「海千山千」の意味とは?言い換えや使い方、例文を紹介!
日本語には、ことわざや比喩的な表現を使った言葉が色々とあります。
人の性格や行いをことわざに例えて、表すこともあれば、物事の道理や状態を表現する時にも使います。
言葉の意味としては、使いようによっては、相手の立場を落としめたり励ましたりと、状況を一変させることもあります。
目次
- 「海千山千」の意味とは?
- 「海千山千」の言い換え
- 「海千山千」の使い方
- 「海千山千」の人の特徴
「海千山千」の意味とは?
数多くある言葉の中で、「海千山千」という言葉があります。
この言葉は、攻めにくい口説きにくい説得しづらい相手に対して使うことがありますが、どのような意味を含んでいるのでしょうか?
「海千山千」とは、長い年月の生き抜いてきたことで、普通の人であれば中々経験できなかったことをくぐり抜けて、様々な経験を積むことによって、世の中の表だけでなく、裏の世界の出来事、しきたり、思想、文化、慣習と言った諸々のことをも知り尽くしていて、次第に振る舞いや行動が悪賢しこくなることを指しています。
また、そのような経験を積んできて、したたかなに世の中を渡り歩いている人を指すこともあります。
この言葉の由来は、「海に千年、山に千年」の略語で、海に1000年、山に1000年の永きに渡り棲すみついた蛇が竜になるという言い伝えから来ています。
1000年もの長い年月を経て生き抜いていくことで、人智を越えた恐ろしいくらいの知恵や能力を身に付けているということかもしれません。
これほど長い年月が経つと実に様々な経験を積んでいきますので、嫌がおうにも世間の裏も表も知り尽くしていくのです。
そうなると、自然と性格や行いも自ずからずる賢くなっていくのでしょう。
ただ、「海千山千」は、多くのことを学んでいることに違いはありませんが、「物事をよく知っている」という意味だけではなく、「裏の事情や仕組みちついてとても詳しい」という意味合いもなってきます。
このように普通の人であれば、あまり知り得ないマル秘情報や危ない橋を渡ることさえ、難なくできるようなイメージが付きまとい、「そんなことまで知っている人なんて、どこか悪い知恵が働いているちょっと危な雰囲気のある人」というイメージが沸いてきそうです。
- 「海千山千」の読み方
「海千山千」の読み方
「海千山千」は「うみせんやません」と読みます。
「かいせんさんせん」や「かいせんやません」などとは読むことは、間違いになりますので、よく注意してください。
「海千山千」の言い換え
普通の人ならば、中々経験できなかったことを経験している人のことを「海千山千」と指しますが、似たような言葉はあるものでしょうか?
- 「百戦錬磨」【ひゃくせんれんま】
- 「狡猾さ」【こうかつさ】
「百戦錬磨」【ひゃくせんれんま】
「海千山千」に近い言葉として、思い浮かべる言葉としては、「百戦錬磨」というものが出てこないでしょうか?
「百戦錬磨」の言葉の意味は、「かずかず多くの実戦的な経験を積んで鍛えられてきたことによって、強靭な精神や肉体を手に入れたこと」や「そのような状態」を表しています。
「百戦」とは、読んで時のごとく「100回戦うこと」や「数多くの戦いを経験すること」になります。
「錬磨」とは、「じっくりと物事や物そのものを練り磨くこと」になります。
特に「深く精神や技芸などを磨くこと」を意味していることが多いです。
この2つの言葉が組み合わさった「百戦錬磨」は、「多くの経験や体験を積んで苦しいことにも耐え抜いたことから、技術や才能を大きく飛躍的に向上させること」や経験豊富で高い処理能力に優れていること」を表しています。
このようになると、「海千山千」も似たような言葉になるとのですが、「様々な経験を積んで、世間の裏も表も知り尽くしていてずる賢いこと」という傾向が強い言葉です。
一方の「百戦錬磨」とは「多くの実戦できたえられること。多くの経験を積んで技術を向上させること」ということになるので、使い方がかなり違いますし、ニュアンスも異なってきます。
「あの人は、百戦錬磨だから、便りになるよ。」というふうに「百戦錬磨」は、肯定的な使い方になるのですが、「あの人は海千山千の人だから、ちょっと近づきたくないな。」と、「百戦錬磨」に比べると、否定的な使い方になります。
この点が大きく違う点です。
「狡猾さ」【こうかつさ】
「狡猾さ」という言葉も、「海千山千」に近い言葉かと知れません。
この言葉の意味としては、「人をうまく欺くことに長けていることで示される抜け目なさ」を指していることが多いのですが、「悪がしこさ」、「悪賢さ」、「ずる賢いこと」、「ずるいこと」、「小ざかしさ」、「ずるさ」、「悪賢いこと」、「老獪さ」等にも例えられることがあります。
「あいつは人生経験が豊富で狡猾なので、注意した方がいいぞ。」
あまり印象の良くない使い方になってしまいますね。
「海千山千」の使い方
あまりいいイメージがない「海千山千」ですが、どのような使い方があるでしょうか?
