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「梁上の君子」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!

漢文からとったことわざ故事成語では、耳慣れない言葉が出てくるものです。

ここでは「梁上の君子」の意味や使い方について解説していきましょう。

梁上の君子

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「梁上の君子」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!>


目次

  • 「梁上の君子」の意味とは?
  • 「梁上の君子」の類語
  • 「梁上の君子」の使い方
  • 「梁上の君子」を使った例文
  • 「梁上の君子」を分解して解釈
  • 「梁上の君子」から感じ取れること


「梁上の君子」の意味とは?

「人はもともと善人なのに、悪い習慣や環境で悪人になってしまうものだ」ということをいいたい時に使われます。

中国後漢朝のことが書かれた歴史書『後漢書』の「陳寔伝(ちんしょくでん)」という章に書かれた、泥棒の話がもとになっています。

陳寔が、天井裏の梁(ハリ)に潜む泥棒に気づき、「不善の人も、未だ必ずしも本より悪ならず、習い性を以って成り、遂に此に至る」といいました。

「悪事をすることに慣れてしまうと、天井裏に隠れている泥棒の様になってしまうものだ」と意味です。

このとき、陳寔が子ども達を集めてこのように話したことで、泥棒は出てきて謝り、改心しました。

  • 「梁上の君子」の読み方

「梁上の君子」の読み方

「りょうじょうの くんし」と読みます。

家屋の屋根裏には、建物の屋根を支える梁(ハリ)が渡してあります。

天井板の内側に、床板のない天井裏に上がって移動するには、この梁に乗らなければ天井板を踏み抜いてしまいます。

「はりのうえ」を熟語で言う時に「梁上」と書いて「りょうじょう」と読みます。

また、「君子(くんし)」は立派な人を表す時に使う言葉ですが、屋根裏でコソコソしている泥棒を皮肉ってわざと「君子」と読んでいるのです。



「梁上の君子」の類語

「梁上の君子=泥棒・ネズミ」として使うときと、故事成語の「善人でも悪い習慣や環境で悪い行いをしてしまう」「周囲の環境に流されずに善人であれ」という意味を込めて使う場合があります。

それぞれの意味にあたる類語をみていきましょう。

  • 「鼠賊(そぞく)・空き巣」
  • 「朱に交われば赤くなる」
  • 「門前の小僧 習わぬ経を読む」
  • 「炭屋の丁稚は黒くなる」

「鼠賊(そぞく)・空き巣」

いわゆる「泥棒」を指す言葉として「梁上の君子」が使われることがあります。

盗人、盗賊、泥棒、怪盗など、人のものを盗む、ものとりを働く犯罪者のことです。

こそ泥のことを鼠賊と呼ぶことがありますが、ネズミのようにコソコソと、小さな犯罪を犯すものを表現しています。

病原菌をばらまくネズミやゴキブリなどの害虫を指すときには、鼠族害虫と記します。

泥棒をあらあわす時には、海賊や山賊で使われる「賊」の字を使います。

ゲスで小物の犯罪者を表現するときに「梁上の君子」が使われますから、そうした悪人が類語としてあてはまります。

「朱に交われば赤くなる」

もとは善人でも、環境や他人からの影響で性質が変わるものだという時に使われることわざです。

「朱」は赤い色のことです。

朱色の中におかれたものは、朱色に染まってしまうように、もとの性質と関わりなく周囲に影響を受けるものだということを表しています。

梁上の君子が、貧しい環境から盗みを働くようになったのか、盗みを繰り返すうちに普通の事となってしまったのか、悪い行いを続け、慣れてしまうと善悪の判断も鈍ってしまうというニュアンスも含んで使われます。

「門前の小僧 習わぬ経を読む」

「もんぜんの こぞう ならわぬ きょうを よむ」と読みます。

派生的な「環境や育ちで人の性質が変わるものだ」という意味では、このことわざも類語として当てはまるでしょう。

お寺で毎日お経を聞いて生活していると、自然とお経が読めるようになるということから由来しています。

自然に触れる価値観や思想に人は大きく影響を受けるので、心に余裕のない卑しい環境で暮らしていれば、もとは前の心を持っていた人でもどうなるかわからないという部分を含めたときには、「梁上の君子」のほうがニュアンスが伝わりやすいでしょう。

「炭屋の丁稚は黒くなる」

「すみやの でっちは くろくなる」と読みます。

BBQや焼き肉でお目にかかる炭は、木材を燻(いぶして)して作られます。

炭は手で触ると真っ黒になるものですし、それを扱う「丁稚=下働きする若者」は、いつも真っ黒になって働くものです。

「環境がその人の性質をきめる、影響を大きく受けるものだ」といった例えに使われることわざです。

「梁上の君子」のように、「貧しい暮らしに馴染んで盗みを悪と思わない様になってしまう」のように、今で言うところの「アルアルネタ」ともいえます。

「悪人になってしまう悪しき習慣は改めるべき」のという意味を込めるときには、「炭屋の丁稚は黒くなる」よりも「梁上の君子」のほうがしっくりくるでしょう。

「梁上の君子」の使い方

梁上の君子は、子ねずみ・小者・泥棒をさげすんで言う場合や、故事成語の教えを当てはめて使われることがあります。

単純にねずみや泥棒を言い換えている時にはそのまま受け取ればよいのですが、「梁上の君子」の故事成語としての意味を考えて欲しいという意図で使われているときには、行動を改めるように諭されているのかもしれませんから、行動を振り返って見る必要があるでしょう。



