「愛想」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「愛想笑い」「愛想がいいね」「愛想が尽きた」など、日常では「愛想」という言葉がたくさん使われています。
でも、この「愛想」とは何でしょう。
詳しくみていきましょう。
目次
- 「愛想」の意味とは?
- 「愛想」の類語や言い換え
- 「愛想」の使い方
- 「愛想」の例文
- 「愛想」を使った言葉
「愛想」の意味とは?
「愛想」は「あいそ」と読みます。
「愛想」の意味としては「人を喜ばせるための言葉や振る舞い」「相手に抱いている好意」「特別な心遣い」などといった、人を喜ばせるための対応や表情、言葉づかいなどを指す言葉となっています。
「愛想」を「愛」と「想」という漢字で分け、それぞれの意味をみていきましょう。
まずは「愛」ですが、こちらの意味は「対象をかけがえのないものと認め、それに引き付けられる心の動き」となります。
「愛想」の「愛」も、「愛する」「愛し合う」の「愛」と同じ意味で使われています。
次に「想」ですが、こちらの意味は「物事のありさまを心の中に思い定める」「おもいやる」となります。
相手にどう振る舞ったら好感を持ってもらえるのかと、想像している感じが表現されています。
つまり、「愛」と「想」の二文字をくっつけた「愛想」で、「対象の人物に愛してもらえるよう、心の中で自分の振る舞いを想像し、ふるまうこと」を意味しています。
「愛想」の類語や言い換え
「愛想」の類語や言い換えをみていきます。
- 「愛嬌」【あいきょう】
- 「親しみやすい」【したしみやすい】
- 「おもてなし」【おもてなし】
「愛嬌」【あいきょう】
「愛嬌」とは、にこやかで可愛らしいことを意味する言葉です。
どこか面白くて憎めないしぐさやひょうきんな様子などを表しています。
意味としては、「愛想」と非常に似ている言葉であるといえます。
ですが、言葉のニュアンスには違いがあります。
「愛嬌」の場合は「もともと生まれ持っている可愛さ」「無意識な可愛さ」などと指していますが、「愛想」の場合は「可愛く振る舞うことを意識していること」を指しています。
ここに「愛嬌」と「愛想」の大きな違いがあるといえるでしょう。
そのため、「愛嬌のある顔だね。」などといえば、(生まれながらにして持っている顔が可愛いね。)という意味になります。
例文を挙げてみます。
「彼女は自身の愛嬌の良さで、いつも失敗しても許されてしまう。」
(彼女は自身の可愛さで、いつも失敗しても許されてしまう。)
「親しみやすい」【したしみやすい】
「親しみやすい」とは、「付き合いやすい」「話しやすい」といった気が合って親しくできそうな様子を表す言葉です。
「親しみやすい」という言葉も、「愛想」と同じく、相手に親しみをもって振る舞うというところに共通点があります。
ですが、こちらも「愛嬌」の言葉と同様、「親しみやすい」が生まれ持った仕草や態度であるのに対し、「愛想」の場合は意識的に行っている仕草や態度であることです。
そのため、「親しみやすい人」といえば、本来の性格を指して、親しみやすそうだと評価をしていることになりますが、「愛想のよい人だ」というと、本来の性格はそのような性格をしていないのに、相手に好感を持ってもらえるよう意識して振る舞っている人ということになります。
例文を挙げてみます。
「彼女は親切で親しみやすい人だ。」
(彼女は親切で仲良くなれそうな人だ。)
「おもてなし」【おもてなし】
「おもてなし」とは、ホスト側がゲストを気持ちよく迎えてあげるという意味です。
なぜ、客を気持ちよく招き入れることを「おもてなし」というのか。
これには訳があります。
「おもてなし」とは漢字で書くと「表なし」となり、「裏表のない、気持ちのよい様子」を表す言葉になります。
つまり、「裏表のない、気持ちのよい態度で客を迎える姿」を「おもてなし」と呼びます。
「愛想」と同様、「おもてなし」には、客が気持ちよく過ごせるように意識を働かせて振る舞っているところに共通しているものがあります。
ただし、「おもてなし」には良いイメージがありますが、「愛想」には人に媚びを売るような悪いイメージがつきまといます。
それはなぜでしょう。
その答えは、「おもてなし」と「愛想」が求めているものに違いがあるためです。
「おもてなし」の場合は、あくまで客のための振る舞い。
客が気持ちよくなることを考えて振る舞う行動です。
対して「愛想」の場合はどうかというと、相手への気遣いといった配慮はなく、自分をよく見せるための手段として活用し、自分のことしか考えていない様子に大きな違いがあります。
そのため、「愛想」という言葉を聞くと、自分のことしか考えていない人間の厚かましさを想像し、嫌なイメージを持ってしまうのです。
例文を挙げてみます。
「彼女のおもてなしは、尊敬に値する。」
(彼女の裏表ない、気持ちのよい接し方は、尊敬に値する。)
「愛想」の使い方
「愛想」の使い方を紹介します。