- 「海千山千」を使った例文1
- 「海千山千」を使った例文2
「海千山千」を使った例文1
「あの女性は経験豊富で海千山千なので、彼女に近づく時は、十分に注意した方がいいぞ。」
とても美しくスタイル抜群の女性が、自分の近くにいました。
男心を本能的にくすぐるタイプの女性です。
このような人を口説くために、近づくきっかけを探している時に、彼女の素性をよく知っている人からのアドバイスです。
このようにその女性に数多くの経験があるために、普通の表の事情岳ではなく、誰も知らないような裏の事情についても詳しい人なので、とても危険な雰囲気を醸し出しているのです。
この時に使われる「海千山千」は、まさに危険な人を指していることが多きです。
アプローチして口説きたいと思っている女性が、ルパン三世に出てくる「峰不二子」のような悪女タイプなら、セクシーで魅力的であっても、本当に危険な香りがしてくるのかもしれません。
色々な修羅場をくぐり抜けて、色々な経験を糧にしたいる人は、「海千山千の人は、どんな難局であっても必ず乗り切る」というような意味で使うことはありません。
「色々な数多くの経験を積んでいることから、裏表の事情に詳しい人なので、どんな困難な局面に出くわしても、難なく必ず乗り切ることができる」というような例え方になるでしょう。
このように、「海千山千」は、どうしても「ずる賢い」という悪い意味までも含んでしまうので、多くの経験を積んできて、優れた能力を持っている人を褒める言葉としては、妥当な言葉ではありません。
褒め讃える意味では使えないのです。
褒めるつもりで「山田さんは、海千山千の人なので、本当に素晴らしくで頼り甲斐のある人ですね。」と言ってしまうと、大変失礼なことになるので、注意が必要です。
「海千山千」を使った例文2
「あの人は数多くの修羅場をくぐり抜けた海千山千の人だから、どんな相手であっても、困難な環境であっても、全く怯まないし、ビクビクしていることがないね。恐ろしいくらいに冷静な人だ。」
他にも、「塾の先生は、若いにも関わらず、見た目より海千山千の人生経験があるから、多くの父兄にも信頼されて、とても尊敬できる人だ。」というふうに使うことも間違いです。
「多くの経験や技術などの経験を積んでいる」という意味で「海千山千」を使ってしまのは間違いです。
「海千山千」を使う際は「悪賢い」や「ずる賢い」、「したたか」という言葉になるので、「あの人は、海千山千の人なので、頼み事をする時には、よくよく注意することだな。」というように、少し相手を警戒する時や、あまり近づきたくない時に使うことが、正しい使い方になるでしょう。
「海千山千」の人の特徴
海千山千の人は、どんなイメージがあるのでしょうか?
- 「修羅場をくぐり抜けている」
- 「何事においても用意周到な人」
- 「したたかな人」
「修羅場をくぐり抜けている」
「修羅場をくぐり抜けている」という言葉を使うことがあります。
「修羅場」とは、戦乱や闘争で目も当てられないくらいに悲惨な環境や状態をきわめた場所のことを指していますが、「修羅場」を過酷な戦場だけでなく、色々な厳しい環境を意味していることがあります。
このような過酷な「修羅場」をくぐり抜けていくということは、普通では経験できないことですが、このような地獄のような状態を経験してきたことで、どんな状態になっても、生き延びる術を体得した人のことを意味することがあります。
「修羅場」とは、地獄図さながらの環境なのです。
「何事においても用意周到な人」
「用意周到」と言えば、「用意が行き届いて手抜かりがないこと」や、「そのような状態」のことを指しています。
「あの人は用意周到に計画を練る人だから、油断ができないぞ。」と言った使い方があります。
このように用意周到な人は、色々なことを熟知しているので、手抜かりなく、諸々の準備をしています。
始めの計画が予想外の流れになり、失敗になりそうでも、すでに次の一手を打つことができるように準備をしています。
そうなると、想定外の出来事ではなく、予め失敗しそうな雰囲気になったなら、対策を準備しているのです。
しかも、その準備は1つではなく、いくつもの策を用意にしているので、裏の事情まで知り得ていることになるのかもしれません。
「したたかな人」
「したたかな」と言うと、「粘り強くて、他からのどんな圧力がかかろうとも、なかなか、その力に屈しないこと」を意味しています。
あるいは、「しぶとい状態」を指していることもあります。
このように「したたかなさ」を持っている人は、世渡り上手な人と言えるでしょう。
自分に降りかかってきそうな危険や不利な状況を察知して、巧みにすり抜ける能力を身に付けている人のことかもしれません。
真っ向から立ち向かうのではなく、上手くサラリとかわしながら、危険を通り過ぎるのです。
このような人も「海千山千」の人の特徴と言えます。
「海千山千」は、とても狡猾に、ずる賢く難局をくぐり抜けることができるように、普段なら知らないことさえ、熟知している人を指していることが、ほとんどです。
厳しい世の中を巧みに避けながら、生き抜いていくためには、このような能力を持っておきたいと思う反面、悪どいイメージだけは見られたくないと思うことは、人のわがままな願いなのでしょうか