「梁上の君子」を使った例文

ことわざには、昔の言い伝えや漢文のかたちで残された故事から、人の本質を鋭くついたものや、生きるべき姿の教えを伝えるエッセンスが凝縮されています。

「梁上の君子」という言葉に込められたニュアンスを活用した例文をみていきましょう。

会話の中で使われる「梁上の君子」の例を見ていくと、より深く理解できるのではないでしょうか。

  • 「深夜に梁上の君子となっていた」
  • 「梁上の君子にならぬよう」
  • 「梁上の君子の例えからも暮らしを守る政治を願っている」

「深夜に梁上の君子となっていた」

「深夜に、泥棒(こそ泥)になっていた」という意味です。

そのまま、泥棒という単語に置き換えて使う場合がありますから、「なんで梁上の君子になってしまったのか」という言い方もできます。

また、「お気に入りのペンが見当たらないの。まさかあなたの仕業?」「まさか。梁上の君子扱いなんてやめてよ」と、気楽な会話の中で使われることもあります。

「泥棒」の置き換えとしては、「戸締まりに注意するのが梁上の君子対策には欠かせないね」と言うこともできます。

「梁上の君子にならぬよう」

「悪い習慣に染まって悪事を働かないように」というニュアンスが含まれています。

置き換えの使用方法と比べると、単純に「泥棒することがないように」と取れますが、前後の話の流れ次第では例えから連想される深い意味が込められている場合があります。

生活に困る環境で、泥棒することが当たり前になってしまっている、万引き常習犯になって罪の意識が薄い、あめて善悪の判断の基準が曖昧になって、良い行動を取れなくなっていることに”気づき”が必要だと諭されているのかもしれません。

「梁上の君子の例えもあるように、習慣を改めてより良く毎日を過ごして欲しい」と言われたら、行動を振り返ってみましょう。

「梁上の君子の例えからも暮らしを守る政治を願っている」

「暮らしが思わしくなければ生活が荒れ、人の心も荒むものだ」というニュアンスで使われています。

出典となる「陳寔伝(ちんしょくでん)」の中では、泥棒に気づいて、「本来は人はみな善人なのに、環境や習慣が悪いことを悪いと思わない人にしてしまうのだ」と子どもたちに陳寔が話しをしたことで、泥棒は改心して謝罪しました。

この話の中には、暮らしが安定しなければ犯罪に走ってしまうことがあるものだから、国を治めるものには、皆の暮らしをより良くする責務があるという意味が込められているとも解釈されています。

「梁上の君子」を分解して解釈

「泥棒」の意味だけでなく、故事としての教えも含んで使われることのある「梁上の君子」を単語ごとの意味を分解して解説していきましょう。

  • 「梁上」
  • 「君子」

「梁上」

「梁」「はり」と読み、天井を支えるために横に渡した太い柱です。

建物の屋根を支え、歪みを防止して強度を高める役割を持っています。

最近では、鉄筋コンクリートやツーバイフォーなどの工法が盛んに行われ、「梁」と聞いてピンとこない人もいるかも知れません。

昔ながらの建築物では、地面に土台となる基礎を築いて立てた柱の上に梁を渡して、強度を高め、屋根を葺(ふ)き上げて仕上げていく工法が取られていました。

木造の古い建築物では、太い柱と同じようなガッシリとした木材が天井付近に横に渡されています。

天井裏で、こうした梁を伝ってネズミが移動することがあります。

潜んで、盗みを働こうとする盗人も同じように梁を伝って住んでいる人に気づかれないように隠れていることがあったのです。

「君子」

「君子」「くんし」と読み、立派な人や知恵のある人を表しています。

教養や徳のある人を指して使われ「君子、危うきに近寄らず」など、「賢い人は、キケンなことは回避するものだ」ということわざにも使われています。

言葉というものは、長く使われているうちに派生して本来と違う意味になることや、からかって反対の意味になることがあります。

「梁上の君子」の場合には、「教養や徳のある人とは言えない人」と少しひねくれた物言いになっているのです。

「梁上の君子」から感じ取れること

類語や使い方について解説してきました。

単純に「泥棒」「悪い行いをするひと」を表す言葉として使われることと、その逸話から感じ取れる事柄を行いに生かす”教え”として受け取るケースがあることが理解していただけたでしょうか。

友達と一緒にお菓子を食べていて自分の分がなくなった時に「まるで梁上の君子だよ」という気楽な使い方から、「人の行いは習慣に影響を受けるものだ」「価値観は環境に左右される」「貧困は善悪の判断を鈍らせる」など故事として伝えられる出来事が、「より良く生きるために必要な考え」を深める良い教材になっているとも考えられます。

icon まとめ

「梁上の君子(りょうじょうのくんし)」と言われても、耳で聞いたときには何のことだろうと思ってしまうかもしれません。

しかし、「天井裏でコソコソしている泥棒に気づく⇒人はもとは善人で貧乏や習慣が卑しくすると陳寔が子どもたちに話す⇒それを聞いて泥棒が改心」という故事(昔から伝わる話)が、人間の性質や価値観の拠り所を伝えてくれています。

受け取る人によって、深くいろいろな感じ方ができるのが、故事成語の良いところですね。