「愛想」を使うときは以下のような場合が挙げられます。
- 意識して好感を持たれようとしているとき
- 自分の利益になるように相手に振る舞う好意的な態度
「愛想」という言葉にはマイナスのイメージがつきまとっています。
「自分をよく見せたい」という気持ちが非常に強く、相手に対する好き嫌い関係なく、むやみに自分自身をよく見せ、売り込もうとするような、いけすかない態度が見え隠れしている言葉です。
「愛想」という言葉には、相手を思いやる態度とか、相手に真摯に向き合う様子などはなく、ただ自分をよく見せたいという欲望のみが突っ走っているイメージがあります。
例えば「愛想がいい」という言葉。
この言葉は、「人に好感を抱かれるような雰囲気だね。」
という褒め言葉として使われていることがありますが、本来の意味からすると、間違った使い方です。
「愛想がいい」とは、「人に好感を持たれるようとしている作為的な人」という、いやらしい性格を指す言葉となっています。
もし、「人に好感を抱かれるような素敵な雰囲気だね。」
という褒め言葉として使うのなら、「愛嬌がいい」という言葉が、本来の適切な言葉といえるでしょう。
「愛想」の例文
「愛想」の例文を挙げてみます。
- 「愛想」の例文1
- 「愛想」の例文2
「愛想」の例文1
「もっと愛想よくしないと、人づき合いがうまくいかないよ。」
(もっと人の機嫌をとって良くしないと、人づき合いがうまくいかないよ。)
人に良く見てもらえるようにご機嫌をとることを「愛想」と表現しています。
「愛想」の例文2
「あの人は愛想がいいが、本心では何を考えているのか分からない。」
(あの人は好意的な態度をとってはいるが、本心では何を考えているのか分からない。)
人に対する好意的な態度や言葉、振る舞いなどを、「愛想」と表現しています。
「愛想」を使った言葉
「愛想」を使った言葉を紹介します。
- 「愛想が尽きた」【あいそがつきた】
- 「愛想を振りまく」【あいそをふりまく】
- 「お愛想」【おあいそ】
「愛想が尽きた」【あいそがつきた】
愛想よくするのを諦めたという意味の言葉です。
「愛想が尽きた」にある「尽きる」という言葉は、終わりや限界を表す言葉です。
つまり、「愛想が尽きた」といえば、「愛想よく振る舞うことはこれ以上できない」ということを表しており、対象となる人物に対して、「好意的な態度をとっても仕方ない」「好意的な態度をふるつもりがない」ことを表しています。
表現としては、よく夫婦間の仲の良さを表す言葉として使われたりしています。
相手に好意がなくなって嫌いになったような状況を表しており、「妻は僕に愛想を尽かして出ていった。」
などと表現したりします。
「愛想を振りまく」【あいそをふりまく】
「愛想を振りまく」という言葉を耳にすることがありますが、この使い方は間違いです。
正しくは、「愛嬌を振りまく」(あいきょうをふりまく)になります。
「愛嬌」とは、生まれながらにして持った可愛さやひょうきんな仕草などを指す言葉で、「振りまく」とは、あちこちにまき散らす様子を表しています。
そして、「愛嬌を振りまく」で振る舞った行動が可愛かったり、面白かったりして好感が持てるような様子を表現しています。
ですが、この「愛嬌を振りまく」という言葉は、「愛想を振りまく」と誤用されていることが多いです。
また、「愛想を振りまく」で人に好かれようと惜しみなく努力している様子を表現している場合もあります。
「お愛想」【おあいそ】
「お愛想」には2つの意味があります。
一つは「相手の機嫌をとる言動や行為」という意味。
そしてもう一つは「飲食店の勘定」の意味です。
「お愛想」とは「愛想」の言葉の意味を考えれば、一つ目の意味である「相手の機嫌をとる言動や行為」を表す言葉であるのは察しがつきます。
ですが、二つ目の意味である「飲食店の勘定」を「愛想」で表現するのは、なぜなのでしょう。
飲食店で会計をお願いするとき、「お愛想おねがいしま〜す!」などと言うことがあります。
しかし、もともとこの「お愛想」という言葉は客側ではなく、店側が使っているものでした。
客が会計を済ませている際に、店の人が、「お愛想がなくてすみません。」
(心遣いが行き届いていなかったら、すみません。)
と、謙遜の意味で使っていたことに由来します。
それがいつしか、勘定=お愛想となってしまったようです。
本来の意味でいえば、この「お愛想お願いします。」
という客側から発する言葉は、「心遣いが足りないのでもっと愛想よくしてくださいね。」
という意味になってしまい、店を痛烈に批判するときの言葉となってしまいます。
それを考えると、「お愛想おねがいします。」
と何食わぬ顔で勘定をお願いする様子は、なんとも不思議な光景だといえます。
「愛想」という言葉は普段からよく使われている言葉ですが、詳しい意味をみていくと、「こんな意味があったの?」と驚くことが多々あります。
「愛嬌」と意味を混同していたり、使い方を間違っていた人は正しく直して使いましょう。