」【ありがたきしあわせ】
- 「恐恐謹言」【きょうきょうきんげん】
「恐縮至極」【きょうしゅくしごく】
あまりに恐れ多くて身が縮こまってしまう程の状態になってしまった時に使用する言葉になります。
例えば「恐縮です」だけでは、相手に対して配慮が欠け、不遜に思える場合に「至極」を付けて謙譲語にして使用します。
よく使われるシーンとしては、内容を詳細に端的に書かなければならないような始末書や謝罪文、失礼を行った場合の謝罪などに、「恐縮至極」を使用する事により、更に反省して恐縮している様子が伝わります。
- 「この度のわたくしの処分は、事実に基づき恐縮至極につき謹んでお受けしたいと思います」
- 「このたびは、大変なお心遣いをいただき恐縮至極でございます」
など。
「有難き幸せ」【ありがたきしあわせ】
あまり現在では使う言葉ではありませんし、若い方は時代劇などでしか聞いた事がないかもしれませんが、この言葉にも沢山の感謝が込められており「例え小さなことであっても悦びを感じられたのなら、有難いことであり感謝するべき事」だという意味になります。
非常にポジティブで温かい気持ちになる悦びに溢れた言葉ではないでしょうか。
A「あなたの分け前はこれだけしかないけれど、何かの足しにして下さい」
B「とんでもない事です。まさか私にまで頂けるなんて、有難き幸せにございます」
など。
「恐恐謹言」【きょうきょうきんげん】
恐れながら、謹んで申し上げるという意味の言葉になります。
また手紙の結びに使い、相手への敬意を表す語でもあります。
ですが、場合によっては謙遜し過ぎて相手が恐縮してしまうので気をつけなければいけません。
- 「会長、恐恐謹言させていただければ、ここは早々と撤退すべきかと思います」
など。
「恐悦至極」の使い方
使い方としては、自分より目上の相手に対し、悦びの感情を敬語として表現する時に使用するのが一般的なので、単純に「ありがとう」や「感謝している」といった丁寧語ではないと理解をし、使用する相手を選ばなければいけません。
また、大袈裟だと感じるようなレベルの言葉でもあるため、頻繁に使う言葉ではありませんし、あまり敬語を重ねる事も失礼にあたります。
例えばよくある間違いに、「恐悦至極」のあとに「の極みです」とつけている場合がありますが、「至極」自体がこの上ないという意味になるので、「極み」を付けると同じ意味を重ねてしまう事になってしまいます。
丁寧にしようという感情はわかりますが気をつけなければいけないポイントになります。
「恐悦至極」を使った例文
- 「恐悦至極」の例文1
- 「恐悦至極」の例文2
- 「恐悦至極」の例文3
- 「恐悦至極」の例文4
- 「恐悦至極」の例文5
「恐悦至極」の例文1
「格別なるご恩情を賜り、非常に恐悦至極に存じます」
「恐悦至極」の例文2
「本日はお招きにあずかり、誠に恐悦至極に存じます」
「恐悦至極」の例文3
「このたびは、憧れの先生からこのような場や、お褒めの言葉に与り、大変恐悦至極でございます」
「恐悦至極」の例文4
「このような経験をさせていただき、恐悦至極でございます」
「恐悦至極」の例文5
「我々のような立場の者にまで、心配りをして下さるなんて、本当に身に余る光栄でございます。恐悦至極の思いです」
「恐悦至極」の反対語や対照語・対義語
「恐悦至極」の反対語や対照語・対義語はないとされています。
「恐悦至極」自体が自分より目上の相手に対する悦びの感情を表現するための敬語になるので、値する言葉はありません。
ただ、悦びの反対語は「憂い」になるので、「憂い」を使った言葉を敬語にして感情表現をする事はできるので、工夫や語彙力が必要になるでしょう。
「恐悦至極」を使った言葉を解釈
- 「恐悦至極の至り」
- 「恐悦至極に存じます」
「恐悦至極の至り」
「〜の至り」とは、かたい挨拶言葉や形式的なビジネスの世界の文書などで使われる表現ではありますが、この言葉自体にはそれ程、重要な意味はありません。
つまり、「〜の至り」とは漢字の意味のまま「?に至った」「?にまで達した」という意味なだけであり、単なる到達点として使われているといってもいいでしょう。
感情的なものではなくただその状態を表す言葉になります。
ですから「恐悦至極の至り」とは「これほどの悦びはないという境地に至った」という意味になります。
「恐悦至極に存じます」
「恐悦至極に存じます」をわかりやすくすると、「大変畏れ多く幸せでございます」や「これ以上にない幸せや悦びを感じております」という意味になります。
「存じます」という言葉は、よく使われる敬語なのであらゆるシチュエーションに出てくる言葉になるでしょう。
意味は「思う」または「知る」の謙譲語であり、それに丁寧の「ます」がついた形です。
つまり「思います」という意味になります。
ですが、あまりにも使いすぎると自分の事をへりくだり過ぎる為、逆に印象が悪くなってしまいます。
敬語に敬語を重ねる事も嫌味になってしまうので気をつけなければいけません。
例えば「存じます」は文末では使いやすいですが、文の途中で「〜と存じましたので、...でございます」
は長ったらしくもたついた印象を与えてしまいます。
ですからこのような場合は、「〜と思いましたので」に変えて文末だけ「?存じます」を使用すると良いでしょう。
「恐悦至極」と「祝着至極」の違い
「恐悦至極」は文章や挨拶の言葉として、特にビジネスや公の場でよく使われる言葉ですが、近い言葉に「祝着至極」【しゅうちゃくしごく】というものがあります。
実際現在で使用されている場面は少なく、時代劇や年配の方が使用されているかもしれないという程度かもしれませんが、意味としては《嬉しいことこの上ありません》という意味になり「恐悦至極」と近い意味合いになります。
そして文字の中に「祝」という漢字が入っているので、出産や結婚、健康などの慶事ごとで使われる事が多い言葉でもあります。
つまり似てはいますがこの二つの意味の違いは、「恐悦至極」は《目上の人から受けた好意や厚意に対してこの上なく非常に悦ばしく思うこと》であり、「祝着至極」は《他人の幸せや健康に対してこの上なく非常に悦ばしく思って、祝うこと》いう同じ嬉しい・悦ばしい事でもニュアンスの違いがあります。
「恐悦至極」のように、使えるビジネス用語やきちんとした敬語などを覚えて置く事は、生活をする上で非常に大切な事です。
いざという時にこのような表現が出来るだけで言葉のショートカットにもなりますし、できるちゃんとした"大人"だと思われるでしょう。
使用する機会が少ないと言葉自体を忘れてしまったり、大切な場面で出てこない事もあるかとは思いますが、これを機にこんな言葉もあるんだと興味を持って頂けたら幸いです。