「舌の根の乾かぬうち」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
「舌の根の乾かぬうちに、そんなこと言って!」なんて一体なんのこと?そう思ったあなたに、意味や使い方を紹介しましょう。
目次
- 「舌の根の乾かぬうち」の意味とは?
- 「舌の根の乾かぬうち」と似た言葉や類語
- 「舌の根の乾かぬうち」の言葉の使い方
- 「舌の根の乾かぬうち」の例文
- 「舌の根の乾かぬうち」の対義語や反対語
- 「舌の根の乾かぬうち」のを分解して解釈
「舌の根の乾かぬうち」の意味とは?
「約束したばかりなのにすぐにやぶる」、「言ったこととやっていることが違う」という矛盾した態度を避難する時に使う言葉です。
信頼を裏切られ、あきれてしまったというときにも使われます。
スムーズに話すときには、口の中にある程度の潤いが必要ですが、たくさん話していると声がかすれたり、口の中が乾燥してきます。
一度言葉を飲み込んで考えて話す時には、そう、乾燥するものではありませんね。
一度言葉を飲み込んでよく考える暇もないほどすぐに、言葉と違った行動を取ってしまう様子を表すのに「舌の根の乾かぬうち」という表現が使われるようになったのです。
「必ずほうれんそう(報告・連絡・相談)を守るように」と言われて、「はい。必ずします。」といったのにすぐに忘れてしまうという場合にも、「まったく!舌の根の乾かぬうちにやらかしてくれるなあ」と言われてしまうでしょう。
- 「舌の根の乾かぬうち」の読み方
「舌の根の乾かぬうち」の読み方
「したのねの かわかぬうち」と読みます。
「かわかぬ」という言葉は、現代の話し言葉にすると「かわかない」ですから、話し言葉では「舌の根のかわかないうちに」と使われることがありますが、意味は同じです。
また、「舌の先の乾かぬうちに」と言い換えられることがありますが、「舌先三寸」(したさきさんずん:中身の伴わない軽薄な話っぷりを指す言葉)と混同されて、「舌の根」が「舌の先」に転じたものと解釈されます。
本来は「舌の根の乾かぬうちに」や「舌の根も乾かぬうちに」です。
いずれにしても、相手からの信用を失いかけているということですから、しょっちゅう言われないように行動を改める必要があるでしょう。
「舌の根の乾かぬうち」と似た言葉や類語
言葉にあった行動を取れない、約束をすぐに破る、言った言葉を信頼できないというネガティブなイメージに対して使われる言葉が「舌の根の乾かぬうちに」です。
他に同じような使われ方をする言葉は無いのでしょうか。
置き換えに使える似た意味の言葉、言い回しを紹介しましょう。
- 「言った側から約束を反故にする」
- 「昨日の今日でこんな状態とは…」
- 「まったく舌先三寸な奴だ」
「言った側から約束を反故にする」
「いったそばから やくそくを ほごにする」と読みます。
反故(ほご)とは、破り捨てる、無駄にすると言った意味ですから、約束を破るといういみに使われます。
「いったそば」とは、いってすぐに、いったと思ったらということですから、「舌の根も乾かぬうちに」と同じ意味、使われ方をします。
ただ、ニュアンスからして、「舌の根も乾かぬうちに」のほうが、約束を破った相手を責める気持ちや、あきれてしまったという気持ちが強い印象を与えるでしょう。
「あいつは言った側から約束を反故にするような奴だ」と使えば、信用ならないやつだと言っているわけです。
「昨日の今日でこんな状態とは…」
「きのうの きょうで こんなじょうたいとは…」と読みます。
すぐに約束が破られてしまった時に、「昨日の今日で」という言葉をつけていうことがあります。
この数日で確認したことが守られていない時に、「昨日の今日でこれはないだろ」、「昨日の今日でこんな状態とは…」と言われてしまいます。
約束したはずなのに期待した成果がでていないといった落胆や怒りが込められている場合があるので、ぼんやり聞き流していると相手にされなくなってしまいますから、注意しましょう。
「まったく舌先三寸な奴だ」
「まったく したさき さんずんな やつだ」と読みます。
行動の伴わない言葉だけのようすを「舌先三寸」といいますが、「舌の根も乾かぬうちに」を繰り替えす人間は「舌先三寸」の人と言い換えることができるでしょう。
ただし、軽妙に言葉を操る、しゃべりが巧みな様子を表すときにも使われるので、「舌先三寸で世を渡る」のように表現することもあります。
言っていることに実態が伴うかは置いておいて、芸人さんのように相手を気分よくさせてうまく物事を進められる能力を持っている人に対して使われます。
軽薄だという部分を否定的に表す時には「舌の根の乾かぬうちに」と似たニュアンスを持ちますが、才能として感心したという使われ方をすることもあります。
「舌の根の乾かぬうち」の言葉の使い方
言ったことと違うことをすぐにしてしまう、約束を破られたことを避難する、あきれてしまったという気持ちを表す時に使われるのが「舌の根の乾かぬうちに」です。
「すぐに」という時間経過が短いニュアンスを含んでいますが、◯分くらい、◯日くらいといった目安があるわけではありません。
話題になっている事柄が有効だと感じる時間より早く効力が失われていると考えると良いでしょう。
ですから、習慣的・一般的に考えて1ヶ月は続くべき約束が、数日で続かなくなった場合、約束相手が感じた時点で「舌の根も乾かぬうちに」と言われてしまうのです。
「舌の根の乾かぬうち」の例文
会話の中で「舌の根のかわかぬうち」がどのように使われているのかみていきましょう。
実際の例文を見ていくと、あきれられている、非難を受けている、相手にしたくないと思われているといった、ネガティブイメージが込められていることがわかるでしょう。
「舌の根が乾かぬうちに」と使われたら、相手の期待を裏切ってしまっている部分を見返して、行動を改める必要があるのです。
- 「舌の根の乾かぬうちに、またやらかしてくれたなあ」
- 「舌の根の乾かないうちにそんなこと言って」
「舌の根の乾かぬうちに、またやらかしてくれたなあ」
同じミスを繰り返す人は意外と多いものです。
ベテランからすると、事例に対するフローが頭にパッと浮かんでくる場合でも、新人は一つ一つケースごとに対応を示す必要があるものです。
しかし、いくつかの似たケースを一度に処理できる対応フローが浮かんでいるベテランからすると、「以前にも指導したのになぜ今回対応できないのだ」と苛立ちを覚えてしまいます。
そこで「舌の根も乾かぬうちに、またやらかしてくれたなあ」となるわけです。
認識力が違う新人に自分と同じ判断能力を求めても期待を裏切られるだけなのですから、認識力や判断力を上げるポイントを噛み砕いて伝える必要があるのです。
「舌の根の乾かないうちにそんなこと言って」
行動がなかなか改まらない、改善されない人は、「舌の根の乾かないうちにそんなこと言って」と非難されます。
浮気症の彼氏というのは、表面的な魅力に目移りしていろいろな女性と付き合いたくなってしまいます。
浮気が発覚するたびに、「これは魔が差したんだ。
本当に愛しているのはお前だけだから」と謝罪します。
彼女は、すぐに許す気にはなれないものの、完全に彼を拒絶するわけではなく、できるならやり直したいと思っている…そんな時に「舌の根の乾かないうちにそんなこと言って」という場合があります。
彼の行動にあきれている反面、「そんなこと」のあたりに、「本当に愛しているのはお前だけ」と言う言葉を嬉しく思っているニュアンスが含まれています。
「舌の根の乾かぬうち」の対義語や反対語
言葉の意味を調べるときには、同じ意味の言葉だけでなく、反対の意味を表す言葉をチェックすると理解が深まります。
「舌の根の乾かぬうちに」と反対の意味を表す表現について解説しましょう。
- 「積日の信頼」【せきじつのしんらい】
「積日の信頼」【せきじつのしんらい】
「せきじつの しんらい」と読みます。
積日とは、日々の積み重ねのことですから、言い換えると「長期をかけて得られる信頼のこと」です。
「舌の根の乾かぬうちに」が、約束してすぐに破る、謝っているいるけれど信憑性にかけるといった時に使われるのに対し、「積日の信頼」では、時間が信頼の厚さを証明してくれる、言葉だけでなく実行が伴っている様を表しています。
信頼というものは、すぐに作れるものではなく、ある程度の積み重ねが必要ですから、時間の経過が裏付けしてくれるものなのです。
「舌の根の乾かぬうち」のを分解して解釈
「舌の根」と「乾かぬうち」の2つに分けて考えると、言葉の本来の意味がわかりやすくなります。
言葉の塊ごとに「舌の根の乾かぬうち」の意味を解釈していきましょう。
- 「舌の根」
- 「乾かぬうち」
「舌の根」
「したのね」とは、舌の根っこ、付け根のことです。
実際の舌の付け根は、話続けていると乾燥して乾いてくることがあります。
ただ、この場合には、さらに言葉の意味から派生して、「舌=話を生み出すのに必要なもの」⇒「舌の根=話のおおもと、出典、信憑性」を指しているともいえます。
「信憑性が証明される時間をおく暇もないほどすぐに信頼を裏切られる」というニュアンスを表している表現なのです。
ですから、話題になっている事柄を納得するのに必要な時間より短時間で約束が破られ手しまったという落胆や怒りが含まれているのです。
「乾かぬうち」
「かわかぬうち」というのは、フレッシュ、鮮度が高い状況を指しています。
潤いがある、しっとりしているというのは、時間経過が短いときの例えに使われます。
言葉を発するもととなる「舌」、さらにその大元(おおもと)の「舌の根」が乾かないということで、言葉が発せられてからの時間経過が短いことを表現しています。
「言いたてのほやほや」というニュアンスをもたせているのが「乾かぬうち」という言葉なのです。
合わせて「舌の根の乾かぬうち」という言い回しになり、「言葉が発せられて間もなくなので忘れているはずがないのに、期待した行動を取っていないではないか」という気持ちが込められた表現になっているのです。
時間経過だけに注目すると、「とっても早くて反応が良いと言われているのかな」と勘違いしてしまいそうですが、言った相手はあなたを非難したり、あきれているのです。
人間関係は信頼を失うと立ち行かなくなりますから、日々の行動の積み重ねが大事です。
もし、「舌の根の乾かぬうちに〜とは…」と言われた場合には、相手を失望させているのですから、反省して改善の努力をしてみましょう。
また、相手に約束を裏切られた時には、「舌の根の乾かないうちにそんなことされるとは悲しくなってしまうよ」と使ってみてはいかがでしょうか。